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令和8年8月22日(第4561号)
「祭り」だけでは、人も組織も変わらない
ー研修と日常をつなぐということー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2234字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、「日本パーソナリティ心理学会」の学会に参加してまいりました。
初めての当学会への参加でしたが、
興味深い発表ばかりで、面白すぎました。
・ロボットが子どもとの関わりにどう影響を与えるか、
・自尊心は1週間でどう変わるのか?(20~50代それぞれ)
・鉄オタは迷惑行為を、自分でどう考えているか(!?)
なんてものもあり。
教員、学生、その他企業の人も含め、
思ったよりも色んな方がいて学会って楽しいものなんだな、と思った1日でした。
また再来週もあるので楽しんできたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
先日、大学院の仲間(現在2年次で、人材開発・組織開発のプロジェクトに取り組んでいる方)と、
近所でもんじゃ焼きを食べながら色々とお話をしていました。
これから実際にクライアント企業に入り、
さまざまな方法で介入をしていくとのことで、
物語がこれから盛り上がっていきそうなタイミングです。
その際に出た話が
「人材開発や組織開発で、成果につなげていく上で、大事なことだな」
と感じるものでしたので、
今日は、そんなお話について書いてみたいと思います。
テーマは「人と組織の、ハレとケの関わり」です
それでは、どうぞ!
■イベント的な関わりと、日常の関わり
大学院の仲間の1人が、こんな話をしてくれました。
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「紀藤さんは普段、研修やワークショップをやっていると思うんですが、
どんなことを気をつけていますか?
…というのも、私は普段、人事で、
社内で人材開発や組織開発的なことをやることがあるのですが、
日常の中でちょっとしたミーティングで話したり、
1対1で『そういえば、あれどうだった?』と聞いたりしながら少しずつ関わっていくほうが、
その人の本音や感情が見えてくるし、サポートもしやすいと思っていて。
”研修”みたいな、いわゆるイベント的な関わりって、
あまり得意ではないんですよね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とのことでした。
人事として、普段やっている人と組織への介入は、
「日常としての関わり」。
これから行う介入は
「ワークショップ」というイベント的な関わり。
この違いに、難しさを感じている、とのこと。
同時に、この質問をされたとき、
自分自身が日頃感じているモヤモヤというか、
葛藤のようなものに触れられた気がしました。
■研修は、ある意味「祭り」である
研修やワークショップのように、
人が集まって行うイベントは、
ある意味「祭り」のようなものだと思っています。
20人、30人と人が集まり、講師が場をつくる。
伝えたいメッセージを届け、参加者同士で対話をし、
「なるほど、これは大事だな」
「明日からやってみよう」と気持ちが高まる。
これは、とても大事なことです。
これまでやったことがなかった行動に対して、
「やってみよう」と一歩踏み出すための、
ヨーイドンの合図にもなるからです。
だからこそ私は、研修後の「自己効力感」、
つまり「自分にもできそうだ」という感覚や、
「関連度」「有用度」、
つまり「これは自分の仕事に関係がある」
「役立ちそうだ」という感覚を大切にしています。
ただ一方で、当然ながら、
祭りが一度盛り上がっただけで、
翌日から人や組織がガラッと変わるわけではありません。
人も組織も、機械みたいに、
スイッチを入れたら急に別ものになるなんて、
そんな無機質なものではないからです。
むしろ、本当に変化が起きるのは、
その後の日常であるはず。
私も、そういう意味で「研修の限界」を感じているので、
「日常の関わりってめっちゃ大事だよな…」と少し胸がキュッとする感じがしたのでした。
■人や組織は「グラデーション」で変わっていく
実際の変化とは、もっと地味なもののように思います。
1on1の中で、研修で学んだ新しい質問が一つだけ加わる。
ミーティングの最初に、
「みんなはどう思っている?」と聞くようになる。
あるいは週末のミーティングで、最後の5分だけ、
「今週を振り返って、一人ひと言ずつ話そう」
という時間をつくる。
そんな小さな行動は、劇的な変化ではなく、
ちょっとした変化なのではないでしょうか。
それが1週間、2週間と積み重なっていく。
すると、あるときふと、
「あれ、なんとなく以前より話しやすくなっているな」
「前よりもチームの空気がすっきりしているな」
と気づく。
いつから変わったのかは、よくわからない。
でも、何かが変わっている(気がする)。
人や組織が変わるというのは、実際には、
こうした「グラデーション」のようなものなのではないかと思っています。
■人と組織の変容を「ランニング」に例えてみる
この話は、ランニングにたとえてみます。
たとえば、これまであまり走ったことがない人たちが集まり、
プロのランナーに教えてもらうイベントがあったとします。
(祭り・ハレの場)
「走ることは、誰でもできます!」
「まずストレッチをして、腕を振ってみましょう」
「少しフォームを意識すると、ほら、楽に走れませんか?」
そんなふうに教えてもらいながら、
みんなで皇居を1周、5km走ってみる。
すると、
「意外と走れた!」
「健康にも良さそうだし、明日から続けよう!」
みたいに盛り上がります。
研修終了時の一つの目指す状態であり、
まさに、「自己効力感(できそう感)」が醸成されたわけです。
***
しかし当然ながら、
「一度5kmを走っただけで体質が変わる」
なんてことはありません。
本当に体が変わっていくのは、
日々の地味なジョギングです。
「週2回、1〜2km走ってみる」
「週末にちょっと長く走ってみた」
という日常の積み重ねがあって、
3カ月、半年と続いて、ふと振り返ったとき、
「体重が減っていた」
「よく眠れるようになった」
「以前よりストレスが減っていた」
と、結果として変化に気づく。
人材開発も組織開発も、
これと似ているのだと思います。
研修(祭り・ハレの場)は、きっかけをつくる。
日常(ケの場)は、それを育てる。
どちらか一方だけでよいのではなく、
どちらも必要なはずなのです。
■まとめ:「祭り」と「日常」をつなぐべし
考えてみれば、人や組織を一度の研修だけで変えようとするのは、
無理があるもの。
研修は、さなぎから一気に蝶へ変身させる魔法ではありません。
まだ、卵の状態の人もいれば、
幼虫の人もいるし、
少しさなぎっぽくなっている人もいるかもしれない。
研修やワークショップは、
そうした人たちに対して、
変化を促す「きっかけ」や「促進剤」にはなれるけれども、
その後にはやはり時間が必要で、
日常の中でのサポートが必要です。
「研修で何を伝えるか」だけではなく、
「研修の後、日常の中で何が続いていくのか」まで考えること。
この二つのバランスが取れてこそ、
人や組織は少しずつ変わっていくのだろうな、と、
もんじゃ焼きを食べながら改めて思ったのでした。
……ということで、研修後に
「ぶっちゃけどうだった?」
「何かできそうなこと、ある?」
と日々小さくジャブを打っていかれる人事の方の行動も、
ものすごく大切だよな、と思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:241km
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