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令和8年3月24日(第4412号)
「責任」と「説明責任」は何が違う?ーサザンクイーンズランド大学の研究ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3546字/読了時間5分)
■こんにちは、紀藤です。
昨日は、強みのフィードバックアプリ開発の打ち合わせ1件。
また4月から受け持つ高校のリーダーシップの授業の設計など。
とはいえ、AIの登場によりずっとやりやすくなり、ありがたいな⋯と思うこの頃です。
本当に、仕事のやり方も大いに変わっている時代ですね。
*
さて、本日のお話です。
本日は「説明責任(Accountability)と責任(Responsibility)の定義」という論文をご紹介します。
先日、「アカウンタビリティ(説明責任)」についての論文をご紹介いたしました。その中で「責任」と「説明責任」は何が違うのか?についても、さらりと触れられていました。
今日は、さらに掘り進めて「責任と説明責任の違いを定義する」ことにフォーカスをした論文をご紹介したいと思います。そんな細かいこと・・・、と思われそうですが、本論文ではこのように研究の目的を示しています。
(ここから)
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「『○○とは何か』という問いへの答えを求めることが、プラトンの対話篇の大部分の中心にある」そして「アリストテレス自身、定義の探求をソクラテスにまで遡っている」。
それから約2,000年後、ホッブズ(1996)は次のように記している。
「結論として、人間的な精神の光とは明晰な言葉であるが、それはまず厳密な定義によって曇りを取り除かれ、曖昧さから浄化されたものである。理性は歩みであり、科学の進歩は道であり、人類の利益は目的である」⑴p. 32⑵。
この見解を受け入れ、我々は「アカウンタビリティ(説明責任)」と「責任」という用語の意味から曖昧さを排除することで、経営全般、特にプロジェクトマネジメントに何らかの利益をもたらすことを目指す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(ここまで)
なるほど、「〇〇とは何か」という問いはプラトン、アリストテレス、ソクラテスにまで遡るそうです。
私のような人は、この一文を読むだけで「確かにそうかも・・・!」と安易に思ってしまいますが、確かに、その言葉が意味している「定義」を正確に理解しようとすることは、少なくとも、アカウンタビリティ(説明責任)や責任という言葉が使われるとすると、大切な問いのようにも思います。
ということで、ちょっと(というかかなり)マニアックですが、この論文の内容についてご紹介したいと思います。
■今回の論文
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タイトル:Accountability and responsibility defined(説明責任と責任の定義)
著者:Steven Keith McGrath / Stephen Jonathan Whitty
ジャーナル:International Journal of Managing Projects in Business、2018年
所属:サザンクイーンズランド大学 ビジネス・教育・法学・芸術学部(Faculty of Business, Education, Law and Arts, University of Southern Queensland)
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■30秒でわかる論文のポイント
・「責任(responsibility)」と「説明責任(accountability)」という2つの言葉は、日常的にも、組織運営においても混同されて使われている
・本研究では、定義精緻化手法を用いて、これら2つの言葉の本質的な意味を明確化した
・「責任」とは「任務を満足のいく形で遂行する義務」のことであり、「説明責任」とは「任務が満足のいく形で遂行されることを保証する責任」のことである
・この違いを理解することで、プロジェクトマネジメントや組織運営における役割分担の明確化、効率化が期待できる
■研究の背景と目的
「責任(responsibility)」と「説明責任(accountability)」という言葉は、多くの辞書で互いに参照し合う形で定義されており、日常的にも混同されて使われています。
