配信日時 2026/03/02 12:00

3時間19分の完敗 ー痙攣と失禁の間に揺れた東京マラソンの旅路ー【カレッジサプリ】

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令和8年3月2日(第4388号)


3時間19分の完敗 ー痙攣と失禁の間に揺れた、東京マラソンの旅路ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3456字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

先日、初めての「東京マラソン」に参加をしてきました。
そして、同時に初めての「サブ3チャレンジ」の本番でした。

こんなにもしんどいのに、なぜ毎回楽しみになるのか。
しんどいのは、レースだけではなく、むしろ練習もそうなのに。
100%中、95%が辛い。それでもやめられないのはなぜなのか。

今日は、東京マラソンの振り返りを含めての感想を、記してみたいと思います。

それでは、どうぞ。


■サブ3チャレンジの朝

昨日の東京マラソンは、憧れていた「サブ3チャレンジ」の本番として掲げていたレースでした。

朝5時30分に起床。ご飯と具無しの味噌汁を食べて、朝6時には家を出発します。
3万9000人の参加者の中で、位置取りが重要なので、Cブロックの最前列に並ぼうと、7時30分にはレース位置に並びます。
スタートは9時10分なので、なんと1時間40分前。

暖かい天候とは言え、都庁前のビル群を吹き抜ける風は冷たいです。
同じく早めに並んでいたランナーは、アルミシートやポンチョにくるまって、冷気をしのぐペンギンのようになっていました。

開始までの時間、東京ディズニーランドのパレードを待つ父親の如く、同じ場所で待機し続けます。これも初めての経験。
辺り一面から海外の言葉で話される様子を見ながら、気づけばレース開始まで20分となり、Cブロックも人混みで埋め尽くされてきました。
もう後ろの方は、見えません。

ですが、ここに来て、突然の尿意。

あれ、さっき行ったはずなのに…。
しかし、身体は言うことを聞きません。

一方、もし離脱すると、スタートまでに再度並ぶことは不可能な時間です。
Cブロックどころか、最後尾からのスタートとなってしまう。そうすると、渋滞によりサブ3はほぼ難しい。

「やむを得ない…」と尿意を我慢して走ることにしました。
3時間だったら、きっと大丈夫、と自分の膀胱を信じながら。



■快調な出だしで、期待が高まる

9時10分。スタートの号砲が鳴りました。
一斉に皆が走り始めます。

皆のアドレナリンの放出を感じます。
身体が接触しつつ、「Sorry」などという言葉が周りから聞こえて、皆が駆け出しています。

東京マラソンは、最初の5kmが緩やかな下り。
ここでペースを上げてはいけないよ、とランニング仲間でこのレースの経験者からさんざん言われていました。
しかしアドレナリンの渦には敵わず、サブ3のペースメーカーがガンガン前に行くと、それに呼応すべく、ペースを保とうと脚が回る。

スピードは、1kmあたり4:08あたり。
心拍もやや高めです。しかし、脳内ホルモンで、キツいとは全く感じません。そのまま巡航していきます。

5kmすぎ、10kmすぎ、15kmすぎ、ペースはいずれも4:10。
脚の疲労もなく、このまま30kmまで脚の耐久力が持てば、勝負はできる、と感じていました。

一方、ひたひたと忍び寄ってきたもの。それが、距離に比例して大きくなる「尿意」でした。尿
意を抑えるには、膀胱周辺の外尿道括約筋が関わるそうですが、その周りには「骨盤底筋群」にも影響があります。
これは、ランニング中に体幹の安定性を高める筋肉でもあります。
ここに常に力が入っているのを感じていました(漏れないように)。一方、その増大するプレッシャーにと焦りを感じます。



■暗雲(尿意)立ち込める23km地点

走りながら、妙な誘惑が脳内をよぎります。

「サブ3を行けるなら、名誉の失禁もいいんじゃないか」

と。名誉の失禁なんて言葉があるか知りませんが、プロのアスリートがなんと大きな方を漏らしながら完走したエピソードも聞いていたので、例外はない、と謎の対話が始まりました。

…ですが、私はプロでもなんでもないので、少しの間逡巡し、やはり大人としてのプライドと冷静な判断がそれ(失禁)を阻止しました。
そもそも、逆にそれで気持ち悪くなって達成できなくなったら、本末転倒です。レースとは、総合力なのですから。

