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令和8年5月8日(第4456号)
トップアスリートは「性格の強み」によって才能が開花する ー論文レビュー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2945字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、これから独立をされる勉強会仲間とランチでした。
副業で不動産投資を個人でこれまで9億円(!)行っており、
家賃収入が1億円ある中で、満を持しての独立・起業されるとのこと。
不動産など全く分からないの私ですが、
一つのチャレンジの中で、色々と得たものが多く、
そうしたご経験をこれから伝えていく立場にもなられていくようです。
また、その方がまたご自身の「強み」を活かしながら、
そうした基盤を作り上げてこられたお話も聞き、実にしびれるお話でした。
(ちなみに、起業後に勉強会をやって行く予定とのこと。
ご興味がある方はおつなぎしますので、お気軽にご連絡くださいませ)
*
さて、本日のお話です。
先日、ランニング仲間でもある大学の先生とランチをしました。
その方は、ランニング経験がさほど長くないにもかかわらず、わずか半年ほどでサブ3時間10分を目標にレースに挑むという、なかなか恐ろしいポテンシャルの持ち主。
「なぜそこまで粘り強く戦えるのですか?」と聞いてみると、その理由を「学生時代にサッカーに打ち込んだ経験があるから」とおっしゃっていました。
たとえ無理だと思っても、「もっといける⋯まだいける!」と自分を鼓舞して追い込み続ける。自分が限界だと思った更に先にいくことで、その後に深い満足感がある。
そうした原体験が、キツくなった時にいつも自分の背中を押してくれるのだ、とのこと。
そして、スポーツで培われた粘り強さは、後に博士論文を書くときを始め、人生のさまざまな場面でもポジティブな力を発揮してくれた——と語ってくれました。
そんな話を聞きながら、その方の強みと原点の話を聞き、大いに納得をしたのでした。
さて、前置きが長くなりましたが、今日はそのような「スポーツにより強みが育つ」というテーマで、興味深い論文を見つけましたので、その内容をご紹介させていただきます。
それでは、どうぞ!
■今回の論文
タイトル:Prospects for Applying Virtue and Character Strength Research to Sports Education: A Narrative Review(徳性の強み研究をスポーツ教育に活かすためのナラティブレビュー)
出版:北関東体育学研究 10巻,2025年
著者:霜鳥駿太,木内敦詞,西田順一,中雄勇人
所属:帝京大学冲永総合研究所/筑波大学大学院/近畿大学経営学部/群馬大学共同教育学部
■30秒でわかる論文のポイント
・この論文は「性格の強み(キャラクターストレングス)に関する国内外の研究を広く収集・整理し、スポーツ教育の実践にどう活かせるかを展望した、ナラティブレビュー論文」である。
・複数の研究から、スポーツの練習や試合を通じて、勇敢さ・熱意・チームワークなどの「徳性の強み」が育まれることが示唆されている。
・強みを認識し、使い、振り返る「ストレングスサイクル」の繰り返しが、アスリートの才能開花に有効である。
・体育授業は、強みを意図的に育てることのできる重要な教育の場である。強みを仲間と共有し合う集団的なアプローチが、個人とチーム双方の成長につながる
■論文でまとめられていること
この論文では、複数のデータベースを使い、日本語・英語あわせて24の検索語で論文を網羅的に収集しました。それらを以下の流れで整理しています。
⑴「性格の強み」とは何か(概念と測定方法)
強みを測る尺度「VIA-IS」の成り立ちと課題を整理。24の強みと6つの美徳という構造を解説します。
⑵基礎研究——強みには性別・年齢・国による違いがある
男女差や年代差、日米比較など、強みの個人差に関する研究を概観します。
⑶介入研究——強みは「使うこと」で育つ
教育・看護などの分野での介入事例を整理。自分の強みを認識し活用することで、幸福感や自己成長意識が高まることを確認しています。
⑷スポーツと強みの関連——本論文のメイン
ここが本論文の注目ポイント。スポーツ経験・体育授業・運動部活動・コーチングと強みの関係を探る。最もご紹介したいパートです。
■トップパフォーマーは、強みを鍛えて作られる
「才能は生まれつきのものだ」と、私たちはつい思いがちです。でも、この論文はそこに疑問を投げかけます。
曰く、「競技レベルが世界トップ25に入るアスリートの90%が、初期段階では才能の片鱗を見せていなかった」という調査結果が紹介されています。
では、何がトップアスリートを作るのか? 本論考ではこう述べています。
「スポーツや身体活動においてキャラクターストレングスを使用することで、才能を開花させ、ネガティブな心理状態を緩和し、活力を生み出すことができる。だからこそトップアスリートは輝くことができる」
元々の身体的な才能もあったかもしれません。
しかし、そこに「性格の強み」をかけ合わせるから才能が開花するのだ、と述べているのが印象ていいです。
他にも、大学でスポーツに取り組む印象ですが、学業成績の向上や就職先での困難な課題の解決にも、自分の強みを発揮したことが報告されているなど、、スポーツの中で鍛えられた強みは、競技の外側にも滲み出ていくようです。
まさに、冒頭の先生仲間が、ランニングでも博士論文でも同じ粘り強さを発揮していたお話を思い出します。
■「ストレングスサイクル」で、強みは鍛えられる
では、どうすれば強みは育つのでしょうか。
論文が紹介するのが「ストレングスサイクル」という考え方です(リンリー(Linley)博士により提唱)。
このサイクルは、次の5つのステップで構成されています。
・強みを使う(Strengths use)
↓
・活力が生まれる(Energy)
↓
・気づきが生まれる(Awareness)
↓
・回復する(Recovery)
↓
・更新される(Renewal)
そしてまた、「強みを使う」という循環です。
アスリートにとってストレスなく居心地のいい場所に留まることなく、新たな挑戦を重ねる中で、強みを活用し、休息を通じ、再生と更新を繰り返しながら、自己を高めていく。
さらに、練習や試合後に指導者からのフィードバックを受け、自己の課題に気づき、それを解決するためにこのサイクルを継続的に活用することの重要性も指摘されています。
スポーツの日々の練習には、挑戦・振り返り・再挑戦の機会が豊富にある。だからこそ、スポーツはこのサイクルを回すのにこれ以上ない環境だといえそうです。
私自身も先月のフルマラソンで盛大に失敗したあと、「何が足りなかったか?」を振り返り、「粘り強さ」が日々の練習の中で十分に鍛えられていなかった、という現実に気づかされました。
この「気付き(Awareness)を、スポーツで消耗したエネルギーを「回復(Recovery)」させ、そして新たな自分に「更新(Renewal)」される。そんなプロセスとも思えそうです。
■まとめと感想
この論文を読んで、改めて思ったことがあります。
スポーツが人を育てるというのは、昔から語られてきた話です。
でも、「どんな強みが」「どのように」育まれるのかを、強みの研究として丁寧に整理しようとするこの試みには、個人的に大変共感しました。
強みは持っているだけでは育ちません。
使って、気づいて、振り返って、また使う。そのサイクルの中で、人は少しずつ自分らしい強みを深めていく。
そして、「スポーツ」とはその循環を回すのに、これ以上ない場所なのかもしれません。
競技の世界だけでなく、体育の授業や部活動という日常の場にも、強みを育てる可能性がある。そんなことを感じる論文でした。
アスリートではないけれど、一人のランナーとして、深く共感できる内容でもありました。
ということで、来週の野辺山ウルトラマラソン100kmも頑張りたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:32km
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