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令和8年8月7日(第4547号)
強みの名著を読み解く!
『Average to A+』を全章解説を始めます
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3225字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、ストレングス・ファインダー研修の実施。
その他、研修プログラムの作成と、13kmのランニングでした。
研修ラッシュが、一旦昨日で終了しました。
ここから集中して、一気に開発や執筆をやりたいと思います。
お盆休みが、最大のチャンスです…!
*
さて、本日のお話です。
本日より、「強み」の分野で世界的に有名な一冊の
全章解説をしたいと思います。
取り上げる本は、イギリスの応用ポジティブ心理学協会(CAPP)から
出版された『Average to A+』という一冊。
強み研究の論文でも630件の引用がある書籍です。
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『Average to A+: Realising Strengths in Yourself and Others (Strengthening the World Series)』
Alex Linley (著)
https://amzn.asia/d/0895bkG7
===================
強みの三大学派のひとつ、
ストレングスプロファイル(当時の名称はRealise2)の開発者である
アレックス・リンレイ博士が、
「強みをどう特定し、どう考えるか」という思想的な土台を
整理した一冊として、後の研究にも大きな影響を与えています。
■本書の全体像と章立て
本書の章立ては以下のようになっています。
問題提起~強みを見つける~職場~子育てへの活用まで、
幅広い内容になっています。
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・第1章 平均では不十分
・第2章 原点に立ち返る
・第3章 私たちのネガティビティ・バイアスと注意
・第4章 強みを見つける
・第5章 自分らしくより良く
・第6章 職場で強みを生かす
・第7章 黄金の種と輝く子どもたち
・第8章 最大の貢献をする
・第9章 最大の違いをもたらす最初の行動
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ということで、今日からこの本の内容を、
第1章からじっくり解説してまいりたいと思います。
ちょっとマニアックかもしれませんが、
よろしければお付き合いくださいませ。
それでは、早速まいりましょう!
■第1章「平均では不十分」を読み解く
第1章は、私たちが無意識に囚われている
「平凡さの追求」への批判から始まります。
冒頭ではジム・コリンズの
「『良い』は『偉大』の敵である」という言葉が引用されており、
私たちは誰しも「自分は平均以上だ」と思いたい一方で、
社会や組織は「すべての人がすべての分野で等しく優秀であること」を
求めてくる、という矛盾が指摘されます。
学校教育ではすべての教科での優秀さが求められ、
職場では平坦なコンピテンシーモデルによって
全員が均一な能力を持つことが期待され、
そこからの逸脱、つまり弱みばかりが修正の対象になっていく。
心理学もまた長らく「精神疾患の治療」に
焦点を当ててきました。
この「マイナスを0にする」という当たり前、
「平凡の呪い」を打ち破り、
「まあまあ」ではなく「完璧」な状態を目指すための道標として、
本書は位置づけられています。
■強みアプローチという新しい視点
「あなたの強みは何ですか?」と聞かれて、
すぐに答えられる人は実は多くありません。
謙遜から傲慢に思われることを恐れるだけでなく、
そもそも強みを指し示す独自の言葉、語彙を
私たちが持っていないことが、
大きな理由のひとつだといいます。
著者リンレイは、
強みアプローチの土台として5つの原則を挙げています。
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・1.何が正しく機能し、強いかに焦点を当てること
・2.強みはすべての人が持つ人間の基本性質であること
・3.個人の最大の成長ポテンシャルは、
最大の強みがある領域にあること
・4.弱みの克服が意味を持つのは、
同時に強みを最大限に活かしているときだけであること
・5.強みを使うことは
「最小の行動で最大の違いをもたらす」手段であること
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■ポジティブ心理学の土台から強みへ
第二次世界大戦前、心理学には
「精神疾患の治療」「人々の豊かな人生の支援」
「優れた才能の育成」という3つの使命があったそうです。
しかし戦後、傷病退役軍人の支援に研究資金が集中したことで、
心理学は「疾患の修復」に偏り、
残る2つの使命は長らく置き去りにされてしまいました。
この不均衡を正したのが、
1998年にアメリカ心理学会の会長に就任した
マーティン・セリグマンです。
「心理学は、人生を生きるに値するものにする事柄の研究を
軽視してきた」という演説が、
ポジティブ心理学という新しい科学の誕生を後押ししました。
セリグマンとチクセントミハイは、
ポジティブ心理学を主観的レベル
(充足やフロー、希望などの体験)、
