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令和8年3月9日(第4396号)
「勇気は学べるのか?」科学が示した答えとは ーポジティブ心理学の知見ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2667字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は東京マラソンぶりに8kmのランニング。
来月の最後の長野マラソンに向けて、調整しつつ負荷を高めて行きたいと思います。
また生まれて始めて「オペラ」を観に行きました。
「ドン・ジョバンニ」というモーツァルトの作品ですが、
3時間と長丁場でしたが、面白かったです。
歴史とか、まだまだ知らないことだらけだな…と思いました。
*
さて本日のお話です。
本日は強みの一つのテーマである「勇気」についての論文をご紹介いたします。
どこかで「もっと勇気があったら…」と願う瞬間があるかと思います。
一歩踏み出す勇気を持つことは、自分の可能性を拡げ、他者にも同じく勇気を与えるもの。
(ちなみに余談ですが、弊社の会社名は「Courage」です。そんな小さな勇気を後押ししたい、という願いを込めております)
さて、本日紹介する『勇気は学べるのか?』という論文は、ポジティブ心理学が「人間の強み」を科学的に解明し始めた時期の興味深い論考でした。
約20年前の知見ではありますが、そのポイントは決して色褪せていない「原点」だと感じます。
ということで、早速中身を見てまいりましょう。それでは、どうぞ!
■今回の論文
・タイトル:Can courage be learned?(勇気は学べるのか?)
・著者:Cynthia L. S. Pury / Christopher R. Rate
・ジャーナル:Discovering Human Strengths、2008年
・所属:クレムソン大学(Clemson University)
※本資料は書籍『Discovering Human Strengths』の第6章として構成されています。
■30秒でわかる論文のポイント
・勇気の定義:個人的な脅威や不確実性を認識しながらも、価値ある目標を意図的に追求することです。
・4つの必須要素:「意図性」「価値ある目標」「個人的リスク」「結果の不確実性」が揃って初めて勇気と呼べます。
・3つの類型:「身体的勇気」「道徳的勇気」「心理的(生命的)勇気」に分類され、それぞれ直面するリスクの質が異なります。
・学習可能性:恐怖を減らす(暴露療法)、自信を高める(自己効力感)、目標の価値を再認識する(認知の変化)といったアプローチで、勇気は高めることが可能です。
特に、勇気の4つの必須要素、3つの類型が、勇気という曖昧なものを手触り感がある具体的な特性に翻訳しているところが、本論文の魅力です。
■研究の背景と目的
古来、勇気は哲学の主要テーマでしたが、心理学的な研究が本格化したのは比較的最近のことです。
本論文の目的は、勇気ある行動に共通する特徴を定義し、人々がいかにして勇気を持つようになるのか、その「学習メカニズム」を解明することにあります。
◯「勇気」の定義:
単に「恐れがない状態」ではありません。本論文では、「個人的な脅威や不確実な結果を認識しながらも、価値ある目標を意図的に追求すること」と定義されています。
つまり、恐怖を感じつつも、あえて困難に立ち向かう「決断」が含まれていることが重要です。
■研究の方法
本論文は、過去の著名な事例の分析と、著者らが行った複数の調査結果を統合したレビュー形式をとっています。
◯参加者・デザイン:
大学生約250名〜300名を対象とした質問紙調査。自身がとった「勇気ある行動」を記述させ、その際のリスク、感情、性格的強みを分析。
◯測定ツール:
・Woodard (2004) の勇気尺度。
・Peterson & Seligman (2004) の「性格の強み(VIA)」分類。
◯分析手法:
因子分析(複数の変数の相互関係から共通因子を特定する手法)。
■勇敢な行動の例
論文の冒頭では、私たちの心を揺さぶる「勇気の体現者」たちが紹介されています。
「勇気」とは何か、その価値をイメージさせるものとして、個人的にぐっと来たエピソードでした。
・ウェスリー・オートリー:地下鉄の線路に転落した見知らぬ男性を救うため、接近する列車の下、自らの体で男性を溝に押さえつけて守り抜きました。
・シェロン・ワトキンス:エンロン社の副社長でありながら、職を失うリスクを顧みず、自社の不正会計を会長に告発しました(内部告発)。
・クリス・ガードナー:ホームレスという極限状態にありながら、幼い息子を育て上げ、証券ブローカーとして成功を掴みました(映画『幸せのちから』のモデル)。
・アリス・セボルド:性暴力の被害者となりながらも、逃げるのではなく、街で見かけた犯人を警察に通報し、裁判で証言して収監を見届けました。
■主な結果(わかったこと)
◯わかったこと1:勇気には「3つの種類」と「3つのリスク」がある
勇気は「身体的(肉体的危険)」「道徳的(社会的拒絶)」「心理的(精神的均衡の揺らぎ)」の3つに大別されます。
調査の結果、身体的勇気には身体的リスクが、道徳的勇気には他者評価のリスク(イメージリスク)が強く伴うことが判明しました。
◯わかったこと2:勇気と「自信」「恐怖」の相関関係
「自分にとっての勇気(個人的勇気)」が必要な時ほど、恐怖心が強く自信が低い傾向にあります。
一方で、自信(自己効力感)が高まり恐怖が減ると、その行動は「誰にとっても勇気ある行動(一般的な勇気)」として認識されやすくなり、実行の葛藤も少なくなります。
◯わかったこと3:勇気を高めるための戦略
人々は意識的に勇気を奮い立たせており、その戦略は3つに集約されます。
・問題焦点型:準備やリハーサルを行い、リスクを直接減らす。
・感情焦点型:前向きな思考やリラクゼーションで恐怖を管理する。
・結果焦点型:目標の価値や義務感(「助けるべき」という信念)を強調する。
■実践に活かすヒントのアイデア
・教育・子育て:子供に勇気あるロールモデル(家族の物語など)を共有し、道徳的規範や「助けるスキル」を教えることで、いじめに立ち向かうような勇気を育めます。
・ビジネス:新しいプロジェクトや内部告発など、リスクを伴う場面では、徹底的な「準備(問題焦点型)」により不確実性を減らすことが、一歩踏み出す自信につながります。
・セルフケア:恐怖で動けない時は、認知行動療法の「暴露療法」の考え方を借り、小さなリスクから段階的に慣れていくことで、心理的な耐性を高めることができます。
■まとめと感想
「勇気」とは、リスクがあるからこそ表現されうるものである。そのことを改めて認識する論文でした。
私たちは日々、ちょっとした意見を言うことや、新しい環境に飛び込むことなど、多くの「小さな勇気」を求められます。
しかし、失敗への恐怖から躊躇してしまうことも少なくありません。
しかし、今回の論文を読み、勇気もまた「スキル」として分解・訓練可能であるという知見に触れ、そうした事実に「勇気」づけられました。
たとえば、認知行動療法のように少しずつ状況に慣らしていく「暴露」のプロセスや、他者の勇気ある行動を観察し「自分にもできる」と自己効力感を高めていくプロセスは、日常生活で今すぐ取り入れられそうな気もします。
「勇気は学べるのか?」という問いへの答えは、「YES」です。
恐怖を消し去るのではなく、恐怖を抱えたまま一歩踏み出すための技術を磨いていきたいものだ、そんなことを思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:53km
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