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令和8年5月21日(第4469号)
ストラクチャル・ホール理論とは何か? ーなぜ「つなぐ人」はこんなにも得をするのかー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2803字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は午前中に、外部支援者として関わらせていただいている企業様とのミーティング。
高いハードルと、前へ進みたい気持ちのどちらも抱えながら、
様々なリスクを膝を突き合わせて語ることの大切さ。
一度、しっかり潜ってから浮上するという丁寧なプロセスこそが、
歩みを着実に進める力になるのだと感じた時間でした。
*
午後から1件のアポイント。
また夜は、1か月に1度のピアノのレッスン。
今年は発表会に出ようかどうか、迷い中です。
本日も引き続き、大著『世界標準の経営理論』(入山章栄/著)からの学びをお届けします。
(これまでのお話はこちら↓↓)
https://note.com/courage_sapuri/m/mf56335a8f492
今回は第26章「ストラクチャル・ホール理論」です。
社会学的ディシプリンの理論における二大理論のうちの一つ。(もう一つは以前ご紹介した「弱いつながりの強さ」理論でした)
経営学において、イノベーションを生み出す、あるいはキャリアにおける昇進・昇給などを考えたときも「人との結びつき」というのは避けて通れない、否、想像以上に私達に影響を与えているのだな…、と強く感じる章でした。
ということで、早速中身を見てまいりましょう。
それでは、どうぞ!
■ストラクチャル・ホール理論とはなにか?
「ストラクチャル・ホール」。少し聞き慣れない言葉ですが、日本語にすると「構造的な穴」とでも言えばいいでしょうか。
ストラクチャル・ホールとは、人と人がネットワークを形成するとき、その間に自然と生まれる「隙間(ホール)」のことを指します。
たとえば、AさんとBさんがいて、その間にCさんがいる。Cさんが AさんとBさんを媒介する、いわば「くさび」の結節点の役割を果たしているとき、AさんとBさんの間には「構造的な穴」が生まれています。
あるいは、営業部のDさんが、開発部のトップであるHさんとも親しく、Hさんはまたさまざまなメンバーとつながっているとしましょう。
そのとき、DさんとHさんは、密集した複数のネットワークを橋渡しする「ブローカー」として機能しています。(そしてブローカーは「橋」に位置するので、その周辺は「隙間(ホール)」が生まれます)
この「橋渡しする人こそが、ネットワーク上で最も得な立場に立てる」というのがストラクチャル・ホール理論のポイントです。
■なぜブローカーが一番得なのか?
ブローカーが有利な理由は、大きく2つあります。
⑴ 情報の優位性
AさんとBさんの間を媒介するCさんは、両者にアクセスできる唯一の人物です。つまり、AさんからもBさんからも情報が集まってきます。
これは実際の仕事でもよく実感することで、たとえば複数のクライアントと接している人は、競合各社の動向や価格感覚などを自然と把握できる立場にあります。
情報が多い人が有利、というのは当たり前のことのようで、ネットワーク理論でも明確に示されているのです。
⑵ コントロールの優位性
さらに、間に立つ人は情報の「流れ方」をコントロールできます。誰にどの情報を伝えるか、あえて伝えないか——その選択ができることも、ブローカーの強みです。
親しいつながっていない者同士を媒介して有利に立つこと、これを「ブローカレッジ」と呼びます。
■ストラクチャル・ホールを持つ人が得られること
実証研究によれば、ストラクチャルホールを豊かに持つ人は、「昇進が早く、報酬も高い」傾向があるとわかっています。
また、身近な例でいえば、問屋や卸売業はまさにこの理論の体現者です。
メーカーと小売の間に入り、その差分を取ることでビジネスが成立する。
商社もまた、異なる取引先をつなぐブローカレッジ型のビジネスモデルと言えます。
さらに興味深いのは、「イノベーションとの関係」です。
イノベーションとは「既存の知と既存の知の、新しい組み合わせ」だといわれています。
異なるネットワークをつなぐことができるブローカーは、まさにそうした組み合わせを生み出しやすい立場にあります。
■どんなふうに「人とつながる」といいか
さて、ではもしあなたが「ブローカー」として機能することを目指す場合、「どのように人とつながる」と良いのでしょうか。
答えはシンプルで、「できる限り異なる種類の人とつながること」です。
同質のプレイヤー同士の仲介は、確かに情報は集まりますが、「あの人には話したのに、この人には話さなかった」といった齟齬が生まれやすく、信頼を損ねるリスクもあります。
一方で、異なる業界・職種・コミュニティをまたぐようなつながりであれば、多様な情報が入ってきますし、利害が絡みにくいぶん、純粋な橋渡しとして機能しやすい、となります。
また、最近の研究では、ストラクチャルホールを「埋める」、つまり「人と人を、”完全につなげてしまう”こと」が、メンバー全体のメリットになり、イノベーションを促進するという知見も出てきているそうです。
私自身の小さな経験ですが、以前しばしば行っていたイベントなどで誰かと誰かをつなぐ、ということが、後からビジネスや素敵な関係へと発展していったケースがあります。
自分は特段何をしたわけでもないのに、「つないでくれてありがとう!」と言われると、ああ、これがストラクチャル・ホール理論の最近の研究で言われていることなのかな、と思ったりします。
別に関係なくても、繋がってもらえているのを想像するだけで、嬉しいものでもありますし。
■H型人材を目指せ!
本章で、実践的であるゆえに、印象的だった言葉が「T型人材ではなく、H型人材を目指せ」というメッセージです。
「T型人材」とは、1つの深い専門性と、幅広い知識の組み合わせ。いわゆる「スペシャリスト+ジェネラリスト」のイメージです。
対して「H型人材」とは、「2つ以上の深い専門領域を持ち、その間を行き来できる人」のこと。
ここでは、ヤフーの安宅和人さんが例として挙げられています。
脳神経科学の博士を持ちながら、マッキンゼーのコンサルタント出身であり、マーケティングやビッグデータの領域でも突き抜けた価値を生み出している、まさに「H型人材」の体現者である、とのこと(ちょっと真似できませんが…苦笑)
2つの深い領域を持つことで、自分の中にストラクチャルホールが生まれる。一人の人間の内側で、異なるネットワークが深くつながっていく。そんなイメージをしました。
■まとめ:「つなぐ人」になることの意味
改めて今回の理論を振り返ると、誰かと誰かの結節点になること、「人をつなごうとする」こと。これは意図的に作り出していく価値のあるものだと感じました。
…とはいえ、つなぐことはそれほど簡単でもありません。
本当に意味のある橋渡しをするためには、常に「この人とこの人がつながったら、何が生まれるか」という視点を持ち続けることが必要なのかもしれません。
私は、つい遠慮して人を繋げることを躊躇してしまいますが、こうした「つなぐ」という役割を自分に持たせたとしたら、もっともっと世界が広がるような、そんな気がしたのでした。
▽▽▽
そしてもう一点、「H型人材」という観点も、自分自身のキャリアを考えるうえでとても刺さりました。
私自身でいえば、「人材開発・組織開発(強みやコーチング、リーダーシップ)」という領域と、趣味的なものですが「ランニング(たまにピアノ)」の世界、この2つは深堀りしていくのは面白いな、と思っています。
この2つの領域を深めながら行き来することで、H型のストラクチャル・ホールを自分の中に育てていけたら、そんなことを思っている次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
https://note.com/courage_sapuri/n/n5370b8cf1cf1?app_launch=false
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【編集後記】
◯今月のランニング:171km
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