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令和8年8月10日(第4550号)
強みは、どこから生まれるのか? ー強みの起源と中庸のお話ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2863字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、久しぶりにランニングはお休み。
住んでいる町の伝統的なお祭りがすごくて、
神輿に太鼓が3日間町を練り歩き、
普段は目にしない町の隠れた繋がりが見えたような週末でした。
その他、研修プログラムの作成などでした。
*
さて、本日のお話です。
先日よりご紹介している、
強みの隠れ名著『Average to A+』
(平均を超えていこう!的なタイトルですね)。
本日も、その内容を読み解いていきたいと思います。
今回は、第2章「原点に立ち返る」と、
第3章「私たちのネガティビティ・バイアスと中庸」についてです。
これまでも強みについて学ぶ中で、
繰り返し語られてきた内容ではあるのですが、
「強みがどこから生まれるのか?」
「強みはどう使うとよいのか?」
というアプローチのポイントがシンプルに整理されており、
納得できる章でした。
ということで、早速見てまいりましょう。
それでは、どうぞ!
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『Average to A+: Realising Strengths in Yourself and Others (Strengthening the World Series)』
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■「強みは、どこから生まれるのか?」問題
「第2章 原点に立ち返る」では、
人間の強みがどこから生まれるのかについて、
進化論、遺伝、環境、脳科学などの観点から説明されています。
まず、本書では、強みを人類が長い歴史の中で
身につけてきた「適応解決策」として捉えます。
私たちの祖先は、生き延び、子孫を残すために、
さまざまな課題に対処してきました。
たとえば、誠実に役割を果たすことは、
食料や住居を確保する上で役立ったでしょうし、
他者と協力する力は、集団で生き延びる上で重要だったはずです。
そうした特性が長い時間をかけて受け継がれ、
現在の私たちの「強み」の土台になっている、という考え方です。
そして、一人ひとりの強みは、
主に4つの要因の相互作用によって
形づくられるとされています。
---
<強みの元になる要素>
・1)遺伝(Nature)
・2)育ち・環境(Nurture)
・3)偶然の出来事(Chance)
・4)適応性(Adaptiveness)
---
生まれ持った傾向だけではなく、
どんな環境で育ったのか、誰と出会ったのか、
どんな経験をしたのか、などなど。
さらに、自分が得意だと感じたことを繰り返し、
苦手なことから離れるといった選択も含めて、
現在の強みが形づくられていくというわけです。
■強みは、脳の「通り慣れた道」である
本書では、強みを脳の神経ネットワークとも
関連づけて説明しています。
強みを使うときは、
すでに存在している神経経路を使うため、
脳にとって効率がよい。
たとえるなら、草むらの中をゼロから進むのではなく、
すでに踏み固められた道を歩くようなものです。
そして、その道は使えば使うほど歩きやすくなっていく。
一方で、ほとんど使わない経路は弱くなっていく。
強みを使うと「自然にできる」「自分らしい」と感じやすい背景には、
こうした脳の仕組みもあるのではないか、と
本書では説明しています。
■強みは「組み合わせ」で独自のものになる
本書でもう一つ面白いのが、
「強みは単独で見るだけでは不十分である」という点です。
たとえば、同じように「人間関係を築く力」がある人でも、
その中身は少しずつ違います。
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<人間関係を築く力を”細かく”見る>
・「Contact」を持つ人=多くの新しい人と出会うことを好む。
・「Rapport」を持つ人=相手を知り、
つながりをつくる初期段階を楽しむ。
・「Relationship」を持つ人=時間をかけ
深い関係を築くことに重きを置く。
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一見すると、どれも「人間関係」と括れてしまいそう。
しかし、実際には少しずつ違うわけです。
そして本書では、これらが組み合わさることで、
「Relationship Investor(関係性への投資家)」のような、
より複雑な強みとして表れると説明しています。
これは、かなり“アート的”な考え方ではありますが、納得です。
強みは、一つひとつを単独で見るだけではなく、
いくつかの強みが重なり合うことで、
その人らしい特徴として立ち上がってくる。
この「組み合わせで強みを見る」という視点は、
とても興味深いです。
■なぜ私たちは「悪いところ」に目が向くのか
続く、「第3章 ネガティビティ・バイアスと中庸」では、
悪いところに目が向いてしまう傾向が取り上げられます。
私たちは、良いことよりも、
悪いことに強く反応するようにできています。
10個うまくいっていることがあっても、
1個の失敗が気になる。
人事評価でも、できていることより、
「足りない能力」に目が向く。
こうした傾向は、
私たちが生き延びるために発達させてきた仕組みだとされています。
危険や問題を素早く見つけることが、
生存には重要だったからです。
これも、強みの文脈ではよく言われている話ではありますが、
重要なポイントといえます。
意識していなければ、
私たちはすぐに弱みや問題へと引き戻されてしまいます。
■強みは「使えば使うほどよい」わけではない
そして、第3章で特に重要なのが、
「中庸(Golden Mean)」という考え方です。
これはアリストテレスの思想につながるもので、
「適切な強みを、適切な量で、適切な方法で、適切なときに使う」
ことが重要だとされています。
つまり、強みは使えば使うほどよいわけではありません。
強みには、「不活用(使わなさすぎ)」と
「過剰使用(使いすぎ)」があります。
自分にとって当たり前すぎるために、
強みに気づかず、十分に使えていない状態が「不活用」。
反対に、どんな状況でも同じ強みに頼りすぎてしまうのが
「過剰使用」です。
たとえば、「粘り強さ」は素晴らしい強みですが、
状況を見ずに使い続ければ「しつこさ」になり得ます。
「創造性」も、新しいアイデアを生み出す力ですが、
リーダーが常に新しいことを言い続ければ、
周囲は振り回されてしまうかもしれません。
そこで本書が示しているのが、
「ボリュームコントロール」という考え方です。
強みは、ONかOFFかではない。
音量のつまみのように、状況に応じて強めたり、弱めたりする。
この調整ができてこそ、
強みを上手に使えるということになります。
■まとめと感想
個人的には、今回の内容は
これまでも何度も触れてきたものではありました。
それでも改めて興味深く感じたのは、
こうした考え方が、すでに十数年以上前から
かなり整理された形で提示されていたことです。
強みは、生まれ持ったものだけではなく、
環境や経験、偶然との相互作用によって形づくられる。
また、一つひとつの強みだけではなく、
その組み合わせによって、
その人らしい強みの表れ方が生まれてくる。
一方、それだけでは解決できない話もある。
人は「比較」という世界に生きてしまいがちだし、
市場において「役に立つ」「競争優位なもの」に
目を向けたくなるという側面もあるからです。
いくら人間関係の構築が得意でも、
マネジャーは、本音を言えば
「戦略立案の力」が今は欲しかったりする、
という様子もしばしば目にします。
改めて思うのが、こうして見ると、強みというものは、
思っている以上に「環境との相互作用」の中で
考える必要がある概念なのだと感じます。
「自分の強みに生きよう」と言うだけでは、
なかなか解決できないこともあります。
このあたりは、時間が経った今だからこそ、
改めて向き合う必要がある問いもあるんだろうな……、
そんなことも考える章でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:108km
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