配信日時 2026/02/03 21:27

心が軽くなる「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」の6つのプロセス【カレッジサプリ】

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令和8年2月3日(第4363号)


心が軽くなる「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」の6つのプロセス


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2854字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日はストレングス・ファインダー研修の実施。
その他、10kmのランニングでした。



さて、本日のお話です。

先日、「心理的柔軟性」という概念をご紹介いたしました。
今日もそちらに関連する論文のご紹介です。テーマは「ACT」です。

さて、「ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)」とは、心理的柔軟性を高めるアプローチです。
「第3世代の心理療法」とも言われるほど、パワフルな手法として知る人ぞ知る手法となっているようです(私は知りませんでしたが…汗)。

そんな中、この論文では、5000名以上のデータを含むACTに関するメタ分析で、そのプロセスの有効性を示されており、説得力があり、かつ実践的な論文だと感じました。

ということで、早速見てまいりましょう!

それでは、どうぞ。


■今回の論文

・タイトル:Acceptance and commitment therapy: Model, processes and outcomes(受容とコミットメント療法:モデル、プロセス、および成果)
・著者:Steven C. Hayes / Akihiko Masuda
・ジャーナル:Behaviour Research and Therapy、2006年
・所属:ネバダ大学リノ校(University of Nevada, Reno)


■30秒でわかる論文のポイント

・ACTは「思考の内容」を変えるのではなく、思考との「関わり方(文脈)」を変えることで心理的柔軟性を高めるアプローチです。
・伝統的な「認知行動療法(CBT)」が苦手としていた、思考の直接的なコントロールによる「逆説的な悪化」を回避する独自の理論(関係枠理論:RFT)に基づいています。
・5,000名以上のデータを含むメタ分析により、ACTのプロセス(受容や柔軟性)がメンタルヘルスや仕事のパフォーマンスと強く関連することが示されました。
・精神疾患だけでなく、職場のストレス管理、糖尿病の自己管理、禁煙、慢性疼痛など、驚くほど幅広い分野で有効性が実証されています。
・6つのコアプロセス(受容、脱融合、現在、自己、価値、コミット)が相互に作用し、人生の質を向上させることがわかりました。


■ACTの6つのコアプロセス

心理的柔軟性とは”状況に応じて、思考や行動を柔軟に適応させる能力”を指しますが、これを高めるACTは「6つのプロセス」があるとされます。
具体的には以下の通りです。

・⑴受容:内面的な体験をコントロールしようとせず、ありのままに受け入れる。
・⑵認知的脱融合(脱フュージョン):思考を「事実」ではなく、単なる「思考」として一歩引いて眺める 。
・⑶今ここに集中する(マインドフルネス):過去や未来に囚われず、現在の瞬間に非判断的に接触する 。
・⑷観察する自己:思考や感情が流れていく「場」としての自己感覚を養う 。
・⑸価値観:人生において、自分が本当に大切にしたい方向性を明確にする
・⑹コミットメントに基づく行動:選択した価値観に沿った行動を、持続・変化させる 。

「マインドフルネスと受容プロセス(1~4)」と「コミットメントと行動変容プロセス(5~6)」という2つのアプローチとしてまとめられています。
よく知られているマインドフルネスとの違いは、特に「コミットメントと行動変容プロセス」があることです。


■研究の背景と目的
これまでの行動療法は、学習理論に基づいた「第一世代」から、思考の修正を重視する「第二世代(CBT)」へと進化してきました。
しかし、近年の研究では「ネガティブな思考を消そうとすればするほど、かえってその思考に支配される」という矛盾が指摘されています。
本研究の目的は、この難題を解決する「第三の波」の代表格であるACTの理論モデルを提示し、これまでの相関研究、変化プロセス研究、および成果比較研究の証拠を統合的に検討することです。


■研究の方法

本論文は、2005年春時点までのACTおよびその構成要素を直接検証したほぼ全ての既存文献を網羅的にレビューしています 。
・デザイン: 相関研究のメタ分析、構成要素分析(マイクロ研究)、および無作為化比較試験(RCT)のレビューと媒介分析 。
・参加者: 合計5,616名の参加者を含む27の相関研究、および多数の臨床・非臨床サンプル 。
・使用した尺度:
ー受容と行動質問票(AAQ):心理的柔軟性、経験的回避を測定 。
ー自動思考質問票(ATQ-B):思考の信憑性(脱融合)を測定 。
ーその他、BDI(抑うつ)、GHQ(一般健康)、HbA1c(血糖値)など多岐にわたる 。
・分析手法: メタ分析による加重平均効果サイズの算出、およびマッキノン(2003)等の手順に基づく媒介分析 。


■主な結果(わかったこと)

◯わかったこと1:心理的柔軟性は広範なQOLと中程度から強い関連がある
27の研究を統合した結果、心理的柔軟性の測定値(AAQ)と、精神病理、ストレス、疼痛管理、職務遂行能力などのアウトカムとの間に、加重効果サイズ 0.42 という有意な関連が認められました 。
これは、心がしなやかであるほど、健康も仕事の成果も良好であることを示しています 。

◯わかったこと2:ACTは従来の治療法とは異なる「プロセス」で作用する
媒介分析の結果、ACTによる改善は「思考の頻度」が減ることではなく、「思考の信憑性(それを真実として鵜呑みにする度合い)」が下がることで生じることが判明しました 。
一方、伝統的なCBTではこのプロセスは観察されず、ACT独自のメカニズムである可能性が高いことが示唆されました 。

◯わかったこと3:深刻な問題や追跡調査において高い効果を発揮する
積極的な構造化介入と比較した場合、ACTの効果サイズは治療直後(d=0.58)よりも、追跡調査時(d=1.41)に大きくなる傾向が見られました。
これは、ACTで学んだスキルが時間の経過とともに生活の中で統合され、長期的な変化をもたらすことを示唆しています。


■まとめと感想」

「不安を消さなければ」「ネガティブな感情に対処しなければ」と思うほど、心の中のモンスターが大きくなるような、そんな感覚は確かにわかるな…!と思います。
その中で、「受容→脱フュージョン→マインドフルネス→観察する自己」という流れで、感情と自分を切り離すこと。その上で大切にしたいと価値観とコミットをすることで行動に繋げるというのも,実践的である、と感じました。

私も、よく研修登壇をした後、「イマイチだったかも…」と頭の中で、悲観的な自分劇場が始まることがあるのですが、これも「それが事実とは限らず,そう考えている自分がいるだけ(脱フュージョン、観察する自己)」と思うだけで、フラットになれるような気がしました。

5600名もの研究から効果が検証されたとのことも説得力がありますし、もっと探究して、使いこなせるようになりたいものだ、そんなことを思った次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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 【編集後記】
◯今月のランニング:10km


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