配信日時 2026/07/11 08:40

5歳の息子の「発達支援」を受ける中で思うこと ーニューロダイバーシティ(脳の多様性)という捉え方ー【カレッジサプリ】

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令和8年7月11日(第4520号)


5歳の息子の「発達支援」を受ける中で思うこと
ーニューロダイバーシティ(脳の多様性)という捉え方ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3452字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

私ごとですが、5歳になる息子がいます。

一人息子なので、ほかの子どもがどのように育っていくのか、
正直なところ、よくわかりません。

ただ、幼い頃から少し気になることはありました。

運動会では、みんなが踊る横で、一人だけ踊らずに様子を眺めている。
なんだか動きもゆっくり。
そして、なんだかこだわりがやたら強い(気がする)。

「クセ強だね、個性だね」と、妻と話すものの、親ですからちょっと心配です。

そんな話を友人とすると

「『療育』というのがあるよ。
ほぼ無料で発達支援のサポートを受けられてオススメだよ」

と言われたので、相談に行きました。
(ちなみに、『療育』とは、”発達に遅れや課題のある子ども(またはその可能性がある子ども)に対し、
 その特性に合わせて個別のサポートを行い、自立と社会参加を目指す取り組み”のことです)

それを、3歳頃に相談したところ、
「発達に少し凸凹があるかもしれない」と言われたことから、
それ以来、息子は療育(児童発達支援)に通っています。

今日は、そんな息子との日々で思うこと、
そして最近知った「ニューロダイバーシティ」という考え方について、書いてみたいと思います。

同じように感じている親御さんの、参考になれば幸いです。

それでは、どうぞ。



■療育で見えてきた、息子の「苦手なこと」

療育とはいくつかのパターンがあるようですが、
息子が受けている支援は未就学児を対象に、
日常生活の自立や集団生活への適応訓練で、「児童発達支援」と呼ばれるものです。

2つの種類の支援を受けているのですが、

一つは、「運動機能」に関する支援です。

いわゆる、「跳ぶ」「ボールを蹴る」「跳び箱をとぶ」といった、体を大きく使う動き。
また、鉛筆を持つ、箸を使う、ハサミで紙を切るといった、
指先を細かく使う動き、こうしたことに、息子は少し苦手さがあります。
(5歳半で、最近ブランコに乗れるようになりました。成長です)


もう一つは、「小学校就学に向けた支援」です。

学校にいくと、先生の話を聞き、指示に沿って、
みんなと一緒に活動することが求められます。

ただ、「先生の話を聞けない」「指示がわからない」ということができない子もいます。
多くの場合、自分で慣れていくのですが、慣れることに時間がかかる場合がある。
その場合、本人にも大きなストレスになります。

そうした生活に関する準備をするものです。


そして、実際、その授業を見学すると、
「やはり先生の指示が聞こえていない」という様子がみられました。
そして、はっと気づくと、周りが進めており、そうではない自分を見て不安になり動揺する、など。

彼が明確になにかをしたというわけではなく、
気質として、生まれ持ったこうした「特徴」が見られるようでした。



■親は、起きていない未来を心配する

もちろん、それは息子の一つの側面でしかありません。

息子は、とてもかわいらしく、ひょうきんで、
おどけることが大好きな子です。

ケンケンができないからなんだ、
自転車が乗れないからなんだ。

別に、先生の指示を一度で聞けないことからといって、
息子の価値を決めるものでは、決してありません。


・・・頭では、そう思っている。

けれども、親として不安がないかといえば、やはり嘘になります。

学校という集団生活の中で、
周囲と足並みを揃えることができなければ、
授業についていけなくなるのではないか。

みんながサッカーや鬼ごっこをしているときに、
運動が苦手だったら、友達の輪に入りづらくなるのではないか。

そうした結果、自信を失って、社会に溶け込めなくなるのではないか…。

親になると、まだ起きてもいない未来を、先回りして心配してしまいます。
多分、それは世の親御さんも同じなのでは、と思います。


さらに、発達検査や知能検査を受け、
「同年齢の下位5%ほどのパーセンタイルです」と伝えられれば、
心がざわつかないはずがありません。

もちろん、その数字だけが、その子のすべてを表しているわけではありません。

しかし、何かしらを表している事実の一つでもある。
息子の人生を、私がずっと支え続けることはできません。

だから、できることはしておきたい、と思うのでしょう。



■「ニューロダイバーシティ」という考え方

さて、そんなことを思っている中、ふと出会ったのが、
「ニューロダイバーシティ」という言葉でした。

ニューロダイバーシティとは、
日本語では「神経多様性」と訳されます。

自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害などを、
単純に「欠陥」や「遅れ」として見るのではなく、
人間の脳に存在する多様なあり方の一つとして捉える考え方です。

