---------------------------------------------------------------------------
皆さまの1日を5%元気にするビジネス系メルマガ『カレッジサプリ』
---------------------------------------------------------------------------
令和8年1月27日(第4356号)
何でもかんでも正論で解決できるとは限らない ー技術的課題と適応的課題の違いー
株式会社カレッジ 紀藤康行
---------------------------------------------------------------------------
※このメールは、メールマガジンにご登録頂いた方、名刺交換をさせていただいた方、研修にご参加頂いた方に配信をしております。
ご不要の場合は大変お手数ですが、メール下部の「配信停止はこちら」より解除くださいますようお願い申し上げます。
(本日のお話 2931字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、ストレングス・ファインダー研修の実施でした。
製造業の管理職の皆さまを対象に行いましたが、
思った以上に「強み」という言葉に馴染みがあるようで、嬉しく感じた時間でもありました。
改めて、ご参加くださり、ありがとうございました!
その他、10kmのランニングなど。
*
さて、本日のお話です。
皆様は、「技術的課題と適応的課題」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
大学院でリーダーシップ論の授業で、「技術的課題と適応的課題」という話を初めて聞いたとき、
「めっちゃわかる…なるほどすぎる…!」と膝を打ったことを大いに覚えています。
ちなみに、どういう話かというと
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
技術的課題=「既存の知識や専門家で解決できること」
適応的課題=「当事者の価値観や行動を変えないと解決できないこと」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
という課題のわけ方をするのが大事だよ、という話です。
そこで、今日はこの「技術的課題と適応的課題」が提唱者であるハイフェッツらにより初めて書かれたハーバード・ビジネス・レビューの論文をご紹介いたします。
改めて、両者の違いを認識する良い機会になりましたし、知っておくと、課題の対処方法を見誤らずにすむ、とても重要かつ示唆に富む論文かと思います。
ということで、早速まいりましょう!
■今回の論文
英語タイトル: The Work of Leadership
日本語タイトル: リーダーシップの仕事
掲載誌と出版年: Harvard Business Review, 1997年1月(2001年12月再掲)
著者: ロナルド・A・ハイフェッツ (Ronald A. Heifetz)、ドナルド・L・ローリー (Donald L. Laurie)
所属機関: ハーバード大学ケネディ行政大学院公共リーダーシップセンター(ハイフェッツ)、ローリー・インターナショナル(ローリー)
■リーダーが直面する「適応的課題」とは
現代の企業は、技術革新や市場の変化といった、これまでの成功法則が通用しない「適応的課題」に直面しています。
しかし、多くの経営陣はこれを「技術的な問題(既存の専門知識で解決できる問題)」と誤認し、自ら解決策を提供しようとして失敗します 。
本論文の目的は、リーダーシップを「専門知識の提供」から「困難な現実に向き合い、適応させる活動」へと再定義することだ、と述べました。
人々が自らかつてのやり方を変え、新しい価値観を学ぶためのリーダーの役割とは一体何なのか…?
この疑問に対して、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、スカンジナビア航空(SAS)、KPMGオランダなどの変革の事例を基にして「適応的課題に向き合う『リーダーシップの6つの原則』」を提唱する、という構成になっているのが,、本論文です。
■「技術的課題」と「適応的課題」の違い
さて、本論文ではその始まりに、ある患者の事例が出てきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ブリッチャードという心臓病の患者がいた。
彼の医師はバイパス手術と投薬が、役立つと伝えた(技術的課題)。
しかし同時に、彼が彼自身の生活を変えて、食事を見直し、運動し、リラックスしなければ、健康状態を改善するのは難しい(適応的課題)と述べた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
というような話です。
「技術的課題」で、心臓外科医による対処はできる。
しかし、根本的には、ブリッチャード自身が価値観や態度を変えなければ、この課題に対処することはできない。
つまりこの場合、「適応推的課題」を何とかしないといけない、という話です。
たとえば、「早寝早起きをしよう」として、目覚ましを買った全然起きられない。
あるいは「料理をしよう」として、包丁や高性能オーブンレンジを買ったけれど、やっぱり料理はできない。
あるいは「運動をしよう」と思ってジムに会員登録するけど全然いかなかった、などなど。
これも「適応的課題=当事者の価値観や行動を変えないと解決できないこと」に対して、技術的課題のアプローチで何とかしようとしているので、うまくかない、という例かと思います。
■組織は「適応的課題」だらけ
組織の悩み、特に人間関係の問題のほとんどは「適応的課題」です。しかし、私たちはつい安易な「技術的解決(仕組みやルール)」に逃げてしまい、本質的な解決を遅らせてしまうことが多々あるものです。