個人レベル(愛や勇気、忍耐力などの特性)、
集団レベル(責任感や利他主義などの徳性)
という3つで定義しています。
欠点の修復から、ポジティブな資質の構築へ。
この流れの延長線上に、本書もあります。
■「強み」とは何を意味するのか
イギリスでの1,000人規模の調査によると、
自分の強みを意味のある形で答えられた人は、
わずか3分の1程度だったそう。
そんな、強みの定義は研究者によってまちまちですが、
本書では「強み」を、以下のように定義しています。
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<本書における「強みの定義」>
“「強み」とは、特定の行動様式、思考様式、
あるいは感情様式に対する生来の能力であり、
その能力は本人にとって正当かつ本質的なものであり、
最適な機能、発達、そして能力発揮を可能にするものである”
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そして、著者は強みを「単に得意なこと」を超えて、
以下の4つの要素で定義しています。
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<強みの4つの要素>
・1.事前に存在する能力
生まれつき、あるいは子供時代に脳に配線された能力であること。
人は何も書かれていない白紙の板ではない、
というわけですね。
・2.本物である感覚
それを使っているときに
「これこそが本当の自分だ」と感じられること。
・3.活力を与える性質
使うほどにエネルギーが湧いてくること。
実際、強みを多く使う人ほど高いバイタリティを維持し、
燃え尽きにくいという研究結果もあるそうです。
・4.最適な機能とパフォーマンス
脳がすでにある神経経路を活用することで学習効率が上がり、
最適な機能とパフォーマンスに到達しやすくなること。
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■言葉にするから、強みが立ち現れる
言葉は、口にするだけで強力な感情作用を及ぼすといいます。
「悪い、悲しみ、喪失、痛み、弱み」と唱えると心が沈み、
「良い、喜び、愛、獲得、強み」と唱えると
ポジティブな感情が湧き上がる。
私たちはこれまで、
精神疾患や欠けている部分を定義する言葉は
数多く開発してきた一方で、
「人々の良い部分」を表現する語彙は
極端に不足している、という指摘をしています。
名前がなければ、ふわふわした霧のように安定せず、
注目されずに忘れ去られてしまいます。
強みに名前を与えて具体化することで、
私たちは自分の才能をようやく効率的に
活かせるようになるのだそうです。
■人々の3つの反応
この強みアプローチに直面したとき、
人々の反応はおおむね3つに分類されるといいます。
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・1.提唱者
「昔から感覚的にやってきたことに、
体系的な言語が与えられた」と歓喜する層。
・2.未決定者
エビデンスを見極めるまでは信じない層。
彼らは学問が妥協なく育つために不可欠な存在である。
・3.抵抗者
「甘くてお気楽な遊びだ」と切り捨てる層。
この抵抗の背景には、変化を嫌う姿勢だけでなく、
「価値ある成果を得るには苦痛や自己犠牲が必要だ」
という西洋的な労働倫理や、
脅威に本能的に目を奪われる
ネガティビティ・バイアスを持っている。
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著者は、「抵抗者」の言い分にも一理あると認めています。
従来の強みアプローチは
「弱みを一切無視して強みだけを見ろ」
という極端なものが多く、それが反発を招いていた。
リンレイのアプローチは、
強みを最大化しつつ、
パフォーマンスを阻害する弱みは「無関係」になるよう
管理していく、というバランスを重視するものだといいます。
■まとめと感想
改めて本書を読んで感じたのは、
「強み」という概念を、かなり早い段階から
多面的に捉えていた一冊なのだということです。
本書では、強みを単に「得意なこと」として扱うのではなく、
自分らしさと結びつき、使うことで活力が生まれ、
よりよいパフォーマンスや成長につながるものとして
定義しています。
だからこそ、強みの活用は、
仕事満足度やキャリア満足度、
さらには人生満足度にも影響を与えていくのだと思います。
何より素晴らしいのは、
当時まだ強みアプローチへの抵抗が多かった中で、
こうした考え方を世の中に投げ込んだことです。
今では、クリフトンストレングスなどを職場で活用し、
よい反応を得る場面も少しずつ増えてきました。
これからも、強みというテーマが、
仕事、キャリア、幸福、人間関係など、
さまざまな角度から研究されていくとよいなと思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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https://note.com/courage_sapuri/n/n0f79318a8c47?app_launch=false
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【編集後記】
◯今月のランニング:73km
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