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令和8年5月19日(第4467号)
今週の一冊『脳科学はウェルビーイングをどう語るか?』
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2232字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
先日、100kmマラソンを走った後遺症で、
爪とその周りが炎症を起こして、灰色になっております(汗)。
脚の筋肉は、だいぶ耐久性が増しましたが、
やはり爪はいつも死んでしまいますので、何とか対策を考えたいもの。
また、少し治ってから練習は再開したいと思います。
*
さて、本日のお話です。
毎週ご紹介している、最近読んだ本の中から一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーがございます。
ただ、最近は「積読消化月間」のため、日曜に続いて、追加でお届けいたします。
今回ご紹介の一冊はこちらです。
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『脳科学はウェルビーイングをどう語るか?:最新科学が明かすふれあいとコミュニケーションの力』
乾 敏郎 (著), 門脇加江子 (著)
https://amzn.asia/d/0gmA1m4R
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「ウェルビーイング」という言葉を、最近よく耳にするようになりました。
ウェルビーイングとは、こんなふうに定義されています。
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"個人の主観的な幸福感や生活の質を指し、身体的・精神的な健康だけでなく、
感情的な充足感、社会的な関係、生活の目的や意味、個人の成長や達成感など、より広い範囲を包括している概念"
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つまり、平たく言えば「満たされている状態」のことです。
そしてこの"幸福"というのは、お金があって生活できればいいというだけの話ではありません。
人とのつながりや触れ合い。
そうしたものが深く影響しています。
そんな「つながりを、脳はどう感じているのか?」を脳科学という観点から注目した一冊になっています。
ということで、中身を早速みてまいりましょう!
■人は「脳」で感じている
本書のキーワードの「脳」。
この重要性ですが、少し立ち止まって考えてみると、私たちが「感じる」ことのほぼすべては、脳の中で起きていることに気づきます。
たとえば、目の前の景色が立体的に見えるのは、両目それぞれの網膜に映った光の信号を脳内で合成しているから。
化粧で影をつけると小顔に見えるのも、脳の錯覚によるものです。
And 面白いことに、内臓の知覚(触れられて心地よい、安心するなど)もまた、同じように脳内で合成されていることがわかっています。
たとえば、痛みというものも絶対的なものではなく、「痛みの信号」と「撫でられる気持ちよさ」と「大丈夫だよという言葉かけ」が同時に入ってきたとき、脳はそれらを総合的に判断して「どう感じるか」を決めている。
つまり、呼吸のリズム、励ましの言葉、触れるという行為…これらすべてが、私たちの脳に影響を与えているということです。
■ウェルビーイングは、共感する脳でできあがっている
ここで、ウェルビーイングに戻ります。
ウェルビーイングは「社会的な関係」が含まれると先ほど述べました。
その中で重要なキーワードが「共感すること」です。
たとえば、こんな面白い研究があります。
「共感性が高い男性が手を握った場合、女性の痛みが大きく緩和される傾向があった」
というのです。
つまり、相手の気持ちをできるだけ知りたいと努力するほど(これを「共感性への努力」と言います)、相手への鎮痛作用が大きくなる、ということがわかっています。
少し抽象度を高めると「つながり・安心」を感じやすいとも言える。
では、なぜこんな不思議なことが起きるのか。
そこにも「脳科学」が関わってきます。
先程の話と重なりますが、誰かが怪我をしているのを見て、「痛い、痛い……」と思わず感じてしまう経験はないでしょうか。
これはいわゆる「ミラーニューロン」の働きによるものです。
他者の状態を,自分の脳が鏡のように映し取る。この仕組みが、人間には備わっています。
その中で、「人が触れ合う」ことで脳波が同期されていくことがわかっています。
共感性が高い人が触れると、汗や体温が相手に併せて働き、それが相手に安心感を与えるのだそう。
さらに具体的な話をすれば、1秒あたり1〜10センチの速さで撫でることで痛覚の緩和作用が高まること、気持ちよさを感じる感覚が刺激されること、なども明らかになっています。
■私たちは「不確実性をなくそうとする生きもの」
ウェルビーイングを考えるときに、もう一つ興味深い話があります。
すべての生き物は、環境の不確実性(エントロピー)を最小にしようとして生きている、ということが知られています。
将来を予測したい、「こうすればこう返ってくる」という予測可能性を高めておきたい……そういう本能があるわけです。
たとえば、いつも同じルートで通勤する、というのはまさにこれです。
道中の予測可能性を高めることは、ある意味で自然なことです。
しかし、ここに矛盾が生じます。
同じことばかりしていると、中長期的な不確実性はむしろ高まってしまう。
環境は常に変化するものですから、短期的に安心できても、長い目で見れば「大きな情報を取りに行く」ことも必要になってきます。
ここで重要なのが「好奇心」です。
「認識的行動(環境を探索すること)」と「実利的行動(予測できることをすること)」のバランスを取ること。
これが、今も未来も確実性を高め、ウェルビーイングへと近づいていく道筋になる、というわけです。
■まとめ
こんなふうに、人が何かを考えたり感じたりするとき、脳は必ず関わっています。
ウェルビーイング(「満たされた状態」)も例外ではありません。
身体的な健康だけでなく、社会的なつながり、達成感、成長、そうしたものも脳を通して感じられている。
触れ合いの意味、不確実性との付き合い方、好奇心の使い方、非ゼロサムゲームの世界観、
こうした視点から見直すと、ウェルビーイングというテーマが、より立体的に感じられてくるように思いました。
脳科学だけでなく心理学的な話も含まれており、難しそうに思えて、実は非常に身近なテーマとして読める一冊でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
https://note.com/courage_sapuri/n/n1cd2cf90f312?app_launch=false
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【編集後記】
◯今月のランニング:171km
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