配信日時 2026/01/30 17:54

10分間のランチ体操が、健康と活力と職場の人間関係を高める ー産業医科大学産業生態科学研究所の研究ー【カレッジサプリ】

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令和8年1月30日(第4359号)


10分間のランチ体操が、健康と活力と職場の人間関係を高める
ー産業医科大学産業生態科学研究所の研究ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2394字/読了時間5分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、朝から13kmのランニング。

また2件のアポイントと、午後からは立教大学の
ビジネスリーダーシッププログラムの学生の運営スタッフの
チームビルディングで「ストレングス・ファインダー」を活用した
ワークショップに携わらせていただきました。

非常に楽しく、また刺激的な時間でございました。



さて、本日のお話です。

先日、ある人事総務系の方とお話をしているときに、こんなお話を伺いました。

「現在、職場のメンタル不調から復帰した人と一緒に、ランニングをするプロジェクトを立ち上げているんですよ。ちなみに、こうした『職場のみんなで運動することの効果を示した研究』ってあるんですか?」

とのこと。そして、この質問の結論は「はい、めっちゃあります」です。

運動が肉体的な健康度に寄与することは、今や常識になりました。

肉体的なメリットだけでなく、ポジティブ心理学の文脈でも、抑うつへの影響や活力を高める効果仗数多く報告されています。
同時に、仲間と一緒に運動をすることで、人間関係まで良くなるという側面も注目されつつあります。

本日ご紹介する論文は、日本のホワイトカラーを対象に、昼休みのわずか10分間の運動が、身体・精神、そして職場の人間関係にどのような変化をもたらすかを厳密に検証した研究です。
結果、運動の全方位的なパワフルな効果を示す内容となっています…!

ということで、早速みてまいりましょう!


■今回の論文
タイトル:労働生産性向上や職場の活性化に効果的な運動プログラムの検証
著者:研究代表者 森 晃爾(産業医科大学産業生態科学研究所 教授)


■30秒でわかる論文のポイント

・職場の昼休みに1回10分・週3回の集団運動を10週間実施し、その効果を検証しました。
・運動を行ったグループは、行っていないグループに比べ、「活気」や「友好」といった気分が有意に改善しました。
・驚くべきことに、身体面だけでなく「上司や同僚からの支援」という対人関係の評価も向上しました。
・運動への参加回数が多いほど、活力がより高まるという正の相関も確認されました。


■研究の背景と目的

現代の働く人々にとって、運動不足は深刻な課題です。
多くの先行研究で、余暇の運動や通勤時の活動がメンタルヘルスに良い影響を与えることは示されてきました。

しかし、仕事の合間に集団で行う短時間の運動が、身体特性や職業性ストレス、さらには「労働適応能力」にどう影響するかは十分に明らかにされていませんでした。
本研究の目的は、職場での昼休みを利用した「10分間ランチフィットネス®」というプログラムが、従業員の心身の健康や職場の人間関係、そして仕事のパフォーマンスの基盤となる能力にどのような変化をもたらすかを、介入研究によって検証することでした。


■研究の方法

・デザイン:部署単位での準無作為化比較試験(10週間の介入)。
・参加者:国内企業1社の31部署から募った従業員63名(最終評価完了は59名:運動介入群29名、観察群30名)。
・介入内容(運動群):昼休みに「柔軟運動」「有酸素運動」「レジスタンス運動」を組み合わせた10分間の集団運動を、週3回の頻度で実施。
・使用した尺度:
 ー身体測定:BMI、体脂肪量、血圧、歩数(ライフコーダー使用)。
 ー心理・社会的指標:POMS 2(気分プロフィール)、職業性ストレス簡易調査票。
 ー労働能力:WAI(Work Ability Index:労働適応能力指数)。
・分析手法:Wilcoxon符号付順位検定(群内比較)、Mann-Whitney U検定(群間比較)、および二元配置分散分析(交互作用の確認)。


■主な結果(わかったこと)

◯わかったこと1:気分の劇的なリフレッシュ効果
運動介入群では、10週間後にPOMS 2の「活気-活力」「友好」の得点が有意に上昇し、「疲労-無気力」が減少しました(p < 0.05)。
単に体が動くだけでなく、心のエネルギーが充填され、周囲への親近感が高まったことを示しています。

◯わかったこと2:職場の対人関係(ソーシャルサポート)の向上
これが最も興味深い結果ですが、運動介入群において「上司からの支援」「同僚からの支援」に対する評価が有意に向上しました(p < 0.05)。
一緒に体を動かすという非言語的なコミュニケーションが、職場内の心理的な壁を下げ、サポートし合える関係性を構築した可能性があります。

◯わかったこと3:運動量と活力の正の相関
運動プログラムへの参加回数が多い人ほど、POMS 2の「活気-活力」の改善幅が大きいことが統計的に示されました(r = 0.467, p = 0.011)。
「やればやるほど元気になる」という、シンプルな継続のメリットが裏付けられています。

◯わかったこと4:中〜高強度活動時間の増加
身体活動量の測定結果、運動介入群では中強度および高強度の活動時間が有意に増加しました。
わずか10分の取り組みが、日常生活全体の活動的なリズムを作り出す「きっかけ」になったことが伺えます。



■応用可能性(実践に活かすヒント)

この研究は、企業が大きなコストをかけずに従業員のウェルビーイングを高めるための非常に具体的なヒントを提供しています。

・「10分」という低ハードル設定:着替えや移動を伴う本格的なジム通いではなく、その場ですぐにできる10分間のプログラムであれば、忙しいホワイトカラーでも継続可能です。
・「集団」で行うことの価値:一人で黙々と運動するのではなく、部署単位などチームで行うことで、本来の目的である健康増進に加え、「職場の人間関係の潤滑油」としての副次効果が期待できます。
・ジョブ・クラフティングへの活用:仕事の資源(上司や同僚の支援)を増やすための手段として運動を取り入れるという逆転の発想も有効です。


■まとめと感想

冒頭にお話しした人事の方いわく、

「職場でめちゃくちゃストレスが高かったとき、マラソンを始めた。その理由は、もっと肉体的に負荷をかけたら、職場のストレスなど気にならなくなるんじゃないかと思ったから。
 そして効果てきめんだったので、みんなを巻き込んでやりたい」とおっしゃっていました。
 
ただ、今回の論文が示しているのは、そんなに自分を追い込まなくても、リフレッシュ程度に「10分間の体操」を仲間とやるだけで、有意に精神面や人間関係にポジティブな影響があるということです。

特別な設備がなくても、昼休みのほんの少しの時間を共有するだけで、職場の「活気」が戻り、お互いを助け合う「支援」の土壌が育まれる。
運動不足解消という個人の問題を超えて、組織開発(OD)の観点からも、アクティブレスト(積極的休養)の導入は極めて実践的なアプローチだと言えるでしょう。

「忙しくて運動する暇がない」という職場こそ、まずはこの10分間から始めてみる価値がある。そんな風に確信した次第です。

運動、大事ですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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 【編集後記】
◯今月のランニング:257km


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