---------------------------------------------------------------------------
皆さまの1日を5%元気にするビジネス系メルマガ『カレッジサプリ』
---------------------------------------------------------------------------
令和8年8月17日(第4557号)
時間管理をする人は、ほんとうに仕事の成果が高いのか?
—5万人の実証研究からわかった答えとはー
株式会社カレッジ 紀藤康行
---------------------------------------------------------------------------
※このメールは、メールマガジンにご登録頂いた方、名刺交換をさせていただいた方、研修にご参加頂いた方に配信をしております。
ご不要の場合は大変お手数ですが、メール下部の「配信停止はこちら」より解除くださいますようお願い申し上げます。
(本日のお話 3765字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日日曜日は、大学院の仲間と、
26kmのランニングでした。
その後、家族で「トミカ博」なるものへ行き、
夕方からは近所のパパ友とお食事会でした。
*
さて、本日のお話です。
本日は、時間管理に関するある論文を
紹介したいと思います。
私の前職は「7つの習慣」の研修を扱う会社だったのですが、
そこで有名なモデルとして
「時間管理のマトリクス」というものがありました。
”第二領域(緊急ではないけれど重要なこと)に時間を費やし、
それを意識的に行うことが生産性を高める”
というお話です。
第一領域(緊急かつ重要)や
第三領域(緊急だけど重要ではない)に翻弄されていると、
だんだんと自分が疲れたり、
追い込まれたりする感覚が出てくる、
多くの人がご存知のモデルなのではないかと思います。
では実際に、
「時間管理を行うことは仕事の成果(あるいは学業)につながるのか?」
かつ、「人生の幸福度」にはどう関わるのか。
これらを、5万人以上のサンプルを対象に
検証したメタ分析があります。
結論をお伝えすると、
「時間管理がもたらすのは、仕事の生産性よりも、
ウェルビーイングの向上である」
という意外な事実でした。
(つまり、目的としていたことの主従の逆転があったというお話です)
早速中身をみてまいりましょう。それでは、どうぞ!
===================
<今回の論文>
・タイトル:Does time management work? A meta-analysis
(タイムマネジメントは効果があるのか?メタ分析)
・出版:PLOS ONE, 2021年1月11日公開
・著者:Brad Aeon, Aïda Faber, Alexandra Panaccio
・所属:Concordia University, Sir George Williams Campus
(カナダ・モントリオール)/FSA Ulaval, Laval University
(カナダ・ケベックシティ)
===================
■30秒でわかるこの論文のポイント
・時間管理は仕事のパフォーマンスや学業成績と
中程度の正の相関を示すが、
それ以上にウェルビーイング(特に人生の満足度)を高める効果が大きい
・時間管理と職務パフォーマンスの関係性は、
1990年代から現代にかけて年々強まっている
・個人差の中では「誠実性」だけが
時間管理と非常に強く関連しており、
性別や年齢、既婚・未婚などはほとんど関係がなかった
・時間管理は「時間を構造化する」「時間を防衛する」
「変化に適応させる」という3つの意思決定から成る
■研究の背景と目的 -時間の貧困問題ー
現代社会では、「慢性的な時間の貧困」が
深刻化していると言われます。
仕事も余暇も、どんどん高密度になっていく感覚、
皆さんにも心当たりがあるのではないでしょうか。
そうした中で、時間管理は「万能薬」のように
メディアやビジネスの現場で推奨されてきました。
けれど実は、時間管理と職務パフォーマンスの関係を
調べた実証研究は、結果が一貫していなかったそうです。
効果があるとする研究もあれば、
関係が見られないとする研究もある。
そこで本研究は、5万人以上のサンプルを含む
大規模なメタ分析によって、
「時間管理は本当に効果があるのか」という根本的な問いに、
定量的な答えを出そうとしたのです。
■研究の方法 ーどうやって調べたのかー
研究チームは、複数の学術データベースを用いて
「time management」というキーワードで検索し、
さらに主要な3つの時間管理尺度(後述します)を使った研究も追いかけました。
最終的に11,683件から重複などを除き、
条件を満たす158の研究(効果量データ490件、総被験者数53,957名)を
分析対象としています。
パフォーマンスは
「成果ベース(職務評価やGPAなど)」と
「行動ベース(モチベーションやプロアクティブさ、
先延ばしの逆転など)」。
ウェルビーイングとディストレスも、
それぞれポジティブな指標とネガティブな指標に分けて
コーディングされました。
■「時間管理」とは、そもそも何なのか
本論文では、タイムマネジメント(時間管理)を
こう定義しています。
-----------------------
「個人が変化する条件に合わせて、自らの時間を構造化し、
防衛し、適応させるために行う意思決定の一形式」
-----------------------
具体的には、次の3つの行動から成るそうです。
----------------------------
<時間管理の3つの行動>
⑴時間を構造化すること(Structuring time)
スケジュール帳やプランナー、日課を用いて、
自分の活動を体系的に時間枠へ割り当てる行動。
「毎日のルーティンに従って行動する」といったことですね。
⑵時間を防衛すること(Protecting time)
