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令和8年5月27日(第4474号)
「性格の強み」の研究の地図を描く(中編) ー強みを理解するための6つの原則とは?
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3245字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、午前が立教大学のリーダーシップの授業、
午後から高校のリーダーシップの授業でした。
ちなみに、高校の授業では、
社会人ゲスト2名、大学生ゲスト4名も参加いただく、フィードバックの会です。
運営に関わる立場でありながらこんな事を言うのもなんですが、
高校生の頃から様々な年齢の人に関われること、
そしてこうした体験が授業として設けられていること
ほんとうに贅沢な場だなあ・・・とぼんやりと思っている今日この頃です。
(私も高校時代、こうした授業を経験してみたかった 笑)
*
さて、本日のお話です。
昨日に引き続き、マニアックなお話ですが、
VIA性格の強みの第一人者、ニーミエク博士による論文の読み解きをお届けいたします。
本日は「中編」をご紹介します。(前編の記事はこちらです↓↓)
https://note.com/courage_sapuri/n/nc50cd2f05d1c
中編では、「性格の強みとは何かを理解する6つの原則」が語られています。
「強み」に関わる実践者にとっては、非常に納得感の高い内容ではないかな、と思います。
それでは、どうぞ!
■今回の論文
タイトル:The Practice of Character Strengths: Unifying Definitions and Principles and Exploring What Is Soaring, Emerging, and Ripe with Potential in Science and in Practice (性格の強みの実践:定義と原則の統合、および科学と実践の現場において「飛躍しているもの」「出現しつつあるもの」「可能性に満ちているもの」の探求)
・出版:Frontiers in Psychology, 2021年1月(第11巻)
・著者:Ryan M. Niemiec、Ruth Pearce
・所属:VIA Institute on Character(オハイオ州シンシナティ)
■30秒でわかる本論文のポイント
・「強みベース」という言葉は広く使われているが、その定義は非常に曖昧。この論文はその曖昧さを言語化し、整理することを目的としている
・「性格の強みに基づくアプローチの実践者が備えるべき7つの要素」を提示している
・「性格の強みを深めるための6つの原則」を提示している(←本日はここ)
・研究領域を「飛躍中(soaring)」「新興(emerging)」「潜在能力に満ちた(ripe with potential)」の3カテゴリーに分類し、今後の探求の地図を描いている
■性格の強みを理解するための「6つの原則」
まず今回の記事では、性格の強みそのものの理解を深める「6つの原則」から始めたいと思います。
読みながら、実践者の一人として「だよねー」と納得するとともに、これまで読んできた論文の総集編のような形になっていることを理解しました。(そして綺麗にまとめられていて悔しさを覚えてしまいました…)
ということで、1つずつポイントを見てみましょう!
*
◯原則⑴: 性格の強みとは「能力」である
性格の強みは、「思考・感情・行動の能力」として捉えられます。
感謝や慎重さは「思考」として抱くことができ、愛情は心と身体で「感じ」、勇敢さや誠実さを「行動」で表せる。
それぞれ、思考・感情・行動の各領域で現れます。そして、これらの能力は開発・向上させることができます。
近年の性格の研究では、性格が当初考えられていたよりも可塑性が高く、意図的な介入によっても変化しうることが示されています。
興味深いのが、9.11以降のアメリカ人サンプルで、感謝・希望・親切などの強みが一時的に高まったという研究もその一例です(その後も継続的に高いままだった)。
性格は「変わらないもの」ではなく、「育てられる能力」と言えます。
*
◯原則⑵: 性格の強みは「次元的」である
性格の強みは、ある・なしの二択ではなく、「連続した程度」として現れます。
「あなたには創造性がある/ない」ではなく、「どのくらいの創造性があるか」という見方です。(これを「特性論」といいます)
この見方はとても大切です。
「ある・なしの二元論」になると、あるクライアントが「自分には謙虚さがない」と決めつけたり、「自己制御ができない」というラベルに囚われてしまいますので。
「あなたには謙虚さも、自己制御の力もある、ただ他の性格の強みと比べると表出しづらい」という方が、可能性を感じやすいです。
また、「強みは使いすぎ」ても「使わなさすぎ」ても問題になりえます。
好奇心が「多すぎ」れば詮索好きになり、「少なすぎ」れば無関心になります。
慎重さを「やりすぎ」れば堅苦しさになり、「不足」すれば無謀になる。
バランスの問題として捉えることが重要です。
*
◯原則⑶ :性格は「複数形」である
人は、ひとつの強みだけで語れる存在ではありません。
人は強みのプロファイルにおいて多様性を示しており、それらが組み合わさって「個人の性格という豊かな織物」を形作っています。
(織物という表現がイイですね…!)
