配信日時 2026/03/25 12:00

「親切にすること」の価値 ー27研究・4000名以上のデータからわかったことー【カレッジサプリ】

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令和8年3月25日(第4413号)


「親切にすること」の価値
ー27研究・4000名以上のデータからわかったことー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2985字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は早朝から10kmのランニング。
また終日「強み✕キャリア」の研修実施でした。

20代の方を中心にキャリア自律をテーマに、
ストレングス・ファインダーとキャリア理論を重ねて作成したワークショップですが
皆さま、非常に熱量高く参加頂き、大変ありがたい時間でした。

今後、皆さま自身が納得できるキャリアを歩めること、
心より応援している次第です。



さて、本日のお話です。

本日は「親切にすること」が幸福感に及ぼす影響について、研究を統合したメタ分析論文をご紹介します。

ポジティブ心理学の領域では「親切にすることが幸福感を高める」という知見は有名です。
では実際どの程度の効果があり、どんな条件で効果が出やすいのか? 

それを27研究、総勢4045名のデータから取得したメタ分析の論文です。

説得力もあり、読みやすく、納得感のある論文でした。
ということで、早速中身を見てまいりましょう!



■今回の論文
タイトル:Happy to help? A systematic review and meta-analysis of the effects of performing acts of kindness on the well-being of the actor
 (喜んでお手伝いしますか?親切行為の実行が行為者の幸福感に及ぼす効果に関する系統的レビューとメタ分析)
著者:Oliver Scott Curry / Harvey Whitehouse
ジャーナル:Journal of Experimental Social Psychology、2018年
所属:オックスフォード大学 認知・進化人類学研究所(Institute of Cognitive and Evolutionary Anthropology, University of Oxford)


■30秒でわかる論文のポイント

・親切行為を実験的に行わせた27研究(参加者4045名)をメタ分析した結果、親切にすることは行為者の幸福感を小〜中程度(効果量d=0.28)高めることが示された

・この効果は性別、年齢、介入内容、対照条件、結果測定によって調整されず、出版バイアスの兆候も認められなかった

・ただし既存研究には限界があり、今後はより具体的な理論(誰が誰に対してどんな親切をすると効果が大きいか)を検証する研究が必要である


■研究の背景と目的

近年、行動科学の進歩により「親切にすること」を説明する理論が発展してきました。

一方で実践面では、「思いやりのある行動」を促すことで主観的幸福感を高めようという介入が推進されてきたものの、これまでの研究の多くは相関研究であり、親切と幸福の因果関係を立証するには不十分でした。

そこで本研究では、親切介入が行為者の幸福感に及ぼす因果的な効果を明らかにするため、実験研究のみを対象とした系統的レビューとメタ分析を実施しました。


■「親切にすること」の要因とは?

論文の冒頭で、なぜ人は「親切=他者に利益をもたらすことを意図した行動」をするのかを、近年の学際的研究からまとめています。
5000万年以上の社会集団としての人類の歴史から始まり、いくつかのタイプの親切のメカニズムを以下のように整理しています。


◯⑴親族利他主義:人は家族に対して親切になる

自然淘汰は、遺伝的に親しい親族や家族に対する親切を好む。
(例:親による育児、血縁利他主義)

◯⑵相互主義:人々は共同体の成員に対して親切になる

共通の利益を共有する相手(チームメイト、グループメンバーなど)に対して強調して、協力して、親切にする傾向がある。人類で古くからある。
(例:集団防衛、協働狩猟などの共生関係)

◯⑶相互利他主義:人は再び会う可能性のある者に対して親切にする

自然淘汰は、後日恩返しをしてくれる可能性のある者への親切が有利となる。これは人類に特徴的なものである。
(例:同情、信頼、恩返しの行為、感謝、許し、友情などを説明する)

◯⑷競争的利他主義:人は自らの地位を高める場合に他者に親切にする

自然淘汰は、仲間を感動させ、配偶者を惹きつける親切さも好む。人間や他の種も、自らの腕前(能力)の誇示によって地位の競争を獲得する。
(例:寛大さ、英雄的行為、騎士道精神など)


こう見てみると、「自然淘汰」「自然選択」の結果として、自分に関連することで何かしらの利益がもたらされることをわかっているから、人は親切にする、という要因がメインストリームのように見えます。

また、「無償の親切」(会う可能性がない人に親切にする)みたいなものがここでは触れられていないのが気になるところではありますが、それも「親切な自分という自己概念」が何かしらのメリットを自分に与えているのかもしれないな、とも思いました。(個人の感想です)


■研究の方法

・デザイン:系統的レビューとメタ分析
・参加者:27研究、総勢4045名(平均年齢25.04歳、男性比率35%)
・使用した尺度・測定ツール:主観的幸福感尺度(SHS)、生活満足度尺度(SWLS)、ポジティブ・ネガティブ感情尺度(PANAS)、心理的繁栄尺度など
・使用した分析手法:多層モデル分析
・介入1:「親切行為」介入(1週間毎日5つの親切な行為を行う、など)
・介入2:「利他的購買」介入(与えられたお金を他者のために使う)
・比較条件:無処置群、中立的活動、自己への親切行為など


■主な結果(わかったこと)

◯わかったこと1:親切行為は行為者の幸福感を小〜中程度高める

分析の結果、親切行為が行為者の幸福感に及ぼす全体的な効果サイズはd=0.28でした。
これは小〜中程度の効果であり、標準的な0〜10の幸福度尺度で約0.6ポイントの増加に相当します。


◯わかったこと2:効果は性別・年齢・介入内容などによって調整されなかった

性別、年齢、参加者のタイプ(典型的参加者か社会不安のある参加者か)、介入の種類(親切行為、利他的支出、その他)、
対照条件の種類(何もしない、中立的活動、自助、その他)、アウトカム指標(幸福感、生活満足度、ポジティブ・ネガティブ感情、その他)のいずれによっても、効果サイズは有意に調整されませんでした。


◯わかったこと3:出版バイアスの証拠は認められなかった

分析の結果、平均無効結果を示す未発表研究が1919件必要であることが示されました。
またその他の検定でも、出版バイアスの兆候は認められませんでした。


■まとめと感想

本論文を読んで感じたことは3つあります。

1つ目は、メタ分析という手法の説得力の高さです。
27もの研究を統合した結論は、単一の研究よりもはるかに信頼性が高く、やはりメタ分析は優先的に読んでいきたいものだと改めて思いました。

2つ目は、関連論文を読むことの重要性です。
先日、幸福に関する尺度をまとめた論文を読みましたが、そこで調べた幸福の尺度が本論文でもベースとなっており、研究が繋がっていることを実感できました。論文は関連するものを読むからこそ、その理解が深まるものだと感じた次第です。

3つ目は、ポジティブ心理学関連の介入効果の現実的な大きさについてです。
効果量は小〜中程度とのことで、「親切にする」という行動単体で人生が劇的に変わるようなインパクトを期待するものではないと思います。これは「感謝」にせよ「愛情」にせよ、他の性格の強みも同様でしょう。

何か1つの論文を読んで全てが見えてくるわけではありませんが、コツコツ積み重ねた先に見える景色を楽しみに、これからも研究を追っていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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 【編集後記】
◯今月のランニング:246km

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