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令和8年7月25日(第4534号)
「自分は大丈夫」が、大丈夫ではなかった話
ー睡眠外来でわかったことー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3654字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
先日、生まれて初めて「睡眠外来」なるものに行ってきました。
きっかけは、友人との何気ない会話でした。
その友人は、企業研修の前などに目が冴えて眠れなくなることがあり、
内科で「睡眠導入剤」を処方してもらっているとのこと。
それを聞いて、
「そういえば、研修前とかランニングのレース前って、
あまり眠れていない気がするな…」
とふと思ったのでした。
Garminなどのスマートウォッチで毎晩測っている「睡眠スコア」はよくて70点。
90点を超えることは、1年に数回あるかないかです。
睡眠時間も、本当は7〜8時間くらい眠りたいのに、平均5時間30分。
そんな状態が、私のデフォルトです。
ゆえに、私はずっと「まあ、こんなものなんだろう」と思っていました。
ところが最近、妻がOura Ringという体調管理のリングを使い始めました。
すると妻は睡眠スコアが90点近くです。デバイスが違うとはいえ、疑問に思います。
「そんなにぐっすり眠れるものなの?」
と驚いていると、逆に妻から、
「やすさん(私のこと)、割と寝苦しそうにしているよ」とのこと。
もしかすると、自分は思っている以上に眠れていないのではないか…?
そんな疑問が浮かび、友人の話にも背中を押されて、
近所の睡眠外来を受診してみることにした、というお話です。
それでは、どうぞ!
■「睡眠時無呼吸症候群のはずがない」
友人の話を聞いた直後、早速、
近くで睡眠を専門に診ている「睡眠内科」なるものを探し、予約を取りました。
正直なところ、私の想定はかなり軽いものでした。
「最近ちょっと眠りが浅いんです」
→「睡眠導入剤とかありますか?」
→「じゃあ、これを試してみましょう」
→「よく眠れるようになった!」
みたいなストーリーを考えて、さくっと薬をもらって、
ぐっすり眠れるようになったらいいなあ、くらいに考えていました。
そこで、診察では、そんな軽いノリで、
普段スマートウォッチでは5時間半程度しか眠れていないこと、
Garminでも深い睡眠が少ないことなどを伝えました。
でも、いびきはなさそう。ゆえに、
私「たぶん睡眠時無呼吸症候群ではないと思うんですけどねえ……」
などと、素人考えをアピールしつつ、話しました。
すると先生は、うーん、みたいな顔をしながら、
「まず、レントゲンを撮ってみましょうか」
と言いました。
そして、サクッとレントゲンを撮って、診察に戻ります。
すると、その結果を見た先生から一言、
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先生「睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと思います」
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えっ、マジですか?
■なんだか大掛かりなことになってきた
睡眠時無呼吸症候群というと、私は勝手に
「いびきが大きい人」「肥満傾向の人」などで、
気道を圧迫してしまう人をイメージしていました。
私はランニングをしているので、体重もそれほどありません。
また、以前に扁桃腺を切除しているため、扁桃腺のそれも原因ではなさそうです。
しかし先生によると、私の場合、
「舌を支える骨の位置が低すぎる」のだそうです。
そうすると、眠って筋肉がゆるんだときに舌が落ち込み、
気道を狭くしている可能性がある、という説明でした。
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先生「いずれにしても、きちんと検査をしてみましょう。
二晩、睡眠測定の機器を装着して、データをとってきて下さい」
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ということで、今度は自宅で
睡眠中の呼吸や血中酸素濃度などを調べる検査をすることになりました。
翌晩から、睡眠時にいろいろな機器を装着して眠り、
そのデータを翌週、病院に提出します。
軽い気持ちで睡眠導入剤をもらいに来たつもりが、
なんだか大掛かりなことになってきました。
■分析結果からわかった事実
そして後日、検査結果が出ました。
10枚ほどあるレポートを見せられて、説明を受けました。
先生からの診断結果は、こうでした。
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先生「軽度から中等度の境目あたりの睡眠時無呼吸症候群ですね」
