配信日時 2026/06/08 07:48

即レスの効果:素早い返信は何を意味するのか? ーノースウェスタン大学の研究【カレッジサプリ】

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令和8年6月8日(第4487号)


即レスの効果:素早い返信は何を意味するのか? ーノースウェスタン大学の研究


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2977字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

先日、日曜日も宮崎にて。

祖母が旅立って49日。
介護をしてきた母の心境や、これからどこに、どんな風に生活の拠点を置くのか。
そうしたこれから10-20年先の話などを、お茶を飲みながら話ができたことが貴重な時間でした。

そして、両親や親族ともに、元気で、色々できる時間もそんなに多いわけではない、と思うと、
皆でいけるうちに旅行や、様々な経験をしておきたいものだな…そんなことを感じた週末でした。

夕方、東京に戻った後は、学生との大学授業の打ち合わせなどでした。



さて、ちょっとしんみりしましたが、
話を切り替えまして、本日のお話です。

本日も、ある論文のご紹介をしたいと思います。

テーマは「即レスの効果」について。

そういえば、社会人になったとき「メールはどれだけ遅くても24時間以内に返信すべし!」と当時の上司に言われたことを覚えています。
そして、返信がめちゃくちゃ速い人は「この人なんだかできそう…!」と感じさせられたことも覚えています。

「早く返信すること」。仕事でも人間関係でも、メールへの返信を素早くすることが、相手との信頼を築いたり、「できる人」という印象を生むことは、私以外にも感じる人もいるのではないでしょうか。

そんな中、ふと、そうした「即レスの効果」を扱った論文があるのかを調べてみたくなりました。
探してみると、近しいものが実際にありました。ということで、今日はその内容を紐解いてみたいと思います。

それでは、どうぞ!


■今回の論文
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・タイトル:Human Communication Dynamics in Digital Footsteps: A Study of the Agreement between Self-Reported Ties and Email Networks(デジタルな足跡における人間コミュニケーションの動態:自己申告による関係性と電子メールネットワークの一致に関する研究)
・出版:PLoS ONE(2011年11月)
・著者:Stefan Wuchty, Brian Uzzi
・所属:ノースウェスタン大学 複雑系・ネットワーク科学研究所(NICO)、ケロッグ経営大学院
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■30秒でわかるこの論文のポイント

・電子メールの履歴データから、「自分にとって大切な関係」を約80〜90%の精度で予測できることがわかった

・「親しいと感じる相手」からのメールには、そうでない相手より明らかに早く返信していた

・デジタル化が進んでも、人が「本当のネットワーク(絆)」として維持する相手の数は、ほんの一握りに過ぎなかった

・友人関係の絆は「返信の速さ」に強く現れ、職業的な関係は「やや遅い返信」に反映される傾向があった

私がへえーと思ったのは「友人関係の絆が、返信の速さに現れる」という点です。

確かに、わかる気がしますね…。



■研究の背景 ーなぜこの研究が必要だったのか

電子メールやSNSの普及によって、私たちが連絡を取れる相手の数は爆発的に増えました。数百人、数千人と繋がっていることも珍しくありません。

しかし、組織や人間関係の本質を理解しようとするとき、本当に重要なのは「連絡先リストの全体」ではありません。
信頼や専門的なリソース、あるいはただの温かみが実際に行き来する「中核的な社会関係(ソーシャル・ネットワーク)」こそが、研究者たちが知りたいものでした。

この研究の問いは「日々のメールのやり取りから、その人が『大切だ』と感じている相手を、どれほど正確に見抜けるか?」です。
そしてもし見抜けるとしたら、どんな行動の手がかりが鍵を握るのか、というものでした。



■研究の方法 ーどのように調べたか

典型的なプロフェッショナルサービス企業(専門的なコンサルティング系組織)を対象に、2種類のデータを照合しました。

⑴アンケートによる「自己申告データ」
(「あなたが重要な繋がりだと感じる人は誰ですか?」を尋ね、業務上の関係・個人的な友人関係・メンター関係に分類してもらう)

⑵実際に送受信された「メールのログデータ」
(メールの総通信量、双方向のやり取りの量、返信にかかった時間など)

この二種類のデータを突き合わせながら、「メール履歴から真の絆を予測する」ための手法を複数検証しました。



■主な結果 ーわかったことー

◯わかったこと1:メール履歴から「本当の繋がり」を高精度で予測できる

検証した3つのいずれの手法も、メールデータから自己申告の繋がりを約80〜90%という高い精度で予測できることが示されました。

日々のメールのやり取りというデジタルの足跡から、「この人が大切だと感じている相手」を相当な精度で浮かび上がらせることができる、というのは、組織分析やネットワーク研究に大きく役立つと述べられています。


◯わかったこと2:親しい相手には、より速く返信している

この研究で、私が最も興味深かったのが、「返信速度と関係性の深さ」の関係です。
「友人・社交的な関係」として自己申告された相手からメールが届いたとき、人は「職業上の関係」や「ほとんど面識のない相手」からのメールよりも, 明らかに速く返信していました。

社会的な親密さと返信速度には正の相関があり、逆に職業的な繋がりは「やや時間をおいた返信」に現れやすい傾向がありました。

面白いのは、社交的な関係はメールの絶対的な量こそ少ないものの、受け取ったときの反応がより迅速だという点。

つまり、「量より速さに、親しさが滲み出る」ということになります。


◯わかったこと3:デジタル時代でも、「本当の絆」の数はほんの一握り

コミュニケーションコストが劇的に下がったデジタル時代においても、人が「本当の絆」として維持している相手の数は、ごく限られた一握りに留まっていることが確認されました。
1人あたりの平均が約5名という数字は、過去の研究とも一致しています。



■まとめと感想

この論文を読んでみた感想で、印象に残ったのが「親しい友人・社交的な関係のほうが、職業的な関係よりも返信速度が速い」という事実です。

この研究が示したのは、「即レスすると信頼関係が深まる」という話ではなく、その逆の方向性です。つまり「信頼関係がある相手に対して、人は自然と返信が速くなる」というもの。

つまり、強い絆が先にあって、返信の速さはその結果として現れているということ。「即レス → 信頼」ではなく、「信頼 → 即レス」という流れです。

だとしても、ここから引き出せる学びはあると思います。

自分の返信の速さを振り返ることで、「自分は今、誰を大切にしているか」が見えてくるかもしれないし、受け取る側の視点でも、「あの人はいつも早く返してくれるな」という感覚は、少なからずその関係の温度を反映しているようにも思います。ゆえに結論、「返信は遅いより、速いほうがいい!」ということを改めて確信する内容でもありました。

返信速度は、関係性の深さを映し出す一つのサインである。

そんなことを感じつつ、日々のSNSやメールの返信を心がけたいものだ…そんなことを思った次第です。

(また余談ですが、「自分の専門領域でない分野の研究を読み解くことの難しさ」も感じた論文でした)
総量法・相互性法・正規化法etc…聞き慣れない手法や言葉が羅列しており、呪文のように見えました…(汗)。ただ、こうした何回な論文すらも、AIの助けを借りてざっくり把握できるようになったことは、ありがたいことです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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【編集後記】
◯今月のランニング:50km

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