配信日時 2026/06/26 08:04

「好奇心旺盛な人」になるための2大要素とは? ージョージ・メイソン大学の研究の示唆ー【カレッジサプリ】

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令和8年6月26日(第4505号)


「好奇心旺盛な人」になるための2大要素とは? ージョージ・メイソン大学の研究の示唆ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3754字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、早朝から12kmのランニング。
また、外部人事パートナーとして関わらせていただいている会社への
コーチング&コンサルティングでした。

また夕方は整体へ。

ランニング練習の負荷を高めているので、
体が故障しないように調整が必要なこの頃です。

そして、これからいよいよサッカーワールドカップですね…!
私もじっくりみたいと思います。



さて、本日のお話です。

今日のテーマは「好奇心」です。

「好奇心旺盛」という言葉を聞いて、皆さまはどんなイメージを持つでしょうか。

新しいことにどんどん飛び込んでいくアクティブな人…、そんな姿かもしれません。

いずれにせよ、多分ポジティブなイメージのほうが強いのではないかと思われます。

実際、「好奇心」という強みが高い人は、あらゆる国や文化において「幸福度が高い」という研究もありますし、
意図的に高められるのであれば、なんだか良さそうです。

とはいえ、「好奇心を高めましょう」と言われても、
では具体的に何をすればいいのか…、

なかなかピンとこないのが正直なところです。

そこで今日は、好奇心研究の第一人者として知られるジョージ・メイソン大学のキャッシュダン教授らが開発した、
「好奇心を測るための尺度」なるものが、その答えを示してくれていました。

「好奇心」というものを科学的に測定しようとした、興味深い研究です。

それでは、早速みてまいりましょう!


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<今回の論文>
・タイトル: The Curiosity and Exploration Inventory-II: Development, Factor Structure, and Psychometrics
(好奇心・探索インベントリ-II(CEI-II):開発、因子構造、および心理測定学的特性)
・掲載誌: Journal of Research in Personality, 43巻, 2009年(987–998ページ)
・著者: Todd B. Kashdan, Matthew W. Gallagher, Paul J. Silvia, Beate P. Winterstein, William E. Breen, Daniel Terhar, Michael F. Steger
・所属: ジョージ・メイソン大学 心理学部 / カンザス大学 / ノースカロライナ大学グリーンズボロ校 / コロラド州立大学
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■30秒でわかるこの論文のポイント

・好奇心は「Stretching(伸長)」と「Embracing(受容)」という
 2つの因子からなることが明らかになった

「知識や新しい経験を積極的に追い求める姿勢」だけでなく、
 「不確実性や予測不可能な状況を受け入れる姿勢」も好奇心の本質的な構成要素である

・この10項目の尺度は、幸福感・経験への開放性・個人的成長などと有意な正の相関を示し、
 信頼性・妥当性が複数のサンプルで確認された

・この好奇心の尺度は一般集団の「中間層の好奇心」を
 最も精密に測定できることが数学的に証明された



■なぜ今、好奇心を「測る」必要があるのか

好奇心は、心理学者が研究する「24の性格の強み(VIA)」の中でも、
最も普遍的に支持されている特性のひとつとされています。

進化論的な観点からも、知識の獲得や環境への適応に
不可欠なものとして位置づけられてきました。

ところが、好奇心の研究には長年にわたって困難が伴っていました。

「内発的動機付け」「フロー体験」「新奇性追求」「経験への開放性」など、
呼び名がバラバラで、測定の方法も研究者によって大きく異なっていたからです。

なかには「夜中に廃墟を歩く」といった特定の行動リストで好奇心を測ろうとするものもあり(!)、
本来の概念とはずれた誤差を含みやすいという課題もありました。

そんな中、キャッシュダン教授らは以前にも7項目の好奇心尺度(CEI)を開発していましたが、
一部のサブ尺度で内部一貫性が弱いなどの限界がありました。

本研究は、こうした先行研究の弱点を克服し、
より精緻な好奇心の測定ツールを開発することを目的として行われました。



■4つのステップで尺度をつくる

この研究は、578名のデータを4つの段階(研究1〜4)に分けて分析しました。
(やや専門的な話なのでお読み飛ばしていただいて構いません)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・ステップ1(探索的検討): 311名への調査と因子分析により、妥当性を下げていた「吸収」因子を除外した10項目を選定 。
・ステップ2(確証と幸福感の検証): 150名の分析で「伸長」「受容」の2因子構造を証明し、各種幸福感との正の相関を確認 。
・ステップ3(パーソナリティとマインドフルネスの検証): 119名の分析で再確認し、「受容」因子とマインドフルネスの独自の相関を実証 。
・ステップ4(項目反応理論による分析): 全578名を統合したIRT分析で、本尺度が集団の「中間層」を最も高精度に測れると証明 。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