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驚いたのが、「いびき」はほとんどなかったことです。
…にもかかわらず、睡眠中に呼吸が弱くなったり、
一時的に止まったりする状態が、1時間あたり約15回起きていたとのこと。
長いときには、20秒近く呼吸が止まっていることもありました。
呼吸が止まると、血中酸素濃度が下がります。
すると体は危険を察知して覚醒する。
せっかく眠りが深くなっても、また浅い眠りに戻ってしまう。
これを一晩の中で何度も繰り返していたようです。
先生からは、私の場合、単純に睡眠導入剤を使うのではなく、
まず呼吸の問題に対処することが大切だと説明されました。
治療については、現時点では「CPAP」という本格的なものではなく、
下顎を少し前に出して気道を確保する専用の「マウスピース」を試すことになりました。
歯科医への紹介状を書いていただき、まずは数カ月試してみましょう、と。
その結果を見ながら、必要であれば別の方法も考えていく、という方針になりました。
■「当たり前」だと、異常に気づけない
今回、一連の出来事で一番驚いたのは、
睡眠時無呼吸症候群だったことそのもの以上に、
「自分がずっと睡眠不足だったことに、自分自身が気づいていなかった」
ということでした。
睡眠時無呼吸症候群について、
日中の眠気を確認するチェック項目があります。
たとえば、「人が運転する車に乗っていると眠くなるか」という質問。
私は、「そりゃ、車に揺られたら誰でも眠くなるでしょう」と思っていました。
あるいは、渋滞などで車が数分止まっていると眠くなる。
これもそう。私にとっては、ごく普通のことでした。
ところが、どうやらそうではない人もいる。
というか、それが当てはまる場合は、「睡眠不足の可能性がある」ということ。
つまり私は、40数年間「常に、ちょっと眠い状態が普通である」
と思って生きてきた可能性があるわけです。
これは、なかなか衝撃的でした。
■「自分のことは、自分には見えない」
この話を聞いたとき、
ふと仕事で行っている「フィードバック」のお話を思い出しました。
あくまでも例ですが、ある管理職が、
「自分は部下の話をよく聞いている」と思っていたとします。
ところが360度フィードバックをしてみると、部下から、
「上司は、私の話をあまり聞いてくれない」
という結果が返ってくる。
こういうことが、実際あるわけです。
すると、本人にとっては、結構びっくりする。
しかし、データとして突きつけられることで、初めて見えるものがある。
今回の睡眠も、まさにそれと同じでした。
私は、
「自分は大丈夫」
「これくらいの眠気は普通」
「睡眠時無呼吸症候群ではないと思う」
と考えていました。
そして先生にもそう言いました。
でも、データを取ってみると、違っていた。
自分にとって「ずっとそうだったこと」は、
比較対象がないため、それが普通だと思ってしまう。
これは睡眠だけではなく
、仕事でも、人間関係でも、自分自身の性格でも、同じなのかもしれません。
だからこそ、ときにはデータを取ってみる。他者からフィードバックをもらってみる。
そして、
「もしかすると、自分が思っている自分と、実際の自分は違うのかもしれない」
という疑いの目を、自分自身に向けてみることも大切なのだろうと思うのでした。
■まとめ:眠れる&回復できる日がやってくるだろうか
ちなみに、今回の治療には個人的にかなり期待しています。
睡眠時無呼吸症候群への対処をした人の体験談を見ていると、
「朝の目覚めがまるで違った」「世界が変わったようだった」という声もありました。
私の場合、Garmin(ウェアラブルデバイス)の「トレーニングレディネス」も、
「良」になったことがほぼありません。よくて「中程度」です。
朝起きて走ろうと思っても、時計からは、
「体が疲れています。休息してください」
という趣旨のアラートが出てくる。
そして、AIが練習メニューの負荷を落としてくるわけです。
そうすると、自分もちょっと甘えてしまう(はい、言い訳です)。
もし睡眠が改善したら、仕事中の集中力も、日中の眠気も、
あるいはランニングのパフォーマンスも変わるのかもしれません
(変わらない可能性もあるけど)。
もしかすると、40数年間知らなかった
「ちゃんと眠れた自分」に出会える可能性もあるわけです。
(出会えないかもしれないけど)
そう思うと、少し楽しみにしながら、
まずはマウスピースを作って、しばらく睡眠と向き合ってみる実験が、ちょっと楽しみです。
そして数カ月後、本当に何かが変わったのか。また改めてご報告できればと思います。
皆さまも、もし心当たりがある方は、ぜひ「睡眠外来」にいってみてください。
中程度の睡眠時無呼吸症候群は、成人の10%くらいいるそうです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:210km
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