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令和8年9月3日(第4573号)
忙しい職場で使いやすい!「エアランゲン職場チーム結束性尺度」とは
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2903字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、終日ストレングス・ファインダー研修の実施。
また13kmのランニング。
妻がインフルエンザになってしまったため、
色々とバタバタとしてしまっておりますが、
息子はジョナサンにいける!チョコミントパフェが食べられる!と
テンションが上っておりました。
かなりインフルも流行っているようですので、
皆さまも、手洗いうがいをして、十分お気をつけください。
*
さて、本日も先日に引き続き、
「チームの結束性」に関する論文をご紹介したいと思います。
これまでの記事では、「TMX」
(チーム内でメンバー同士が、情報や支援、
フィードバックなどをどのように交換しているのかを捉える概念)や、
スポーツチームで用いられてきた考え方を職場に応用した
「チーム結束性尺度」を紹介してきました。
一方、チームの状態を測る尺度には、
他にもまだまだあります。
今日ご紹介したいのは、ドイツ語圏の医療現場を中心に、
一般的な職場でも使える、
短く簡便なチーム結束性尺度を開発した研究です。
その名も、「エアランゲン職場チーム結束性尺度」です。
質問項目を読んでみると、これまで紹介した尺度よりも、
個人的には「実際の職場に馴染みやすそう…!」
という印象を持ちました。
ということで、早速中身を見てまいりましょう。
それでは、どうぞ!
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<今回の論文>
タイトル:Development and validation of a questionnaire for measuring team cohesion: the Erlangen Team Cohesion at Work Scale (ETC)
(チーム結束性を測定する質問票の開発と妥当性検証:エアランゲン職場チーム結束性尺度(ETC))
著者:Marietta Lieb、Yesim Erim、Eva Morawa
所属:フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルク 心身医学・心理療法学部門
掲載誌:BMC Psychology(2024年)
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■30秒でわかる、この論文のポイント
・職場のチーム結束性を簡便に測定する、
13項目の尺度を開発した
・尺度は「同僚間の連帯感」と
「一体感と問題管理」の2因子から構成された
・尺度全体の信頼性は高く、
既存のチーム関連尺度とも想定どおりの関連が見られた
・チーム結束性が高いほど、抑うつ症状や
仕事上のストレスが低い傾向も示された
■研究の背景と目的
この研究の背景にあるのは、医療従事者、
とりわけ看護師の離職や人手不足の問題です。
ただでさえ忙しい医療現場で、
何十項目もの質問に答えてもらうのは、
なかなか難しいもの。
そこで研究者たちは、
「短時間で回答でき、なおかつ信頼性と妥当性を備えた尺度」
を開発しようとしました。
■研究の方法
尺度の開発は、次のような段階を踏んで行われました。
1.既存研究や尺度を調べ、51項目の候補を作成する
2.心理学や医学などの専門家10名が項目を評価し15項目の試行版を作成
3.ドイツの大学病院等で働く看護師126名を対象にオンライン調査をする
4.項目分析と探索的因子分析を行い、最終的に13項目へ絞り込む
さらに、以下の項目も合わせて測定し、
関連を調べています。
・職場の支援や共同体感覚を測る尺度(COPSOQ)
・結束性を測る尺度(PCS)
・私生活上の支援を測る尺度(ESSI)
・抑うつ・不安症状を測る尺度(PHQ-4)
・仕事の努力と報酬のバランスを測る尺度(ERI)
■「エアランゲン職場チーム結束性尺度」とは?
分析の結果、ETCは二つの因子から
構成されることがわかりました。
回答には、0点の「全くそう思わない」から、
4点の「非常にそう思う」までの5段階尺度を用います。
(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◯因子1:同僚間の連帯感(Collegial Solidarity)
1.私たちは互いに支え合っている
2.私たちは互いに敬意を持って接している
3.私たちは互いに信頼し合える
4.チーム内で仕事の割り振りが公平に行われている
5.チーム内のコミュニケーションが良好である
6.私たちは一致団結している
◯因子2:一体感と問題管理(Unity and Problem Management)
1.チーム内に仲間外れにされているメンバーがいる(逆転項目)
2.全員が自分ひとりで作業するよう放置されている(逆転項目)
3.誰もがオープンに自分の意見を言うことができる
4.私たちは建設的な方法で問題に対処している
5.私たちの間には「私たち」という一体感がある
6.意見の相違がある場合、通常はよい折衷案を見つけることができる
7.新しいチームメンバーが、すぐにチームに馴染むことができる
※以下の項目は、論文内容に基づく筆者による日本語訳です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)
■主な結果
◯わかったこと1:二つの因子でチームの結束性を捉えられた
一つ目は、信頼、尊重、相互支援、
公平な仕事配分などを含む「同僚間の連帯感」です。
二つ目は、率直に意見を言えること、
対立や問題を建設的に扱えること、
新しいメンバーを受け入れられることなどを含む
「一体感と問題管理」です。
この二つは、従来の研究で示されてきた
「社会的結束性」と「タスク結束性」にも
通じる構造と考えられます。
◯わかったこと2:尺度の信頼性は高かった
尺度の内部一貫性を示すクロンバックのα係数は、
次のとおりでした。
・同僚間の連帯感:α=.88
・一体感と問題管理:α=.84
・尺度全体:α=.91
いずれも十分に高く、13項目という短い尺度でありながら、
安定してチーム結束性を測定できる可能性が示されました。
◯わかったこと3:職場の支援や共同体感覚と関連していた
ETCは、COPSOQの「職場の支援」「共同体感覚」や、
既存の結束性尺度であるPCSと、
中程度から高い正の相関を示しました。
つまり、チーム結束性を測る尺度として、
関連する概念と想定どおりの関係が確認されたということです。
これは「収束妥当性」を支持する結果といえます。
一方、私生活における社会的支援を測るESSIとは、
ほとんど相関しませんでした。
ETCが測っているのは、
家族や友人から得られる一般的な支援ではなく、
あくまで「職場のチームにおける結束性」であることが示されたと考えられます。
こちらは「弁別妥当性」を支持する結果です。
◯わかったこと4:メンタルヘルスや仕事上のストレスとも関連していた
ETCの得点が高い人ほど、抑うつ症状が低く、
仕事から得られる報酬を高く感じていました。
また、努力感や「努力に対して報酬が見合っていない」
という感覚も低い傾向が見られました。
もちろん横断調査であるため、
「チームの結束性が高いから、抑うつ症状が軽減した」と
因果関係まで断定することはできません。
それでも、職場における支え合いや問題解決のあり方が、
働く人の心理状態や仕事の受け止め方と関係していることは、
興味深い結果だと思います。
■まとめと感想
改めて、チームの状態を測るための尺度には、
さまざまなものがあることがわかります。
その中で、今回のETCの質問項目は、
それぞれが専門性を持って働く職場に、
より馴染みやすいように感じました。
正しい表現かはわかりませんが、
変にべたべたしすぎず、かといって冷たくもない。
そして、暑苦しすぎるわけでもない。
一般的な職場にある、ほどよい距離感を前提とした
質問のように感じました。
同じ「チームの結束性」を測る尺度であっても、
どのような場面を想定しているのか、
誰を対象として開発されたのか、
どのような質問によって捉えようとしているのかによって、
その色合いは変わります。
この点も、いろいろな尺度を渉猟する
面白さなのかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:23km
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