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令和8年7月30日(第4539号)
AIを使うと、私たちの能力は本当に高まるのか?
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2778字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
先日は午前中に、
管理職向けのストレングス・ファインダーのオンライン研修の実施。
また夕方には12kmのランニング。
その後、大学の講師仲間でもあり、出版ゼミの同期でもあった谷口恵子さんが開催する、
「AI時代の教育と学びの未来を考える」という勉強会に参加してまいりました。
https://colania260729.peatix.com/
「OECD Digital Education Outlook2026と最新研究から読み解く、
これからの学習支援・教育ビジネス」
という副題の通り、
「AIが、私たちの学習をどう加速させていくのか?」、そして
「そもそもAIを使うことで、本当に私たちの能力は伸びているのだろうか?」という問いについて、
最新研究を交えながら考える内容でした。
普段からAIを使っている身としても、非常に考えさせられる時間でした。
今日は、その勉強会を聞いて感じたことについて、まとめてみたいと思います。
それでは、どうぞ!
■AIを使うことと、能力が高まることは別なのか
まず、個人的に面白かったのが
「AIを使うことで、自分の能力は高まっているのか?」
という、勉強会で投げかけられた問いです。
AIを使うと、仕事は間違いなく速くなります。
これまで1時間かかっていたものを、30分にすることもできる。
企画を考える。文章をまとめる。資料をつくる。
こうした作業に着手する心理的なハードルも、かなり下がりました。
一方、
「では、過去の自分を超えるような新しい能力を獲得しているのか?」
と聞かれると、少し怪しい。少なくとも私は、そう感じています。
周りの方との話でも、
「AIが出したものは、結局ダブルチェックが必要」
「批判的に見ないと、普通に間違っていることもある」という話になりました。
(批判的にツッコむと、「鋭い指摘ですね。おっしゃるとおりです」とすぐ折れるなど…苦笑)
ちょっと変なたとえですが、
「薄いポカリというか、不純物が入ったポカリ」みたいな感じでしょうか。
一見すると、それらしい。そして飲める。
ただし、そのままだと味が良くない。
だから最後は、自分で濃度を調整したり、余計なものを取り除いたりする必要がある。
AIが仕事を速くしてくれることと、
自分自身の能力が高まることは、どうも別の話なのかもしれません。
■AIを使えば、学習効果が上がるわけではない
そして、勉強会で紹介されていた研究も非常に興味深いものでした。
教育現場でAIを使わせると、AIを使っている最中は能力が上がる。
しかし、「AIを外したときに、数学のスコアが下がってしまうケースもある」とのこと。
つまり、「『AI+自分』で能力を発揮できる」ことと、
「『自分だけ』で能力を発揮できる」ことは、同じではないということです。
AI教育を考えた時に、これを良しとするのかどうか…ここは非常に考えさせられるところです。
ちなみに、その中で、
AI活用を本人の能力向上に役立てるためのガイドが
「『教育のガードレール』を設けること」が重要だそうです。
具体的には、
・⑴完全な回答を最初から出さない
・⑵本人に途中で考えたことや詰まった点を説明させる
・⑶最小限のヒントから始めて段階的に支援を増やす
といった工夫です。
つまり、「AIに答えをもらう」のではなく、
「AIを使って、自分で考える」ように設計するということです。
また、指導者側へのAI支援についても、
単純に汎用AIに何でも聞くのではなく、
熟練したチューターの知識や判断を組み込んだAIを使うことで、
経験の浅い指導者の能力向上につながる可能性がある、という話もありました。
こうした研究から見ると、学習効果を高めるAIには、いくつか共通点があるそうです。
一つ目は、答えを直接出さない。
二つ目は、誤りを防ぐ仕組みを外側に置く。
三つ目は、最後は人が決める。
AIだけにすべてを判断させるのではなく、
人間の知恵や熟練者の判断をどこかに残しておく。
この考え方は、かなり重要なのだろうと思いました。
■AIを「答えをくれる存在」にしない
そして、今回特に自戒を込めて覚えておきたいと思ったのが、
「生成AI利用を学びに活かす5つの原則」という話でした。
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<生成AI利用を学びに活かす5つの原則>
・1. 人の思考を先に:AIに聞く前に仮説を出す
・2. 答えより問いをもらう:AIを質問者、伴走者にする
・3. 過程を見える化する:成果物だけで評価しない
・4. 人が判断をする:目的・評価・責任を残す
・5. 目的に合わせる:汎用AIをそのまま使わせない
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中でも一番大事だと思ったのが、「人の思考を先にする」ということです。
AIを使うと、認知的努力を省略できます。
自分でウンウン考える、脳に汗をかく時間、
「これってどういうことなんだろう?」と、答えが出ないまま頭を動かす時間。
そういう時間を、AIは短くしてくれます。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。
ただ、人は楽したい生きものですし、AIも商業利用としてそのように作られています。
しかし、それだけでは、結果的には、望ましい結果を得られなくなってしまう。
ゆえに、AIに聞く前に、「自分はこうではないかと思う」という仮説を一度出す。
そして、仮説に対してまとめた後も、
「何が抜けているのか」「どこに反論できる余地はあるか」「別の見方はあるか」などと問いをもらう。
こうした「答えをもらう」よりも「AIに叩いてもらう」使い方のほうが、
学びという意味では明らかに深くなるのだと思います。
■まとめ:アウトプットよりもプロセスの価値が重要になるのかもしれない
AIを使うようになってから、いろいろなものを同時並行で進められるようになりました。
企画を考え、資料をつくり、文章をまとめることに、
心理的抵抗感が減ったので、着手のスピードは明らかに速くなりました。
でも、その分、文字を一つずつタイピングする中で、
「この言葉でいいのか」「この話の次は、何を置けば自然なのか」と考える時間は減りました。
それがなくなってみて、そこにあった大切なプロセス、
言葉にはしていないけれど、検討した足跡がなくなることで、
「アウトプットの質量が軽くなる」ということも、最近は体感しています。
AIが一瞬で「形」を作ってくれる時代だからこそ、
自分の頭で「見えないもの」を考える時間。
答えが出ない中で、うんうんと悩む時間、
そんな「知的プロセス」を、あえて手放さないこと。
それが、これから学び続ける上で、
とても大切なことなのかもしれない。そんなことを思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:249km
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