配信日時 2026/06/24 08:29

なぜブログを書くと賢くなるのか? ー研究が示す3つの理由ー【カレッジサプリ】

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令和8年6月24日(第4503号)


なぜブログを書くと賢くなるのか? ー研究が示す3つの理由ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3119字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、午前中が大学のリーダーシップの授業。

いよいよ前期の授業の総まとめで、
各グループの企画案を発表する「予選」の実施でした。

また午後からは、高校のリーダーシップの授業。

今回は、私の専門分野である「強み」について、
ワークショップを開催させていただきましたが、
非常に皆さん楽しみながら自己理解を深めていただいたようでとても楽しい時間でした。

そして、高校3年生に、「強み」について伝えると、
こういうリアクションになるんだ・・・!というのも発見でした。

また、12kmのランニングなど。
練習も少しずつ強化していきたいと思います。



さて、本日のお話です。

私がこのメルマガとして学びを発信し始めて、かれこれ12年ほどになります。

先日、累計4,500回を超えました。
(お読みいただいております皆さま、ありがとうございます…!)

もともとのきっかけは、

お客様に自分の活動をお知らせするという、
どちらかといえばマーケティング的なものでした。

ところがいつの間にか、

「自分自身が学ぶためにブログを書く」

というスタイルへと変わっていきました。

その効果は、一言では語りきれないほど多岐にわたります。

まず、自分が経験したこと・学んだことを、誰かに伝わるように言葉にする。
たったこれだけの経験が、ぼんやりした雲のようなふわふわした学びを、結晶のような手触り感があるものへと変えてくれます。

その他、

学習の定着、知識の外部メモリーへの蓄積、
自分のやっていることを伝える広報効果、 
そして家族や友人との話題づくり。

さまざまな恩恵を感じながら、今日まで書き続けてきました。

そんな実感がある中で、ふと気になったのです。


「ブログを書くことには、学術的にどんな効果が証明されているのだろうか?」

…と。


調べてみると、コミュニケーション学の査読論文の中に、
まさにこのテーマを正面から扱ったものがありました。

その内容が、実に納得のいくものだったので、今日はご紹介したいと思います。

それでは、どうぞ!



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<今回の論文>
・タイトル:Writing in Public: Pedagogical Uses of Blogging in the Communication Course
 (パブリックに書くこと:コミュニケーション課程におけるブログの教育的活用)
・出版:Electronic Journal of Communication, Vol. 20, No. 1 & 2(2010年)
・著者:Carrie Anne Platt
・所属:ノースダコタ州立大学(North Dakota State University)コミュニケーション学部
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■30秒でわかるこの論文のポイント

・「公開の場」に向けて書くこと(ブログなど)で、学生の「文章の質」と「思考の深さ」が劇的に向上する

・ブログは学術理論と現実社会をつなぐ橋渡し役として機能する

・授業の壁を越えたコミュニティが自然と形成され、外部の読者からのフィードバックが学びの質を高める

・ブログは、電子化されたレポート提出ではなく、「教室を社会につなぐ実験場」として機能する



■ブログを「授業」に使ってみた ー研究の背景

この研究が行われた2010年当時、
SNSやブログの普及により、学生たちはすでにオンラインで日常的に発信・消費していました。

しかしながら、大学の授業における「書くこと」は
依然として、学生が書いて教員が採点して返却する、

という閉じたサイクルの中に留まっていました。


著者のキャリー・アン・プラット氏は、この閉じたプロセスに問題意識を持っていました。

現実の社会では、文章は「不特定多数の読者」に向けて書かれるものです。
・・・にもかかわらず、大学教育では「教員という唯一の読者」に向けて
書く訓練しか積めていないよね…と。

そこで彼女が実践したのが、

「パブリック・ライティング(公開の場に向けて書くこと)」

をカリキュラムの核に据えたのでした。
(面白い試みですね…!)




