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令和8年5月13日(第4461号)
縁が、機会を運んでくる ーエンベデッドネス理論とは何か?
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2405字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、朝から8kmのランニング。
また、立教大学のビジネスリーダーシッププログラムの授業でした。
その他、出版社の編集者との打ち合わせ。
ずっと水面下に潜っているような出版ですが、粛々と進めています。
商業出版は、その時代ごとのブームがあり、
その波を見て、市井の人が、何に興味を持ち、どんなアプローチが好まれ、
どんな内容が求められているかを常に分析しているそうです。
その中で、「こうした方向性で進めてみてはどうか」という提案をいただきました。
蓄積した情報はあると思うのですが、それを美味しく、役に立つように食べられる形で、
改めて整理をしく必要がありそうです。
流れが来ているようにも思うので(そう信じることにする)、
集中してまとめていきたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
しばらく間が空いておりましたが、『世界標準の経営理論』に関して、本日から続きをまとめたいと思います。
私事ですが、こちらも毎週1回、この『世界標準の経営理論』をみんなでお昼の休憩時間に1、2章ずつ読み進めていくという会に参加しております。なかなか忙しくて参加できないのですが、こうした読んでいく場があることによって、高い山、長い道のりも踏破することができると思います。
さて今回は、第24章「社会学ディシプリンの経営理論」の第1回目。
取り上げるのは、「エンベデッドネス理論」です。それでは、どうぞ!
■「社会学ディシプリン」とは何か
「社会学」とは、人・組織の社会的な関係のメカニズムを解き明かすことを目的とした学問です。
言われてみれば当たり前のことですが、組織も企業も産業も、突き詰めれば「人と人からなる社会」です。にもかかわらず、古典的な経営学では、人を合理的な存在として捉えすぎていたところがあったようで、こうした「人の縁」のようなものは、どこかやや軽視されてきた側面がありました。
そこで「社会学ディシプリンの経営理論」では、人と人のつながりそのものにフォーカスした理論群が登場してきます。今日はその第1回目として、「エンベデッドネス理論」を見ていきます。
■「エンベデッドネス理論」ってなんだ?
エンベデッドネス(Embeddedness)とは、日本語にすると「埋め込まれた状態」という意味です。「埋め込み理論」とも呼ばれます。
この理論が伝えていることはシンプルで、こういうことです。
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人は、他者とのつながりのネットワークに「埋め込まれている」。
そしてそのネットワークの中でビジネスを行っているため、関係性の影響を強く受ける。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
要は、私たちの経済活動や意思決定は、「合理的な計算」だけで動いているわけではなく、誰とつながっているか、どんな関係性の中にいるかによって、大きく左右されているということです。
以下、エンベデッドネス理論にまつわるポイントを整理します。
◯(1)つながりには「3つのレベル」があった
この理論では、人のつながりを3つのレベルで整理しています。
・⑴ アームズ・レングス(よそよそしいつながり) 合理性や利己性を基盤とした関係。利害が一致している間だけ続くような、距離感のあるつながりです。
・⑵ 埋め込まれたつながり 人脈やネットワーク、相互依存と信頼に基づく関係。ここでは「ヒューリスティック(経験に基づく直感や瞬間的な判断)」が意思決定を支えます。相手のことを深く知っているからこそ、「この人なら大丈夫」という感覚で動けるわけです。
・⑶ ヒエラルキー上のつながり 企業内の制度的な上下関係。こちらも合理性・利己性が基盤にありますが、組織の構造によって維持されているつながりです。
この3つの中で、最も豊かで独自の特性を持つのが、真ん中の「埋め込まれたつながり」です。
◯(2)埋め込まれたつながりの「5つの法則」とは
では、この埋め込まれたつながりには、どんな性質があるのでしょうか。本書では5つの法則が紹介されています。
・法則1:関係性の埋め込み 人は一度つながった相手と繰り返しつながり、その関係が安定化していく傾向がある。
・法則2:行動的な埋め込み つながっている相手が、さらにその先でつながっている人ともつながりやすい。いわゆる「友達の友達」効果です。
・法則3:位置的な埋め込み より多くの人とつながっているほど、情報の獲得・発信において有利になる。
・法則4:意思決定の速さ 埋め込まれたつながりの中では、意思決定のスピードが格段に速くなる。
・法則5:知的情報の交換しやすさ よそよそしいつながりに比べて、深い情報や知識を交換しやすくなる。
こうして並べてみると、深い関係性というのは、単なる「仲良し」ではなく、情報流通と意思決定の質・速度を高める、組織やビジネスの基盤そのものだということが見えてきます。
■企業を超えてつながるのが「これからの時代」
そして本書が最後に示唆しているのが、「企業の存在よりも、より広いネットワークが台頭してくるだろう」という視点です。
企業そのものも、埋め込まれたつながりの集合体と言えます。
一緒に仕事をし、一緒に経験を重ねることで、お互いのことを深く知っていく。かつての運動会や家族ぐるみの付き合い、プライベートも社内で完結するような文化は、まさにそうした埋め込みを企業内部で強化しようとする試みだったのでしょう。
一方で今は、副業や越境学習などで、組織の外に出ることが積極的に推奨されるようになってきました。
企業の枠を超えて磨いたスキルや人脈を持ち帰り、異なるつながりの交換から新たな事業を生み出していく——そんな動きがこれからますます広がっていくだろう、と本書は述べています。
■まとめ:縁が機会を運んでくる
「ジョブ・エンベデッドネス」という概念を大学院時代に学んだことがあります。
人が職場に留まる理由は、給与や待遇だけではなく、そこにある「関係性の埋め込み」にある、という話でした。確かに、つながりがあるからこそ、合理的な損得だけでは割り切れない判断が生まれてくるのは、感覚的にもわかる気がします。
そしてネットワークという観点で言えば、勉強会の仲間、地域の仲間、そうしたつながりが仕事にも波及していくのは、私が日々感じていることそのものです。
ほぼ個人で仕事をしているような立場から言えば、「縁こそが、新しい機会を運んでくる」というのは、決して言い過ぎではないな、と感じているこの頃です。エンベデッドネス理論は、そのことを経営学の理論から説明してくれる、非常に納得感の高い理論でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
https://gemini.google.com/u/0/gem/7442dea69edd/f07a5b1dea763dff
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【編集後記】
◯今月のランニング:58km
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