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令和8年6月1日(第4479号)
「ポジティブな経験」を他者に共有すれば、疲れが吹っ飛ぶ
ーブリガム・ヤング大学の研究ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3200字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
先日の日曜日は、朝から25kmのランニング。
またその後、知人が出版をされるとのことで
「出版記念パーティー」に招かれたので、みなとみらいへ。
まるで結婚式のような華やかな場で驚きました…(汗)
その後、子どもとみなとみらい周辺の噴水で夜まで遊ぶなど。
なかなかのハードスケジュールでしたが、楽しい時間でした。
*
さて、本日のお話です。
突然ですが、質問です。
「皆さん、疲れてますか?」
・・・
いかがでしょうか(私は若干疲れてます 苦笑)
今日は、こんなタイトル「Feeling Tired?」で始まる、ある論文を紹介します。
まず、この論文の冒件では、「1年に4000億杯のコーヒーが販売されている」という話が始まります。
その理由は「多くの人が、疲れていると感じるから」。活力がほしい時、私たちはカフェインなどの物質に手を伸ばします。
まさに「翼をさずける」を欲して。
でも、物質に頼らずにエネルギーを回復する方法があるとしたらどうでしょうか?
本日ご紹介する研究は、まさにその「活力を得る方法」というテーマに正面から向き合ったものです。
内容はシンプルながら、腑に落ちる内容であり、手軽に実践できる内容でもあるので、ぜひご覧いただければと思います。
それでは、どうぞ!
■今回の論文
・『Feeling tired? How sharing positive experiences can boost vitality (疲れていませんか?ポジティブな経験の共有がいかに活力を高めるか)』
Nathaniel M. Lambert, A. Marlea Gwinn, Frank D. Fincham, Tyler F. Stillman
・出版:International Journal of Wellbeing, 2011年
・所属:ブリガムヤング大学 / ケンタッキー大学 / フロリダ州立大学 / サザンユタ大学
■30秒でわかるこの論文のポイント
・現代人の多くが疲労感を訴え、カフェインなどの物質に頼ってエネルギーを補おうとしている
・「他者とポジティブな経験を共有する」ことが、物質に頼らずに活力を高める有効な手段であることが3つの実験で証明された
・単に「人と話す」だけでなく、「ポジティブな内容を話すこと」に固有の効果があることが実験的に示された
・共有によって生まれる「つながりの感覚」「相手からの肯定・検証」「相手の喜ぶ姿」が活力向上のメカニズムとして提案されている
・ブログなどのデジタル発信でも、同様の効果が期待できる可能性が議論されている
■研究の背景と目的
近年、世界では約4,000億杯のコーヒーが売れたといいます。
この数字が象徴するように、現代の私たちは日常的に活力を求め、しばしば物質の力を借りてそれを補っています。
身体的・精神的エネルギーを指す「活力(Vitality)」は、心臓疾患の低減や自尊心の向上、うつ症状の軽減など、心身の健康全体に深く関わる概念です。
では、物質に頼らずに活力を高めることはできないのか——。
本研究が注目したのは、「ポジティブな経験を他者と共有する」という、ごく日常的な行為でした。
研究の目的は、その因果関係を明らかにし、「単に人と話すこと」による効果ではないことを実験的に示すことにありました。
■研究の方法:3つのアプローチ
研究チームは、3つの独立した研究を通じてこの問いを検証しました。参加者はいずれも大学生です。
・Study 1(縦断調査 / N=196) ポジティブな経験を共有する傾向と活力を測定し、3週間後の活力への影響を分析。初期の活力と性別を統制した上で、共有傾向の影響力を階層回帰分析によって検証しました。
・Study 2(実験研究 / N=188) 過去2週間のポジティブな出来事を文章に書いてもらった後、「パートナーや友人に2分間共有する群」と「共有せずにそのまま活力を測定する群」にランダムに分けて比較しました。
・Study 3(実験研究 / N=96) さらに厳密に検証するため、「ポジティブな経験を2分間共有する群」と「今週授業で学んだ中立的な内容を2分間共有する群」を比較。「ポジティブさ」に特有の効果なのか、それとも「誰かと話すこと」全般による効果なのかを切り分けました。
■主な結果(わかったこと)
3つの研究の結果は、いずれも一貫していました。
