配信日時 2026/07/13 07:44

『教室におけるニューロダイバーシティ』から学ぶ、子どもの強みの活かし方【カレッジサプリ】

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令和8年7月13日(第4522号)


『教室におけるニューロダイバーシティ』から学ぶ、子どもの強みの活かし方


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3144字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、朝から22kmのランニング。

最近は、やや追い込みが足りていなかった気もするので、
ここから負荷を上げて、走力も高めていきたいと思います。

また、夕方からは家族でお出かけ。
仕事用のレゴが子どものおもちゃになってしまっていたので(汗)、
別途買うことにしました。

子供向けのクラシックなレゴのほうが、
大人向けの企業研修で使うものより没頭度合いが高く、
やはり「対象によってハマるツールは違う」のだな、と感じた次第です。



さて、本日のお話です。

先日、ニューロダイバーシティという「脳の多様性」の考え方について、
息子の話も踏まえて記事を書きました。

ありがたいことに、複数の方から情報をいただいたりして、
視野が広がっているように感じます。
学習障害やユニークな特徴を持つ親御さんは、たくさんいらっしゃるようです。

加えて、「強み」という概念の、
まだ知らなかった可能性を見せてもらっているような気がしている今日この頃です。

その中で、「ニューロダイバーシティ」という言葉の先駆けになったとされる一冊があります。

今日はその本の概要をまとめた資料をもとに、
ポイントを皆さんと共有させていただければと思います。

それでは、どうぞ!

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<今日の一冊>
『Neurodiversity in the Classroom: Strength-Based Strategies to Help Students with Special Needs Succeed in School and Life
(教室におけるニューロダイバーシティ:特別なニーズを持つ生徒が学校と人生で成功するための強みベースの戦略)』
トーマス・アームストロング(Thomas Armstrong)
※要約資料→https://pdfs.semanticscholar.org/a1f7/52d98473603c8896e4e965675e5886d78ced.pdf
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■ニューロダイバーシティとは何か

ニューロダイバーシティ。
この言葉、実は1990年代に、ジャーナリストであり
自閉症の啓発活動家でもある人物によって作られたものなのだそう。

人が直面する困難と、その人生におけるポジティブな側面、
つまり「強み」の両方を映し出すために使われてきたのだと。

特別支援教育における子どもたちへの見方そのものを、
脳の多様性・生物多様性・文化的多様性という観点から捉え直す。

いわば、パラダイムシフト的な言葉が生まれました。



■「ポジティブ・ニッチ構築」というアプローチ

その中核にあるのが、「ポジティブ・ニッチ構築」という考え方です。

生徒一人ひとりの、ニューロダイバーシティな脳に合わせて、
指導を差別化し、個別化していく実践のこと。

これは、次の7つの要素から成り立っています。

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<ポジティブ・ニッチ構築の7つの要素>
⑴強みの認識——マイナス面ばかりに目を向けていると、学習を効果的に個別化する力そのものが制限されてしまう

⑵ポジティブなロールモデル——脳のミラーニューロンは、自分がやるときだけでなく、他人が同じことをしているのを見るだけでも活性化する

⑶支援技術/学びのユニバーサルデザイン——障害のある人のアクセス性を高めると同時に、実は誰にとっても恩恵になる

⑷強みを活かした学習戦略——必ずしも従来型の枠にとらわれない

⑸充実した人的資源——教師、コーチ、チューター、保護者……生徒を支える豊かなネットワーク

⑹肯定的なキャリアへの志向——強みに合ったキャリアを探せることは、人生の意味や目的意識につながる

⑺環境の調整——生徒の強みが最も引き出される環境を、見つける、あるいは創り出す
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言われてみたら、

「教育って、こうあったほうがよいよね」と共感できる「理想的」な内容のように思えます。
しかし、それを明文化し、実際に導入していく「現実化」の間には、隔たりがあるもの。

