配信日時 2026/10/11 17:11

今週の一冊『サビカス キャリア・カウンセリング理論』【カレッジサプリ】

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皆さまの1日を5%元気にするビジネス系メルマガ『カレッジサプリ』
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令和8年10月11日(第4611号)


今週の一冊『サビカス キャリア・カウンセリング理論』


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話:3115字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

毎週日曜日は、最近読んだ本から一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナーです。

さて、以前も読んだ「キャリア論」に関する本について、
個人的に好きな本を紹介させていただきます。

「自己構成」によるライフデザインのアプローチから
キャリアを捉える、マーク・L・サビカスの著書です。

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サビカス キャリア・カウンセリング理論

マーク・L・サビカス (著), 日本キャリア開発研究センター (監修, 翻訳), 乙須敏紀 (翻訳) 
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誰もが関わる「キャリア」。

今日は本書から、そんなキャリアに関する学びを
共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!


■「キャリア」とは何だろう?

皆さまは「キャリア」というと、
どのようなイメージをお持ちでしょうか。

なんとなく、
「長期的に働くことに関する何か」という
イメージはあるかと思います。

定義を一つ引用すると、
「職業人生そのもの、もしくは職業人生を通じて
身につける能力・態度のこと」(Hall, 1976)だそうです。

うーん、実に広くて深い。

働いていると、
「今の仕事が本当に向いているのだろうか」
「これからのキャリアはどうしようか」
「定年後、どのように仕事に関わろうか」
「働く意味ってなんなのだろうか」と考えることがあります。

働き方の選択肢が増え、
キャリアに関わる期間も長くなっているからこそ、
キャリアに関する悩みも増えているのが現状かと思います。

私(紀藤)も、小さな会社を経営しながら、
キャリアについてよく考えます。

研修講師として教える技術を磨く道、
仕組みをつくる経営的な道、
学びを深める探求の道……。

いろんな方面での道を考えます。

それは絶対に「この道」と確定するものではなく、
自分の成長や興味の変遷に伴って、
常に考え続ける人生をかけての問いになる、
そんなものだと思っています。


■3つのキャリア支援

本書では、キャリアに対する介入を、
大きく3つのアプローチから捉えています。

これは、どれか一つが優れているということではなく、
クライエントのニーズや状況に応じて使い分けるものです。

これが頭をスッキリさせてくれる感じがして、
非常にわかりやすいな、と思ったのでした。


(1)職業ガイダンス:特性と職業の適合を支援する

職業ガイダンスは、
個人の特性や能力を客観的に捉え、
職業とのマッチングを支援するアプローチです。

いわゆる適性テストなどを通じて、
「分析が得意」「人と接するのが好き」といった特徴を把握し、
「あなたはサービス業向きですね!」と
仕事と結びつけるような方法です。

大事な観点ではありますが、
人はそんなに単純なものではありません。

「こうありたい」という思いもあれば、
自分の中で成長したいという思いもあります。

職業と特性を当てはめるだけで、
キャリア支援がオールOKかというと、
そんなことはない。

特性のマッチングだけでは
不足していると思われます。


(2)キャリア教育:キャリア発達と適応を支援する

キャリア教育は、
それぞれのライフステージにおける課題に取り組み、
キャリア発達を支援するアプローチです。

たとえば、管理職として多くの人を巻き込むために
マネジメントスキルを身につけたい人もいます。

専門性を磨いて、
スペシャリストとして腕を上げていきたい人もいます。

自分の役割を後輩に譲っていくステージもあるでしょう。

それぞれのステージに課題があり、
それに立ち向かう考え方、姿勢、能力などが必要です。

「課題と発達」がキーワードかと思います。


(3)キャリア・カウンセリング:物語を通じた意味づけを支援する

キャリア・カウンセリングでは、
クライエントを「著作者」として捉え、
その人の自伝的なストーリーを通じて、
キャリアを構築する支柱となる
「ライフ・テーマ」を内省するのを支援します。

(そして、今回ご紹介する書籍も、
ここが中心テーマとなります)