つまり、

“人の脳や神経の働き方には、生物多様性と同じように、さまざまな違いがある”

と考えるのです。

2010年代から注目され、教育現場に普及し、
日本でも「特別支援学級」などの考えに広がっています。

その中でも、その先駆的な書籍である『教室におけるニューロダイバーシティ』は
「ニューロダイバーシティを、強みベースの教育にする」というテーマで掲げており、非常に惹かれました。

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『教室におけるニューロダイバーシティ』
トーマス・アームストロング
※要約はこちら→https://docs.google.com/document/d/1DYsftMXCzTcCp3QsTvCOJweZy6M1xMPzDrQAhI2N1mo/edit?usp=sharing
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■「弱みを直す」だけではなく、「ポジティブな居場所」をつくる

この本では、
ADHD、自閉スペクトラム症、知的障害、学習障害、情緒・行動面に困難を抱える子どもたちについて、
それぞれが持っている可能性や才能に目を向けています。

印象に残ったのが、「ポジティブ・ニッチ」という考え方です。

生物は、自分に合った環境の中でこそ、その力を発揮します。

砂漠に適応した生き物を、湿地に連れていき、
「なぜ泳げないのか」と責めても意味がありません。

人間も、同じように、集中しやすい場所、
理解しやすい伝え方、安心できる人間関係、得意な方法で参加できる仕組みを設けること。

その子自身を無理に変えるだけではなく、
その子が力を発揮しやすい環境を整えていく。

それが、「ポジティブ・ニッチ」の構築です。



■デンマークの学校で見たもの

この考え方に触れたとき、
昨年、「デンマークの小学校(フォルケスコーレ)」を見学した際のことを思い出しました。

教室のうしろには、「電話ボックスのような小さな空間」が用意されていました。

音が大きく聞こえてしまう子や、
周囲の動きが目に入ると集中しづらい子が、
一人で静かに学ぶための場所だと聞きました。

あるいはじっと座り続けることが難しい子は、
途中で校庭に出て体を動かしてもよいとされていました。

「全員が同じ場所で、同じ姿勢で、同じ方法で学ばなければならない」

という発想を手放して、
学ぶという目的にたどり着けるのであれば、
その方法はいくつあってもよい。

そんな思想が、環境の中に表れているように感じました。

「ニューロダイバーシティ」という考え方、
そしてその特徴を強みとして活かすために、非常に参考になる考えだと感じました。



■「遅れている」のではなく、「違う道を歩いている」と捉える

自閉スペクトラム症やADHD、学習障害などの特徴を持つ子どもは、
決してごく少数ではないとされています。

書籍の中では、だいたい9〜19%が情緒・行動障害の基準を満たしているものの、
実際支援を受けているのは1%未満と述べています。

一つの教室の中にも、
異なる学び方、異なる感じ方、
異なる反応の仕方を持った子どもたちがいます。

大切なのは、その違いを特別なものとして遠ざけることではなく、
最初から教室に存在する自然な多様性(ダイバーシティ
として捉えることなのでしょう。

「ほかの子より遅れている」

そう考えると、できないことばかりに目が向きますが、そうではなくて、

「この子は、ほかの子とは違う道筋で育っている」

と考えると、少しだけ見える景色が変わるような気もします。

息子は、みんなが踊っている中で、
踊らずにじっと観察しているのも、
不安を感じやすいであろうことも、一つの特徴と考えてみる。

その特徴を「困ったこと」だけで終わらせず、
いつか誰かの役に立つ力へと育ててもらえたら、と願うばかりです。

今決められたカリキュラムや基準で、できる・できないだけで見たり、
平均に近づけることだけを目的にしないようにしたい、そう思うのでした。

「ニューロダイバーシティ」という言葉は、
息子と向き合う言葉であると同時に、
親である私自身の視野を広げてくれる言葉でもありましたので、
これから、もう少しこの領域について学び、考えていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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【編集後記】
◯今月のランニング:77km

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