他者からの無駄な介入や割り込みを退け、
自分の作業時間を確保するための行動。
「重要でない依頼にハッキリと『いいえ』と言う」
「家族との夕食中は仕事の携帯電話の電源を切る」など、
境界線を引くことです。
⑶変化する条件に時間を適応させること(Adapting time)
予定の変更や予期せぬ出来事に対して、
柔軟に予定を評価し、修正していく行動。
「スキマ時間を有効活用する」
「日々のスケジュールを定期的に見直す」といったものです。
----------------------------
***
<主な結果(わかったこと)>
では研究からどのようなことがわかったのでしょうか。
主な結果を3つ整理して、紹介いたします。
■わかったこと1:「職務パフォーマンス」への効果は中程度
「職業的パフォーマンス」全体では、
時間管理と中程度の正の関連(r = .259)が見られました。
特に「先延ばしの低減」との関連は強く(r = -.490)、
「学業面」でもGPAや通常のテストの点数とは
正の相関がある一方で、
標準化テストとの関連は見られなかったそうです。
これは、時間管理が
「知識を積み上げていくタイプの成果」を支えるのに
向いている一方、
地頭に近い流動性知能にはあまり作用しない、
ということかもしれません。
また、興味深いのは、
時間管理と職務パフォーマンスの関係が、
1990年代から現代にかけて年々強まっている
という点です。
柔軟で自律的な働き方が広がるにつれ、
自分で時間を管理する力の重要性が増している、
ということなのでしょう。
時間管理と職務パフォーマンスの相関は年々高まっている
■わかったこと2:実は「ウェルビーイング」との関連のほうが高い
そして、この論文で最も印象的だったのがここです。
時間管理は、パフォーマンス以上に、
ウェルビーイングとの関連が強かったのです(r = .313)。
中でも人生の満足度との関連(r = .426)は、
仕事満足度との関連(r = .248)より、
実に72%も高かったといいます。
ディストレス(心理的苦痛)についても、
心理的苦痛や退屈感、ストレス、バーンアウト、不安、
ワークライフコンフリクトなど、
幅広く軽減する関連が見られました(全体でr = -.222)。
論文では、この非対称性についても丁寧に考察されています。
ウェルビーイングを支える自己効力感や自己決定感は、
時間管理によって直接高めやすい一方、
ディストレスの要因となる神経症傾向や不測の出来事は、
時間管理だけではコントロールしきれない。
だから、時間管理はウェルビーイングを高める力のほうが
相対的に強く出る、というわけです。
■わかったこと3:誰にとって時間管理は効きやすいのか
個人差の中で、時間管理と圧倒的に強い相関を示したのが
「誠実性(Conscientiousness)」という
パーソナリティ特性でした(r = .451)。
また、「内省的統制型
(自分で物事をコントロールできているという感覚)」や
「自尊心」とも強い関連が見られています。
一方で、年齢や教育水準、子どもの数、
既婚・未婚といったデモグラフィックな要因は、
ほとんど有意な関連を示しませんでした。
性別についてはわずかに女性のほうが時間管理スコア
が高く、その差は近年拡大傾向にあるとのことです。
意外だったのは、職務自律性(仕事の裁量の大きさ)が、
予想に反して有意な相関を示さなかった点です。
裁量があるからといって、
必ずしも時間管理がうまくいくわけではない、
ということなのかもしれません。
■まとめと感想
改めて思うのが、
時間管理を行うための、この3つの方法の大切さです。
まず、「時間を構造化する」こと。
スケジュール帳やプランナーなどで、
自らの活動を時間枠に割り当てること。
そして、時間を防衛すること。
自分にとって大事なことのために、時間を確保すること。
そして、変化する中で
うまくタイムスケジュールを調整していくこと。
これを行っていくと、「統制の所在」、
つまり自分がコントロールできているという感覚が高まり、
それがウェルビーイングにつながっていく——ここがとても重要なことでした。
時間を守る意志を持つこと。
その大切さを感じさせられた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
https://note.com/courage_sapuri/n/n4c65885210ab?app_launch=false
==========================
【編集後記】
◯今月のランニング:198km
【メルマガのご感想について】
メルマガのご感想は、このメールに直接ご返信いただければ紀藤にのみ届きます。
皆さまのメッセージが励みになります!ぜひお気軽にメッセージくださいませ。
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
メルマガ「カレッジサプリ」公式サイト
https://www.courage-sapuri.jp/
★バックナンバーはこちらから読めます★
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
このメールは、メールマガジンにご登録頂いた方、名刺交換をさせていただいた方、
研修にご参加頂いた方に配信をしております。
ご不要の場合はお手数ですが、メール下部の「配信停止はこちら」より解除くださいますようお願い申し上げます。
【メルマガ登録・解除について】
※メールアドレスの変更について
⇒「現在のメールアドレスの配信停止」→「新アドレスでの登録」にてご対応お願い申し上げます。
※メルマガのご登録はこちらから
⇒
https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=HSfoIRnMfw
※メルマガの配信停止はこちらから
⇒
https://1lejend.com/stepmail/delf.php?no=HSfoIRnMfw