配信日時 2026/06/19 12:00

部下の強みを活かす上司は「何」をしているのか? ー12の行動リストー【カレッジサプリ】

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令和8年6月19日(第4498号)


部下の強みを活かす上司は「何」をしているのか? ー12の行動リストー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2956字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、顧問先の会社様へのコンサルティング&コーチング。
また、ランチタイムに12kmのランニングでした。

今年こそは!のサブ3を目指して、
スピードを付けるために、「スプリント走(全力ダッシュ)」なども入れていますが、
久しぶりに一生懸命走ったら、100mが15~16秒くらいでした。

これが速いのかどうかよくわかりませんが、
お尻とハムストリングス(裏腿)が筋肉痛になりました。

風邪で練習ができなかったので、体がやや弱まっていますが、
じっくり戻していきたいと思います。



さて、本日のお話です。

本日も「強み」に関する論文をご紹介したいと思います。

研究論文を読んでいると、ときどきこんな問いが浮かんできます。


「・・・で、結局、何をすればいいの?」


強みの研究についても、同じです。

「強みを活かすと仕事満足度が上がる」「強みを通じた支援をするとエンゲージメントが高まる」。
そうした知見は、確かに重要で、読むたびに「そうだよな」と思うのです。

でも、具体的に「いつ・何を・どんなふうに」すればよいのかまで踏み込んでいる研究は、正直なところ、なかなかお目にかかれません。

今日ご紹介する論文は、まさにその「具体」に迫ったものです。

中間管理職が部下の強みをどのように支援しているのか?

 それを日本の製造業の管理職へのインタビューをもとに分析し、3つの次元として体系化した研究です。

実践的な知見を求めている方、マネジメントに携わっている方には、特に刺さる内容かと思います。

それでは、どうぞ!

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<今回の論文>
・タイトル:Methods for strengths use support: A multi-dimensional model(強みの活用支援の手法:多次元モデル)
・出版:International Journal of Training and Development, 2023年(Vol.27, pp.157-171)
・著者:松尾 睦
・所属:北海道大学大学院経済学研究科
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■30秒でわかるこの論文のポイント

・中間管理職による「強みの活用支援(SUS)」は、3つの次元で構成されることが明らかになった。

・3次元とは、⑴強みと関心の理解、⑵挑戦的な業務を通じた強みの開発、⑶成果達成の支援 である。

・従来の研究は「支援しているかどうか」を一次元で測るにとどまっていたが、本研究は「何をしているか」の具体的な手法を初めて多面的に可視化した。

・日本のグローバル製造企業の管理職を対象に、「インタビュー→尺度開発→検証」という3段階で構築された、実践への応用が高い知見である。



■なぜ「強みの支援」に注目するのか

ポジティブ心理学の研究では、自分の強みを知って活かすことが、幸福感や仕事のパフォーマンスを高めることが繰り返し示されてきました。

そこで近年、「上司や組織が部下の強みをどう支援するか(SUS:Strengths Use Support)」という問いへの関心が高まっています。

ただ、問題がありました。

これまでの定量研究の多くは、KeenanとMostert(2013)が開発した一つの尺度「強みの活用を組織が支援・配慮しているか」を大まかに測るものに依存してきたという背景がありました。

「支援しているかどうか」はわかっても、「何をすれば支援になるのか?」という具体的な手法やスキルはほとんど解明されていない…。

本研究はそこに踏み込んでいきます。

「中間管理職は、具体的にどのようにして部下の強みの活用を支援しているのか?」という問いを立て、その答えを多次元的な尺度モデルとして構築することを目指しました。



■どうやって調べたのか ー研究の方法ー

研究は3段階で構成されています。

◯研究1(項目の生成)
日本のグローバル自動車部品メーカーの高業績中間管理職144名を対象に、自由記述アンケートを実施。
「部下の強みをどのように見極め、活用・伸ばしているか」を聞き、その回答をグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)で分析。4つのカテゴリー、16項目の質問項目を生成しました。

◯研究2(尺度の開発)
様々な業界の日本企業に勤める中間管理職417名のオンライン回答を収集し、半数(208名)に対して探索的因子分析を実施。3つの次元(因子)が抽出されました。

◯研究3(尺度の妥当性検証)
残り半数(209名)のデータを用いて確認的因子分析を実施。モデルの信頼性と妥当性が統計的に裏付けられました。



■強みを支援する3つの次元

分析の結果、中間管理職による強みの活用支援(SUS)は、3次元12項目で構成されることが明らかになりました。
(以下は英語の論文を、著者にて翻訳したものになります)

(ここから)
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◯<次元1:強みと関心を理解する>(4項目)
1)私は従業員のキャリアビジョンや強みに留意し、それに応じて可能な限り相応の業務を割り当てています。
2)1対1の面談を通じて従業員の長所と短所を理解し、彼らの理想的なキャリアプランに沿って、可能な限り業務を割り当てています。
3)従業員との面談では、長所と短所についてフィードバックを行い、パフォーマンスを向上させる方法について相互に合意を形成しています。
4)従業員が承諾した時点で、その強みを活用できる業務を割り当てます。

◯<次元2:挑戦的な業務を通じて強みを伸ばす>(4項目)
5)従業員の考え方、アプローチ、成果を観察することで、その強みを把握します。
6)従業員の強みを活用できる場合は、目標を少し高く設定してその業務を割り当てます。
7)従業員の能力をわずかに上回る業務を割り当てることで、成功体験を通じてその強みを伸ばします。
8)従業員がチームの強みに貢献できるような業務を割り当てます。

◯<次元3:成果の支援をする>(4項目)
9)従業員の強みをさらに伸ばすため、他のメンバーの前でその個人の成功を称賛します。
10)定期的にパフォーマンスを見直すことで、従業員の強みをさらに強化できるかどうかを評価します。
11)達成感を与えることで、従業員の強みを伸ばしています。
12)強みを向上させるため、パフォーマンスや業務プロセスについて頻繁に肯定的なフィードバックを行います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)



■考察:強みの支援は「3つのバランス」である

この研究から浮かび上がるのは、中間管理職による強みの支援が単に「得意な仕事を振る」というシンプルなものではないということです。

研究者はこれを、「動機づけ・開発(挑戦)・心理的支援」のバランスを取るプロセスとして整理しています。

まず面談で部下の興味やキャリアプランを理解し、合意を形成する(動機づけ)。
そのうえで、現在の能力をわずかに超える挑戦的な課題を与え(開発)、達成感を伴走支援する(心理的支援)。

このサイクルが、部下の強みを少しずつ育てていく、そんな構造が見えてきます。
(これは、人事管理のAMOフレームワーク(能力・動機付け・機会)とも整合しており、組織開発の観点からも根拠のあるアプローチだと述べられています)



■まとめと感想

冒頭にお伝えしたように、松尾先生の本論文は「現場で、具体的に、何をしたらいいのか?」に正面から答えていただける内容であると感じます。

昨今、ストレングス・ファインダーなどを用いた「強みの理解」なども、企業で少しずつ広がってきているように感じます。
その上で、「強みを活かす」ために何をすればよいのか…この論文には、そのヒントが詰まっていると感じました。

強みの支援を「3次元12項目」というように結晶化された知見は、「人それぞれですよね」という答えを超えて、凝縮された具体的なアクションを示してくれています。
日本の管理職を対象にした研究であることも、私たちにとってはリアリティを実感やすいと感じます。

実践に活かせる知見ほど、価値があるものはない。

そんなことを感じさせられた次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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【編集後記】
◯今月のランニング:124km

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