■どのように実践したのか ー研究の方法

大学のコミュニケーション学部で担当する3つのクラス

「質的研究法ゼミ」「ポピュラーカルチャー批評ゼミ」「新メディア技術をテーマにしたゼミ」

を対象に、ブログを主要な課題として導入しました。

各クラスで設計は少しずつ異なりますが、共通する骨格はこうです。

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1.学生はそれぞれ一般公開のブログを開設する
2,学期中に複数回の記事を投稿する(最低8回のブログ記事(1投稿あたり300〜500ワード))
3.内容は、授業で学んだ理論を現実のニュース・大衆文化・自分の生活に応用して批評するものとする。
4.外部ソースへのハイパーリンクの義務付けと、クラスメイトのブログへのコメント義務付けを行う
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とのこと。

学期末には、無記名アンケートと、
学生が実際に書いたブログ記事・コメント・最終省察レポートの定性的な内容分析によって効果を検証しています。



■主な結果(わかったこと)

さて、ではこのような研究プロセスから、どのようなことがわかったのでしょうか。

以下ポイントをまとめてみます。



◯わかったこと1:読者意識が変わると、文章が変わる

最も印象的な発見は、

「誰かが見ている」という意識が、文章の質を変える

ということでした。

アンケートでは、多くの学生が「誰でもアクセスできる場だからこそ、
文法ミスをなくし、より論理的で説得力のある文章になるよう、何度も推敲した」と答えています。

ある学生は「公開フォーラムであることが嫌だった。でも、公開だから、一生懸命に書いた」と語っています。

(この話、超共感します。
 日記とブログの違いも、まさにここ。
 ブログのほうがプレッシャーも高いですが、その分、一生懸命書くのですよね)


◯わかったこと2:「理論」と「日常」を紐付けるようになる

もうひとつの発見が、

ブログ形式のほうが「学術理論」と「自分の日常」をスムーズにつなげられる

という点です。

従来のレポートでは、「理論」はどこか遠い概念として扱われがち。

しかし、好きなメディアや最新のテクノロジーについて書くブログの中で理論を使うとき、
学生は自発的にその概念を「自分の言葉」に変換し始めます。

知識を「理論として知っている」状態から、
「実践として使える」状態へと昇華させるために、

書いて発信するという行為が不可欠な役割を果たしていた、ということですね。

(この話も、超納得です。私もこうして公開に向けて書くと、
 やはり少しでも自分の日常に紐付けよう、という意識が働きます。
 できているかは置いておいて、ですが…汗)


◯わかったこと3:教室の外に、学びが広がっていく

さらに「コメント機能」を通じて、授業時間外でも議論が続きました。

さらに驚くべきことに、

クラス外の一般読者や他大学の専門家からコメントが届くケースも生まれました。

ある学生のブログには、授業のテキストを執筆した著者本人がコメントを残したというエピソードまであります。
「自分が読んでいた教科書の著者と直接やり取りできる機会など、普通の授業ではまずありえない」、
学生にとってその体験は、学びへのモチベーションを爆発的に高めるものだったと記されています。

(これも、私も幾度となく訪れました。
 実際に書いていた研究者ご本人からメッセージをいただくなど…。
 公開に書く故に、新しい出会いが生まれるのですね)



■まとめと感想

執筆の意識向上、
理論の日常化、
コミュニティの形成、
学習の目に見える蓄積。

これらの結果は、12年間ブログを書き続けてきた自分自身の実感と、びっくりするくらい重なります。

そして2010年という、今からちょうど16年前にこうした実践が
大学の授業として行われていたという事実も、興味深く感じます。


さらに思うのは、今の時代、SNSでの発信はずっと手軽になりました。

noteやXやFacebook、誰でも、今日から「パブリックに書く」ことは、更に行いやすくなりました。

学びを誰かに教えるためではなく、
自分自身の学びを深めるために、そして自分の思考を結晶化するために、
発信することをもっと身近に、積極的に活用していけたとしたら。

自分にとっても、受け取る誰かにとっても、
そしてつながりの中にいる人たちにとっても、きっと豊かなものになるだろうと思います。

「学びを発信すること」は素晴らしい。

改めてそんなことを感じさせられる論文でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
https://note.com/courage_sapuri/n/nb01d437c1149?app_launch=false
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【編集後記】
◯今月のランニング:167km

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