実践的には、強みは単独でなく「群」として現れます。
状況が複雑になるほど、発揮される強みの種類も増える。
逆に、何も考えず自動操縦のように日常をこなしているときは、強みの発揮は乏しくなる傾向があります。
*
◯原則⑷: 24の強みのすべてが重要である
VIA分類の性格の24の強みは、どれが優れていてどれが劣っているというものではありません。
すべての強みが人間であることの不可欠な要素として、多くの国・文化を超えて確認されています。
ただし、文脈によって重要度は変わります。
幸福感との関連では「熱意・希望・愛情・感謝・好奇心」の5つが特に強く、達成という観点では「忍耐力」が際立つ。
すべてが重要であることと、状況に応じた強みの活用は、矛盾しません。
*
◯原則⑸ :強みには「多くの種類」がある
これが実は、非常に見落とされがちな原則です。
性格の強みは、人間が持つ「強み」の唯一のカテゴリーではありません。
強みには、その他に大きく分けて以下の種類があります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<強みの種類>>
・才能(生来の能力・知能)
・スキル(学習と実践によって得たコンピテンシー)
・興味(人生の情熱や余暇に惹かれるもの)
・価値観(内面的に大切にしているが行動とは別物)
・リソース(支えてくれる友人の存在、安全な環境、精神的なコミュニティへの所属など)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
興味深いのが、論文で述べていた「価値観と性格の強み」の関連についてです。
たとえば「勤勉」という価値観があっても、それを行動に移す際に「忍耐力」や「熱意」といった「性格の強み」がなければ、ただの言葉に過ぎないとのこと。
つまり、性格の強みは、他の種類の強みを駆動する「原動力」であるという位置づけにしているのが、なるほどな…と思いました。
そして、実際は、これらの強みが合わさって、「織物」という2次元を超えて、
「個々のオリジナルの『強みの建造物』」という3次元のものになっているのだろう、と感じます。
*
◯原則⑹: 性格とは「あり方」であり「行動」である
強みに関わる取り組みには、「あり方」と「行動」の両面があります。
「あり方」において、強みは自分のアイデンティティや自己理解を支えるものです。
「行動」において、強みは具体的な振る舞いとして現れるもの。
ある研究者は言います。「特性は、思考や推論よりも、存在論的に人間の本質に近いものである」と。
オーセンティシティ(自分らしさ)という観点では「あり方」の側面が強く出て、それを形として表出させたいときは「行動」の側面に光を当てる。
やや抽象的ですが「あり方」と「行動」のの両面を意識することが、豊かな強みの実践につながるのだろう、と理解しました。
■まとめと感想
本当は、前編&後編で終えるつもりが、丁寧に書いていたら、ボリューミーになってしまったので、今回は「中編」として、ここで終了しておきたいと思います。
中編までまとめて感じるのは、一つ一つの研究の積み重ねがこの論文に繋がっているということ、
そして、ここで語られているVIAの強みの原則は、クリフトンストレングスなどの他の強みアセスメントにも、おおよそ同様に当てはまると感じた、ということです。
強みの種類や測定法は異なっても、「強みとはどういうものか」「どう活用するか」「何に気をつけるか」という本質は、共通しているようにも思います。
一方、研究という領域では、厳密に「強み」とは何かの境界線をはっきりさせなければいけない、そんなことも感じました。
後編では、「性格の強み」の研究において、どこが耕されていて、どこがまだ荒野なのか。
それを明確に示しています。また明日に続けたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
https://note.com/courage_sapuri/n/n5a04672c287c?app_launch=false
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【編集後記】
◯今月のランニング:196km
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