■好奇心を測る10項目 ーどんな質問か

最終的に完成した「好奇心・探索インベントリ-II(The curiosity and exploration inventory-II:CEI-II)」は、
以下の10項目(各1〜5点で評価)から構成されています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◆ Stretching(伸長)5項目:知識や新しい経験を自ら追い求める動機付け

1.新しい状況において、できるだけ多くの情報を積極的に求めようとする
2.複雑なことや挑戦的なことをしているときに、最も実力を発揮できる
3.挑戦的な状況を、成長し学ぶための機会であると捉えている
4.自分自身や世界についての見方を覆すような経験を常に探している
5.自分自身に挑戦し、人間として成長するための機会を頻繁に追い求めている

◆ Embracing(受容)5項目:日常の不確実性・予測不可能性を受け入れる自発性

1.日常生活の不確実性を心から楽しむタイプの人間だ
2.行く先々で、いつも新しいものや経験を探し回っている
3.少し恐怖を感じる(ハラハラする)ようなことをするのが好きだ
4.刺激的で予測不可能な(先が読めない)仕事を好む
5.馴染みのない人々や出来事、場所をオープンに受け入れるタイプの人間だ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「Stretching」が「能動的に知を広げようとする動き」、
そして「Embracing」が「未知のものに飛び込む心の柔軟さ」を捉えています。

この2軸が合わさったとき、はじめて好奇心の全体像が形作られるということです。



■主な結果(わかったこと)

◯わかったこと⑴ :2因子モデルは複数のサンプルで再現された

「Stretching」と「Embracing」の2因子構造は、異なる大学・異なる時期のサンプルを使っても一貫して確認されました。
信頼性の指標(α係数)も .75〜.86 と安定しており、測定ツールとしての精度が高いことが示されています。


◯わかったこと⑵ :好奇心は幸福感・成長・開放性と深く関わっている

好奇心の合計スコアは、「経験への開放性」(r = .51)や「個人的成長」(r = .49)と特に強い正の相関を示しました。
また、人生の目的(r = .38)、外向性(r = .42)、自己受容などとも有意に関連していました。

一方、抑うつ(r = −.26)や感情調節の困難さとは負の相関があり、
好奇心の高い人は心理的にも健康であるという傾向が見えてきます。


◯わかったこと⑶ 「受容」があってこそ好奇心は動き出す

注目すべきは「Embracing(受容)」の役割です。
新しいことに飛び込む力(Stretching)があっても、不確実さや緊張に耐えられなければ、人は回避を選んでしまいます。

「Embracing」はマインドフルな気づきとも独自の相関を示しており、
「今この瞬間に開かれている」ことと、「知らない世界を受け入れる」ことは、
深いところでつながっているのかもしれません。



■まとめと感想

今回の論文を読んで、印象に残ったのは、
「Stretching(伸長)」と「Embracing(受容)」という2つの因子が好奇心を構成しているという、まさにコアの部分です。

「好奇心がある人」というと、
どんどん情報を集めたり、
新しいことに挑戦したりするイメージがあります。それが「Stretching」の側面。

でも同時に、

「ちょっとハラハラすることを楽しめる」
「先が読めない状況をむしろ面白がれる」という
「Embracing」の感覚がないと、知らない領域への一歩を踏み出すことは難しい。

好奇心とは、

知を求める動きと、
不安を受け入れる柔軟さが
一体になって初めて動き出すもの、

ということなのだなと思います。

私事で恐縮ですが、ふと振り返ってみると、

「ピアノの発表会に出る!」と決めて難しい曲を選んでみたり、
「マラソン」でも予測できないタイムを目標にしてみたり、
あるいは「高校の授業」のお仕事に手を挙げてみたり。

そういうとき、正直ハラハラしないかと言えば、
決してそんなことはありません。

でも、そのハラハラの向こう側に、
自分の幅が広がる感覚があることも知っています。

「ちょっとハラハラすることに果敢に飛び込む」。

それが好奇心というものの、もっとも素直な表れなのかもしれません。

失敗したとしても、特に何かを失うわけではないですし、
むしろ得るものの方が、ずっと多いのだと思います。

背伸びと受容。

好奇心の重要キーワードですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:208m

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