◯ポジティブなニュースを共有する人ほど、活力が高い
Study 1では、初期の活力や性別を統制しても、ポジティブなニュースを共有する傾向が強い人ほど、3週間後に高い活力を報告していました(β = .21, p < .01)。
◯他者と共有した人のほうが、活力が高い
Study 2では、ポジティブな出来事を他者と共有した群(平均5.05)は、書いて思い出しただけの群(平均4.65)よりも有意に高い活力を示しました。
◯単なる「おしゃべり」以上の効果がある
Study 3では、中立的な内容を共有した群(平均4.00)と比較して、ポジティブな経験を共有した群(平均4.38)の方が、イライラ感や注意深さ、性別を統制した上でも有意に高い活力を示しました。
「誰かと話すこと」ではなく、「ポジティブな経験を話すこと」に、固有の効果があった。そういうことです。
■なぜ効果があるのか:3つのメカニズム
研究チームは、このプロセスが活力を高める理由として、以下の3点を挙げています。
1つ目は、つながりの感覚。
共有するプロセスを通じて生まれる「誰かとつながっている」という感覚が、活力を後押しする。
2つ目は、肯定・検証(バリデーション)の効果。
聞き手がその出来事を肯定してくれることで、その経験が持つポジティブな意味合いや、将来への影響がより鮮明に感じられるようになる。
3つ目は、相手の喜ぶ姿からのエネルギー。
自分が話した内容に相手が喜んでくれると、その姿を見ることでさらにエネルギーが湧いてくる。
この3つが重なり合って、活力という感覚が高まっていくのでしょう。
■まとめと感想
今回は、性格の強みでも表現されている「熱意」と非常に近い概念である「活力」について、深掘りしてみました。
◯実践に活かすための2つのポイント
「ポジティブなニュースを誰かと共有して、相手がうれしそうに反応してくれると、なんだか元気になる」という感覚は、多くの方に心当たりがあるのではないでしょうか。
とすると、実践の示唆はシンプルです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1.他者に、ポジティブな経験を共有してみること。
ーパートナーや近しい人など、安心して受け取ってもらえる存在に伝える
2.自分も相手のニュースに喜ぶこと。
ー「よかったね」で終わらず、しっかりとリアクションし合うのが大事
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうすることで、お互いの関係性も深まり、活力も育まれていく。
そんな好循環が生まれるのではないかと思います。
◯相関でなく因果を明らかにする
個人的に勉強になったのが、「相関」ではなく「因果」を明確にしているプロセスであることです。
「活力が高いからポジティブな経験を話すのか or ポジティブな経験を話したから活力が高まったのか?」という因果の前後関係は疑問に思うところです。今回は、研究1~3を経て、それらの内容をクリアしているところが勉強になりました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・相関がある → 共有する人ほど活力がある(Study 1)
・時間の前後関係がある→ 共有した「後」に活力が上がる(Study 2)
・代替説明を排除する→ 単なるおしゃべりによる効果ではない(Study 3)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◯ブログに「嬉しかったことを書く」でもOK
ちなみに、この研究ではブログでの共有についても少し触れられていました。
ポジティブな体験をブログで発信して、読んだ方が「いいね」を押してくれる、それだけでも活力を得られる可能性がある、と述べられていました。
実は私も先日、ウルトラマラソンで自己ベストを出したことをnoteで共有しました。
いただいた反応を見返すたびに、「ああ、こんなふうに受け取ってもらえてうれしいな」と、じんわりとエネルギーが湧いてくるのを感じています。
まさに、この研究が示した通りのことが起きていたのかもしれません。
誰かと喜びを分かち合うことは、思いのほか、自分自身をも元気にしてくれる、そんな小さくて大切な習慣なのかもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
https://note.com/courage_sapuri/n/n151dac831b8f?app_launch=false
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【編集後記】
◯今月のランニング:0km
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