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令和8年7月7日(第4516号)
「強みのワークショップ」の効果をどうはかればよいのか?
ー『強みの自己効力感』の測定尺度の紹介ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3452字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
本日は七夕ですね!
ふと気づけば、願いを短冊に書くことは
しなくなってしまいましたが、
ところどころに笹の葉があるところに季節を感じております。
「志望校に合格できますように」
「あいつから好かれますように」
などあって、なんだか青春だなあ、と思ってしまいました。
また昨日は4件のアポイントでした。
強みの研修のご提案、大学院仲間との研究の進捗の共有など。
その他、夕方からは、13kmのランニングなど。
*
さて、本日のお話です。
今日は「強み」に関する、ある論文をご紹介いたします。
今回のテーマは「強みを使えるという感覚」を測る方法を探す、という研究で、
『強みの自己効力感の尺度』の開発を試みるというものです。
特に、
ストレングス・ファインダーなどを活用した「強みの教育」に関連する方、
研修の実施をされる方にとっては
面白い内容ではないかと思います。
早速内容を詳しくみてみましょう。それでは、どうぞ!
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<今回の論文>
タイトル:Development and Validation of the Strengths Self-Efficacy Scale (SSES)
(強み自己効力感尺度(SSES)の開発と妥当性の検証)
出版:Journal of Career Assessment, 2014年(オンライン公開は2013年)
著者:Chia-Lin Tsai、Adipat Chaichanasakul、Ran Zhao、Lisa Y. Flores、Shane J. Lopez
所属:ミズーリ大学コロンビア校 教育・学校・相談心理学部/ギャラップ・カンザス大学 クリフトン・ストレングス研究所
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■強みに「気づく」ことと「使いこなす」ことのあいだ
自分の強みを見つけ、それを活かしていく「強みベースのアプローチ」は、
職業的な健康や幸福感を高めるものとして、近年注目を集めています。
ですが先行研究が指摘するように、
”自分の強みに「気づいている」”というだけでは、実は十分ではないのです。
それを日々のさまざまな場面で、
意図的に、そして戦略的に活かしていく力こそが求められます。
この「気づき」から「実践」への橋渡しとなる心理的な要因を測るために、
バンデューラの自己効力感理論をもとにつくられたのが、
今日ご紹介する『SSES(Strengths Self-Efficacy Scale:強み自己効力感尺度)』です。
■どうやって尺度をつくったのか
研究は、大きく二つのフェーズに分かれています。
まず心理学の大学院生と教授のチームが、
36の初期項目を作成しました。
そこにポジティブ心理学の専門家4名によるレビューが加わり、
34項目にまで絞り込まれていきます。
研究1では、成人275名を対象にオンライン調査を実施。
34項目のSSES(0〜10点の11件法)と、
社会的望ましさ尺度を組み合わせ、
探索的因子分析によって項目をさらに絞り込んでいきました。
研究2では、まったく別の成人 302名を対象に、
11項目に絞られたSSESに加え、
自尊心尺度や人生満足度尺度も測定し、
収束妥当性を検証。確認的因子分析によって因子構造を確かめたうえで、
そのうち36名には3週間後にもう一度回答してもらい、
時間が経ってもスコアが安定しているかどうかも確かめています。
■主な結果(わかったこと)
分析の結果、SSESは「全般的強み自己効力感」という、
”たった一つの因子(11項目)”で構成されることが、
もっとも妥当だとわかりました。
内的整合性は研究1で.96、研究2で.95と、
非常に高い数値を示しています。
3週間後の再テストでも相関は.88ときわめて高く、
強みの自己効力感というものが、短期間ではそう簡単に揺らがない、
安定した信念であることがうかがえます。
また自尊心(相関.57)や人生満足度(相関.49)とは
ほどよく正の相関を示す一方で、
社会的望ましさとの相関はきわめて低く、
「よく見せよう」という回答の歪みに影響されにくい尺度であることも確認されました。
■バンデューラの自己効力感理論と、SSESの使い方
この尺度の土台になっているのが、
バンデューラの「自己効力感理論」です。
バンデューラは自己効力感を
「遂行行動の達成」「代理経験」「言語的説得」「情動的喚起」
という4つの情報源から形づくられる、
「自分にはこれができる」という信念として位置づけました。
そして自己効力感を測るうえで大切なのは、
「何に対しての自信なのか」
を、回答者にはっきりと意識してもらうことだと言われています。
ただ漠然と「あなたの強みに自信はありますか」と聞かれても、
人によって思い浮かべるものは違いますし、