この混乱は、プロジェクトマネジメントの実務においても深刻な問題を引き起こしています。例えば、RACI(Responsible、Accountable、Consulted、Informed)という責任分担マトリックスを用いて組織全体の役割を決定しようとした際、「Accountable(説明責任を負う者)」の割り当てに関して大きな困難が生じ、プロジェクトが数ヶ月遅延した事例があります。
本研究の目的は、「責任」と「説明責任」という用語の本質的な意味を明確化し、組織やプロジェクトマネジメントにおける混乱を解消することです。
■研究の方法
・デザイン:概念分析研究
・対象:「responsibility」「responsible」「accountability」「accountable」という4つの用語
・使用した手法:McGrath and Whitty⑵015⑵による「定義精緻化手法」
主なステップは以下の通り:
◯「定義精緻化手法」の主なステップ
・定義対象となる用語群を選択
・定義の順序を決定(派生語や複合語の扱い方を含む)
・語彙的用法を調査(複数の辞書を参照)
・含意的(内包的)な慣習的定義を作成
・既存の学術的検討を報告・分析
・不適切な項目を削除
・内容とプロセスの混同した意味を削除
・意味の相違を排除(歴史的用法、分野別用法、実務家の用法を検討)
・Copi and Cohen⑴990⑵の5つの規則に照らして検証
・導出された定義を報告
※参照した資料:各種英語辞書(ケンブリッジ、コリンズ、ロングマン、マクミラン、マッコーリー、メリアム・ウェブスター、オックスフォードなど)、オンライン辞書、『コンサイス・オックスフォード辞典』⑴964年版⑵、語源辞典、学術文献
■主な結果(わかったこと)
◯わかったこと1:「責任」と「説明責任」の本質的な違いが明確化された
定義精緻化手法を用いた分析の結果、以下の定義が導出されました。
・責任(Responsibility):任務を満足のいく形で遂行する義務
・責任ある(Responsible):責任を引き受けること、すなわち、任務を満足のいく形で遂行する義務を引き受けること
・説明責任(Accountability):任務が満足のいく形で遂行されることを保証する責任
・説明責任のある(Accountable):説明責任を有する、すなわち、任務が満足のいく形で遂行されることを保証する責任を負っている
つまり、「責任」は「任務を実行する義務」であるのに対し、「説明責任」は「任務が適切に実行されることを保証する責任」という違いがあります。
また、説明責任の源泉には、立法的なもの、組織的なもの、契約上のもの、あるいは非公式なものがあります。また、ある組織レベルにおける責任は、その直下の階層的組織レベルにおける説明責任へと変換されます。
◯わかったこと2:「責任は委譲できるが、説明責任は委譲できない」という原則が条件付きで確認された
この原則は、特定の管理レベル、特定の法律、または単一の雇用契約にのみ限定されるという条件付きで確認されました。組織の階層を超えると、責任は組織的および契約上の説明責任へと変換され、階層間ではこのように相互に移行していきます。
◯わかったこと3:RACIマトリックスにおける「A」の解釈が明確化された
プロジェクトマネジメントで「誰が何を担うか」を整理するための役割分担のフレームワークとして「RACI」というものがあります。ここで、RACI(Responsible、Accountable、Consulted、Informed)という役割で「A(Accountable)」を「説明責任」ではなく「承認(Approval)」として使用したようがよい、と提案されていました。そうすることで、定義上の混乱を回避し、説明責任を確保する手段を提供できる、とのこと。
■まとめと感想
まず驚いたのが、「言葉をここまで掘り下げるだけ(と言ったら失礼ですが)」の研究があったということです。本当に、様々な角度からの研究があるのだな⋯と思いましたし、同時に「何かに名前をつける」ことは、これくらい厳密に考える必要があるのだな、と思いました。
また、私の研究テーマである「強み」の観点から見ると、ストレングス・ファインダーでも強みのもとである資質の概念の一つに「責任感(responsibility)」というものがあります。あるいはイギリス発の強み診断のストレングス・プロファイルでも「責任感(Personal Responsibility)」というものが同じく、記載されています。
「自分が約束したこと、受け取ったことを遂行しようとすること」こうした行為は、強みの概念の一つにもなりうる思考や行動ですが、そんな「責任感」という言葉が改めて明確になったことで、より言葉の手触り感が高まった、いわゆる解像度が高まったように思います。
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【編集後記】
◯今月のランニング:229km
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