以下は、論文で紹介されているわけではないですが、ありがちな例として紹介いたします。
◯例1:部門間の対立(営業 vs 開発)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
技術的なアプローチ(仕組み): 連絡会議の設置、業務フローの明確化、共通ツールを導入する。
適応的なアプローチ(関係性): お互いが守ろうとしている「価値観(売上or品質)」の対話、他責から自責へのマインドセット転換が必要。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ツールを入れても、互いへの敬意がなければ、会議はただの「責任の押し付け合い」に終わってしまうというあるある課題です。
◯例2:上司と部下のコミュニケーション不全
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
技術的なアプローチ(スキル): 日報の義務化、1on1の制度化、伝え方研修を導入する。
適応的なアプローチ(心理): たとえば、上司の権威的態度の是正(心理的安全性の確保)、部下の「指示待ち」からの自律が必要である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
仕組みだけ整えても、信頼関係がなければ、1on1はただの「沈黙の時間」「尋問の時間」にしかなりません……。
◯例3:特定の「困った社員」の存在
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
技術的なアプローチ(権限): 異動、評価制度変更、懲戒規定の適用。
適応的なアプローチ(文化): その振る舞いを黙認してきた「事なかれ主義」の打破、周囲による毅然としたフィードバック。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その人を排除しても、組織に「成果さえ出せば何をしてもいい」という暗黙の了解があれば、また次の「困った人」が現れ、課題が再生産されます。
■『リーダーシップの6つの原則』
そして、本論文では、適応的課題に対応するために、以下の6つの原則が提示されています。
(1)バルコニーに上がる
戦場(現場の渦)に飲み込まれるのではなく、全体像を俯瞰する視点を持つこと。組織のパターンや仕事回避の動きを認識するために不可欠な前提条件です 。
(2)適応的課題を特定する
単なる技術的調整で済む問題か、人々の価値観や行動様式の変化が必要な課題かを見極めること。例えばブリティッシュ・エアウェイズでは「信頼の構築」を本質的課題と特定しました 。
(3)苦痛を調整する
変化に伴うストレスを、人々が耐えられる範囲(保持環境)で維持すること。火力が強すぎれば爆発し、弱すぎれば何も調理できない「圧力鍋」の火加減を管理する役割です 。
(4)規律ある注意力を維持する
責任転嫁や否認といった「仕事回避」に対抗し、対立を生む核心的な課題から人々の目を逸らさないようにすること 。
(5)仕事を従業員に委ねる
リーダーへの依存を断ち切り、現場の人々に問題解決の責任を持たせること。管理職は「統制」ではなく「支援」を学ぶ必要があります 。
(6)下からのリーダーシップの発言を守る
組織の矛盾を突く異端者や内部告発者の声を封じ込めず、新たな思考の種として守ること 。
■まとめと感想
これまでは「適応推的課題」=「組織の人間関係にまつわる問題」と安易に考えていました。
広くは「人々の価値観や行動を変える必要があるもの」という定義であると知りました。なので、個人でいえば、病気の問題もそうだし、運動習慣などもある意味「適応的課題」に当てはまるのですね。
また、こうした適応的課題に向き合うために、「リーダーシップの6つの原則」が紹介されていましたが、本当に、リーダーの責任は大きく、また覚悟が問われるようにも思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。よろしければぜひご覧ください。
https://note.com/courage_sapuri/n/n0e504b1d9f42?app_launch=false
==========================
【編集後記】
◯今月のランニング:228km
【メルマガのご感想について】
メルマガのご感想は、このメールに直接ご返信いただければ紀藤にのみ届きます。
皆さまのメッセージが励みになります!ぜひお気軽にメッセージくださいませ。
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
メルマガ「カレッジサプリ」公式サイト
https://www.courage-sapuri.jp/
★バックナンバーはこちらから読めます★
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
このメールは、メールマガジンにご登録頂いた方、名刺交換をさせていただいた方、
研修にご参加頂いた方に配信をしております。
ご不要の場合はお手数ですが、メール下部の「配信停止はこちら」より解除くださいますようお願い申し上げます。
【メルマガ登録・解除について】
※メールアドレスの変更について
⇒「現在のメールアドレスの配信停止」→「新アドレスでの登録」にて
ご対応お願い申し上げます。
※メルマガのご登録はこちらから
⇒
https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=HSfoIRnMfw
※メルマガの配信停止はこちらから
⇒
https://1lejend.com/stepmail/delf.php?no=HSfoIRnMfw
(もし解除ができない場合は、こちらのメールに解除希望アドレスを送信ください)