それを、こうした考えが発端となり、少しずつ広がっていることには、
概念を提唱した、先人達への敬意と感謝を覚えます。



■5つのユニークさと、そこに宿る強み

本書では、学習障害、ADHD、自閉症、知的障害、情緒・行動障害という5つのカテゴリーについて、
それぞれの強みと学習戦略が丁寧に語られています。

米国の著書のため、そのデータが元になっていますが、以下、かいつまんでご紹介します。


◯学習障害のある子ども

学習障害(LD)は、米国において特別支援教育に紹介される最も一般的な理由で、
公立学校の全生徒の約5%を占めるといいます。

中でも多いのが「発達性ディスレキシア(読字障害)」。
ある研究では、文字にうまく対応できない代わりに、
「世界を鮮明かつ三次元的に捉える能力」があると言われています。

この間に、ある種の「トレードオフ」が存在しているのではないか、と指摘されているそうです。


◯ADHDのある子ども

ADHDについては、3つの主症状——多動性・注意力散漫・衝動性——を、
そのままネガティブに見るのではなく、
「活力・発散的思考・自発性」というポジティブな資質として捉えることもできます。
この、特性がどう映るかは、置かれた環境次第だという視点が印象的です。

休み時間にきちんと外へ出す、お使いを頼む、大きなバランスボールに座らせる。
環境調整 of 工夫が、具体的です。
(デンマークの教室でもこうした児童への関わりが見られました)


◯自閉症のある子ども

自閉症の生徒は、「細部を認識する力に長けている」ことが多いといいます。
『ウォーリーをさがせ』のエキスパートという例えが言い得て妙です。

対人関係は苦手でも、
機械やプログラム、数式や図面には強い親和性を示す。
ウェブデザイナーや会計士、プログラマーといったキャリアの相性が語られていました。


◯知的障害のある子ども

知的障害のある生徒については、
IQスコアではなく、「音楽、社会的交流、身体的な専門性、視覚化、自然、感情といった能力」に目を向けるべきだと。
ダウン症で初めて学位を取得した人、英仏海峡を泳ぎ渡った人など、
たくさんのロールモデルが紹介されているのも励みになります。

指導の要は、体験的で、鮮明で、実践的であること。
言葉が多すぎる説明はむしろ避けるべきだそうです。


◯情緒・行動障害のある子ども

情緒・行動障害(EBD)は、
学齢期の子どもの9〜19%が基準を満たすとされながら、
実際に特定されサービスを受けているのは1%未満だといいます。

あらゆる障害カテゴリーの中で最も中退率が高い(50%)という数字には、
正直少し、ざわつきを感じました。
人間関係で共に歩む力は、やはり重要なのだろうな…と。

一方で、双極性障害の子どもが
「創造性テストで高いスコアを示した」という研究もあり、
精神疾患と高い業績との結びつきも語られています。

事前の「見通し」を与えること、セルフ・トークのスキルを教えること、
感情を表現する場を用意すること。

どれも、特別なことというより、本来すべての子どもに必要な関わり方のようにも思えました。



■まとめと感想

改めてこの「ポジティブ・ニッチ構築」や強みを活かす学校のあり方を見ていて、
先日出てきたデンマークのフォルケスコーレのことを思い出しました。

調べてみると、フォルケスコーレは、
「できる限りすべての子どもを通常学級で学ばせる」という
インクルーシブな法制度があるそうです。

個別の強み・興味・非公式な能力を基盤にすることが法律で定められています。

そのための環境デザインや人的リソース、
環境の調整といった仕組みも、驚くほど重なって見えました。


現在、日本の特別支援の小学校でも、
特別支援員という方が数名配置されていたり、
オルタナティブスクールができてきたり、
私の知らないところで教育のあり方は少しずつ変わってきているのかな、と
素人ながら感想を持ちました。

弱さを「直すべきもの」としてではなく、
環境次第で輝く「強み」として見る。

そうした選択が、より多く広がっていけるといいのだろうな、そんなことを感じた次第です。

引き続き、このあたりのテーマを掘ってみたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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【編集後記】
◯今月のランニング:109km

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