配信日時 2026/01/11 08:10

今週の一冊『SQ 生きかたの知能指数』【カレッジサプリ】

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令和8年1月11日(第4340号)


今週の一冊『SQ 生きかたの知能指数』


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2666字/読了時間4分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、書籍の出版に向けた実証研究でもある
「強み発見&実践ワークショップ」のDAY2の実施でした。

約50名の方にご参加いただき、大変有意義な時間でございました。

参加者の方々は「え、みなさん、強みってもう十分じゃないですか…?」という
その道のプロの方ばかりいらっしゃる様子で、私が恐縮しているのですが、

みなさんがとても素敵なばかりで、その場の空気やアウトプットの質に、
たくさんの気づきをいただいた時間でした。

改めて、ご参加いただきました皆様、ありがとうございました!

また、夜は立教大学の教員の皆様との懇親会などでした。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、最近読んだ本の中から一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。

今回取り上げる本は「社会的知性(SQ:Social Intelligence)」という言葉が知られるようになったきっかけの一つでもある本です。
『EQ こころの知能指数』でベストセラーを出したダニエル・ゴールマン博士が、”人間の「社会性」がどういうメカニズムで生まれ、現実社会でどう発揮されているかを科学的に解説した”というのが、本書の内容です。

ということで、早速中身をみてまいりましょう!

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<今週の一冊>
『SQ生きかたの知能指数』

ダニエル ゴールマン (著), 土屋 京子 (翻訳)
https://amzn.asia/d/3eExiYT
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■本書の概要

・本書は、IQ(知能指数)やEQ(心の知能指数)だけでは説明しきれない「人と人の間で発揮される賢さ」をSQ(社会的知性)とし、脳科学・心理学の研究と多数の事例で解き明かす本です。

・人間の脳には他者の感情を読み取り連動する「社会脳」があり、日常の人間関係が感情だけでなく健康(ストレスや免疫など)にも影響し得ると述べます。
 このSQの重要性について、教育・恋愛・ビジネス・戦争・犯罪などの場面で、どのように働くのかを、ゴールマン博士の豊富なエピソードを中心に紹介している本です。
 (海外系の翻訳本の例に漏れず、486ページとなかなかに長い…)

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<目次(全体構成)>
プロローグ:新しくわかってきたこと
第1部:人間はかかわりあって生きている
第2部:壊れたきずな
第3部:「生まれ」も「育ち」しだい
第4部:さまざまな愛のかたち
第5部:健全なつながりを求めて
第6部:より良い社会のために
エピローグ:ほんとうに大切なこと
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■社会的知性(SQ)とは何か

まず、本書の重要なキーワードの「SQ(社会的知性)」について整理されています。ゴールマンは、社会的知性を、14人の心理学教授からなる専門委員会で以下のように定義した、と述べています。

”社会的知性の定義:「他人を理解し、他人がさまざまな社会状況にどう反応するかを理解する能力」”

そして、この社会的知性は、大きく2領域に分けて考えられる、とします。

1つ目が、相手の内的状態を感じ取り読み解く「社会的意識」。2つ目がそれを踏まえて関係の中でうまく働きかける「社会的才覚」です。
以下、本書の言葉を引用して解説します。


(1)社会的意識

社会的意識には、相手の内面を即座に感知する能力から、他者の感情や思考を理解する能力、そして複雑な社会状況を把握する能力まで、広範な人間関係の認識が含まれる。
社会的意識には、次のような能力が含まれる。
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・原共感:他者の感情に寄り添う能力。非言語的な情動の手がかりを読みとる能力。
・情動チューニング:全面的な受容性をもって傾聴する能力。相手に波長を合わせる能力。
・共感的正確性:他者の思考、感情、意図を理解する能力。
・社会的認知能力:社会のしくみを知る能力。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(2)社会的才覚

豊かな人間関係を築くためには、他者の感情や思考や意図を理解する能力だけでは足りない。
社会的意識に社会的才覚が加わってこそ、円滑で有効な相互作用が可能になる。
社会的才覚には、次のような能力が含まれる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・同調性:相互作用を非言語レベルで円滑に処理する能力。
・自己表現力:自分を効果的に説明する能力。
・影響力:社会的相互作用の結果を生み出す能力。
・関心:他者のニーズに心を配り、それに応じて行動する能力。
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■「脳と脳はつながる」=社会脳の発想

その他、興味深かったお話が、「人は他者と関わるとき、脳が相手の脳・身体の状態に影響し、逆に影響を受ける」、という話です。
つまり、「人間関係は“気分”の話に留まらず、身体面にも結果をもたらし得る」というのが本書の重要な主張の一つでした。(ミラーニューロンなど脳科学の事例がたくさんでてきます)
そして、恋愛・家族(愛着など)、教育(子どもの発達や「安全基地」)、医療現場での思いやり、矯正制度、集団間対立(「彼ら」→「我々」)といった領域に、SQの観点を広げています。



■社会的知性の「裏の道」と「表の道」

社会的知性には「裏の道/表の道」があるという表現でした。この言葉は以下のように説明されています。

「裏の道」とは、自動的に、意識の外で、超スピードで働くもの。
「表の道」は、意志による制御を担当し、意識的に何かおこない、比較的遅いスピードで働くもの。

いわゆる行動経済学のダニエル・カーネマン博士が述べた思考システムと近しいように感じます。
(直感的・感情的な「システム1(速い思考)」が「裏の道」。論理的・意識的な「システム2(遅い思考)」が「表の道」に相当するかな、と思いました)

その中で、「社会的知性」を正しく測定するには、認知的・制御的に働く「表の道」を質問形式で読み取る方法と、瞬間的・直感的に微表情を読み取るテストなどで行うのが大事では、とのことでした。

▽▽▽

社会的知性について、認知的・制御的に働く「表の道」を鍛えるには「文学的フィクションを読む」などで、相手の感情の背景や複雑な心理を推察するトレーニングができそうです。
また、瞬間的・直感的に働く「裏の道」(微表情を読み取るなど)の観点も、社会的知性の測定には重要であると述べています。



■まとめと感想

本書の後半でゴールマン博士はこう述べています。

「このモデルは、概念の試案にすぎず、決定的なモデルではない。(中略)社会的知性の研究が進むにつれて、さらに確実で説得力のあるモデルが登場するだろう」

とのこと。「社会的知性」も、その後も研究が進んでいるかと思います。
そうした先人たちの知恵の積み重ねの上に、現在の「社会的知性」がどのように定義されているのか、さらに探求したくなる、そんな一冊でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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 【編集後記】
◯今月のランニング:70km

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