答えている途中でイメージがぶれてしまうこともあるからです。
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<強みの自己効力感尺度の使い方>
1.定義の確認: 「強み自己効力感とは何か」を理解してもらう。
2.強みの特定(書き出し): 「自分にはこういう強みがある(例:計画性、共感性など)」という対象を、
最大5つ頭の中で(あるいは紙や画面上で)カチッと固定させる。
3.自信度の測定: 固定された「その強み」を念頭に置きながら、
「それを仕事で使う自信は?」「毎日応用する自信は?」と
11件法(0〜10点)で答えてもらう。
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こうした手順を踏むことで、回答者は自分の中でぶれることなく、
「自分は強みをどれくらい使いこなせていると感じているか」を
評価できるようになっているわけです。
■強みの自己効力感SSES:11の質問項目
実際の11項目は、次のようなものです(0〜10点で回答)。
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<強みの自己効力感尺度>
・仕事で自分の強みを使うこと(Use your strengths at work)
・苦労することなく自分の強みを使うこと(Use your strengths without any struggles)
・日々の中で、自分の強みを応用する方法を見つけること(Find ways to apply your strengths in the things you do everyday)
・自分の強みを使って多くのことを成し遂げること(Accomplish a lot using your strengths)
・仕事や学校で自分の強みを応用すること(Apply your strengths at work/school)
・多くの状況で自分の強みを使うこと(Use your strengths in many situations)
・成功するために自分の強みを使うこと(Use your strengths to succeed)
・仕事や学校で毎日自分の強みを使う方法を見つけること(Find ways to use your strengths at work/school everyday)
・いつでも自分の強みを使うこと(Use your strengths at any time)
・人生の目標を達成するのを助けるために、自分の強みを使うこと(Use your strengths to help you achieve your goals in life)
・自分が優れている分野で自分の強みを実践すること(Practice your strengths in areas where you excel)
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■まとめと感想
私ごとですが、弊社では通称「ストレングス・ファインダー」や、
独自の強みツールを使って、企業研修を行う機会を多くいただいています。
そして、企業研修で大事なのは「効果測定」ですね。
しかし、「わかる」と「できる」の間には往々にして溝があるものです。
そして、強みの研修もそう。
「自分の強みは”わかった”」と
「自分の強みを”職場で使える”」という感覚の間には、
やはり溝があると感じます。
『研修転移(研修が現場で活かされるかどうか)』を左右する要素として、
最も有名なのが
「研修の有用度(仕事の役に立つか)・
関連度(仕事に関連しているか)・
自己効力感(仕事で使えそうか)」
という3つを聞くことです。
そしてその中で一番重要なのは
「自己効力感」であることがわかっています。
自己効力感というのは
「人生全般に対してできると思うか」というふうに
一般性自己効力感もありますが、
たとえば
「コーチングの自己効力感(コーチングができると思う)」とか
「歌うことの自己効力感(私は歌える)」は違うように、
対象ごとに切り分けて測っていく必要があるものです。
そして、それは「強み」も同じです。
今回の強みの自己効力感尺度は、
まさに強みという領域に絞ったものでした。
たとえば強みのワークショップを実施したときに、
「これを自分は使えると思えたかどうか」を測ることができれば、
研修の効果測定としても非常に有用だと思います。
この論文の冒頭にあったように、
キャリアカウンセラーや教育者、研究者が
日常生活での活用能力を評価するという意味でも、
かなり実践に近づけられる内容だと感じました。
強み研修を行う際の効果測定にも、
ぜひ使ってみたい尺度だと思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
https://note.com/courage_sapuri/n/ncd5b2dcbad52?app_launch=false
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【編集後記】
◯今月のランニング:50km
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