個人的には、
このアプローチが最もグッときました。

理想的なキャリアは、
誰かとの能力や特性の比較で決まるものではありません。

誰かに課題を決められるものでもありません。

大事なのは、
「自分がどうしていきたいか」
「自分でどのような物語を描くか」。

過去・現在・未来をつなぎ、
自分の言葉でキャリアを構築していくことです。

キーワードを自分なりにいうと、
「創造」ではないかと思います。

本書には、次のようにあります。

”われわれは、語ることで自分自身を形づくる。
言葉は、意味を考え作り出すことを可能とし、
生きていくための資源を与える。
キャリア構成理論は、本質的な自己の実現ではなく、
自己の構成に集中する。
むしろ言葉が自己概念を形作り、
自己を構成するのに必要な言葉を提供するのである。”
──マーク・L・サビカス
『サビカス キャリア・カウンセリング理論』P27

私たちは、言葉によって現実を作っています。

それは自分のキャリアも同じです。

自分をなんという言葉で表現するのか、
自分のキャリアをどのような言葉で言い表すのか。

それによって現実が立ち現れ、
未来を創ることにもつながります。


■ライフ・テーマを見つける5つの質問

では、「自分の物語をつくる」といっても、
語りの中からどうやってライフ・テーマを見いだし、
意味づけていけばよいのでしょうか。

キャリア・カウンセリングの中心的な技法の一つに、
「キャリアストーリー・インタビュー」があります。

サビカス博士が、
30年にわたる実践と試行錯誤を通じて確立したという、
ライフ・ストーリーを見つけるための5つの質問です。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーー
1. ロールモデル

「子供の頃、どのような人に憧れ、尊敬していましたか?
その人について話してください」

憧れていた人物のどんなところに惹かれたのかを聞くことで、
自分自身の姿が見えてくる。

いきなり自分のことを直接語るよりも、
憧れの人を通じて自己概念を表現してもらうのが狙いです。

2. 雑誌やテレビ番組

「定期的に読んでいる雑誌や、
見ているテレビ番組はありますか?
そのどんなところが好きですか?」

好きな雑誌やテレビ番組、
ウェブサイトなどを尋ね、
職業上の興味を掘り下げます。

何に興味を持つのか、
何に惹かれるのかを知ることで、
将来につながる関心を探っていきます。

3. 好きなストーリー

「好きな本や物語は何ですか?
そのストーリーを話してください」

好きなストーリーには、
人生における中心的な問題や、
それにどう対処するかが描かれていることがあります。

物語を聞くことで、
その人が人生をどのように捉えているのかを
理解していきます。

4. 指針となる言葉

「好きな格言や、指針となる言葉を話してください」

その人が自分自身に
どのような助言をしているかを掘り下げます。

思い当たる言葉がなければ、
励ましながら一緒に探したり、
作ってもらったりすることもあるそうです。

5. 幼少期の思い出

「あなたの幼少期の最初の思い出は何ですか?
3歳から6歳頃、あるいは思い出せる限り早い時期に起きた出来事について、
3つの物語を話してください」

幼少期の思い出を通じて、
その人が人生をどのように見ているのかを探ります。

それぞれのストーリーに
見出しをつけてもらうことも、この質問の一部です。

※質問と狙いの要約:
マーク・L・サビカス著、日本キャリア開発研究センター監訳、乙須敏紀訳(2015)
『サビカス キャリア・カウンセリング理論 <自己構成>によるライフデザインアプローチ』
福村出版、P79–93、P202–203
ーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)


■「何に心が震えるのか」をたどる

「好きな映画は?」「好きな雑誌は?」「憧れの人は?」
という質問は、キャリア系の研修で行われることがあります。

その内容や意図に、
こうした狙いがあることを初めて知ったところもあり、
実に感銘を受けました。

その人が何に興味を持つのか、
何を記憶しているのか。

それは、その人が何に心を震わせるのか、
何を大切にしているのか、
何を課題と思い、
何に取り組んでいきたいのかを探る質問なのだと思います。

人は働くことに、
お金を稼ぐことだけでなく、
人とつながる、社会とつながる、
自らの能力を磨く、会社や社会に貢献するといった、
さまざまな意味を見いだします。

その意味に絶対的な正解はありません。

だからこそ、自分の心の奥にあるテーマを見つめ、
自分の言葉でライフ・ストーリーをつくっていく。

キャリア支援の中でも、
「物語をつくることができる」という
創造的な特徴をもつキャリア・カウンセリングは、
決まったルートがなく、
さまざまな道を選ぶことができる今の時代に
合っているような気がして、
とてもワクワクさせられました。

こうした知恵をまとめ、
誰もが使えるようにしてくれている先人の方々に、
感謝の念を覚えます。

この世界を、もっと深掘りしてみたいと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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【編集後記】
◯今月のランニング:97m

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