そして23km地点で、トイレに駆け込みました。タイムを狙ったレースで、初めてのトイレ。
約1分間のロス。1分はでかい、でかすぎる。

コースに戻ったら、遅れを取り戻すべく、ペースを上げようと焦りました。
すると、それがよくなかったのでしょう。左ふくらはぎに、ビクビクっとした脈動を感じました。

痙攣です。

地面を蹴ると、ふくらはぎが震える。
続いて、右ふくらはぎも同じ様子になったことに気づきました。
心肺は大丈夫でも、ペースを上げると、脚がついてこない。
そして25km地点では、大きな衝撃と共に、完全に脚が攣ってしまいました。

またその前後で、エネルギー補給のジェルを取り出すタイミングで、3つほどポケットから落としてしまっていたらしく、用意していた補給剤も激減してしまいました。

万事休す。

この時点でこうなっては、サブ3は不可能です。気合でどうこうなる問題ではないと自分が一番わかっています。でも、リタイヤという選択肢はない。



■とにかく前へ進むべし

そこから4分40秒位のペースでも走ろうとすると、すぐに脚が攣ってしまいました。

1kmごとに、攣っては伸ばしてを繰り返す。

ギリギリで粘るとかではない、どうしようもない感覚。
よくレースでつらそう歩く人を追い抜く時に見かける寂しい背中の主に、自分自身がなっていました。
25kmから35kmくらいは、攣っては立ち止まり、伸ばして走るの繰り返し。どんどん抜かれていく中、一人脚を伸ばしている様子は、悔しさよりも哀愁が漂います。
しかし、レースに失敗するとは、こういうことです。

加えて、35km地点では、前から故障していた外脛骨障害が、靴紐に圧迫されて、強い痛みを放つようになっていきました。
痛くて靴が履いてられない。

ヤケクソで、しばらく靴を脱いで1km位走ってみましたが、これはこれで脚の裏が痛い。
念の為もっていた秘技・ロキソニンを飲んで、その効果を感じるころに靴を再度履きなおして、ゆるく靴紐を結んで走り始めました。

もう楽しく、東京マラソンを感じるしかない、と思い、サングラスを取ります。

カラフルになった世界で、沿道の方々の応援に耳を傾けました。
今回はサブ3は難しかったけれど、こんなにも活気のある世界の東京マラソンが、目の前に広がっている。
そして、1ヶ月半後にも、もう一度レースはある。これは、そのための序章だ!と考えて脚を動かしました。



■上手くいかないから面白い

何度走っても、もれなくやってくるフルマラソンのしんどさ。
12月で自己ベストを達成したときより、ずっとしんどい時間。

しかし、最後3km、日比谷を抜けて、丸の内の石畳を走るときの、大声援は興奮と喜びを与えてくれました。
圧巻の光景でした。
そして、静かにゴール。

タイムは3時間19分。

前回の3時間3分より大幅なダウン. 気持ちいいほどの、言い訳のしようもない「完敗」です。

それでも、何かと自分に甘えてしまうことがある中で、少なくともフルマラソンの瞬間は、自分が自分と戦い、そして何かを目指すべく頑張ったことを全身の疲れが教えてくれます。

そんなときに、心は余計なことを考えず、純粋に応援に感謝し、感謝される気持ちを味わえます。
だから私はマラソンが好きなのです。

今回は完敗でした。でも、未来に繋がる敗北です。
今シーズン最後のレースが、4月19日の長野マラソン。
今回のレースは、自分なりに十分検討したけれども、うまくいかなかった理由もわかりました。

反省点と課題はいくつかあります。少しマニアックですが、以下のようなものです。

・⑴長距離練習の不足(筋持久力の不足)
・⑵脚のパワー不足(坂道などのアップダウンがなさすぎるコース)
・⑶練習強度のバランス(ポイント練習が少ない)
・⑷回復期の練習負荷の調整(回復期に速すぎるペースであった)

どれも要素としては、当たり前のこと。

しかし、「微妙な負荷の違う練習メニュー」を全部、Geminiに聞いて従っていたのが、主な敗因だと私は感じました。
Geminiは私に忖度してか、やや弱めの負荷だったように思います。

ただ、私の主観では、もっと際の際を攻めなければ私の走力は高まらない気がしています。
故障を恐れつつも、ギリギリのところを目指す。本気の練習は、科学と根性の混じり合ったところにあるのではないか、と。

そういった意味で、今回はやはりどこか油断があったのでしょう。
あと7週間の練習期間を、準備を進めたいと思います。

次こそは、必ずや、サブ3を達成したいと思います。

まだまだ旅は続きます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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 【編集後記】
◯今月のランニング:42km

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