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令和7年12月11日(第4308号)
読書レビュー『ユング心理学入門』ー第3章 個人的無意識と普遍的無意識ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2704字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は書籍の執筆。
年末とのことで、決算の処理などでした。
ここ数日、ワンオペで家事&仕事をしており、
息子の送迎とご飯を作るなどもやっていますが、
これが続くとすると、本当に風邪などはひけないよな…と、感じます。
働くと生活のバランスは、本当に大事だし、
さまざまな事情で働くのが難しくなっている人を考えたりもする今日この頃でした。
*
さて、本日のお話です。
先日から、ゆっくり読み解いている『ユング心理学入門』。
今日もこちらのレビューを進めていきたいと思います。
今日のお話のテーマは「無意識」なる、ちょっと人によっては馴染みがないテーマです。
しかしながら、組織のこと・仕事のことを語るにしても、「人の営み」である以上、「人の心」を深く知ることは有意義なことかとも思います。
性格検査の「MBTI」という名前は有名になり、組織でも使われていますが、それが心理学者ユングのタイプ論が元になっていると知っている人も、意外と少なそう。
ということで、今日はそんなこってりした「ユング心理学」の第3章の無意識をテーマに掘り下げていきたいと思います。
それでは、どうぞ!(これまでのお話はこちら↓↓)
https://note.com/courage_sapuri/m/mb848f8d54d0f
■コンプレックスという無意識
まず、「コンプレックス」という以前取り上げたテーマは、「個人の無意識」が取り扱われていました。
たとえば、本書の例ではこんな話がありました。
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「馬が怖い」という女性がいる。でも、なぜ馬が怖いか、理由がわからない。しかし、過去を遡っていくと、辛い虐待の経験があった。しかし、それを「意識する」のは本当に辛い。生きていくために「無意識」にそれを閉じ込める必要があった。
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しかし、その時に類似する経験がその「トリガー」となることがある。例えば、教師に怒られた経験、犬に噛まれそうになった経験などが、恐怖感や嫌悪として”ひとまとまり”になる。
そして、馬→犬→家庭→つらい過去の経験、と紐づいていき、無意識に封じ込められていた恐怖や嫌悪にアクセスしてしまう。こうした複雑な心的内容のあつまりを「コンプレックス」と呼んだのでした。
そしてこれは「個人的無意識」となります。
■「夢」に現れる普遍的無意識
さて、ここからが第3章のメインテーマであり、めちゃくちゃ深く、そして面白いパートにはいっていきます。
ユングは、この無意識についてこう述べるのです。
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個人的な無意識だけではなく、「全人類に普遍的に存在する無意識」がある
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とのこと(!)。えっ、どういうこと、という話ですが、例えばこういう話が紹介されています。
中2男子の学校恐怖症により登校拒否を示している生徒がいるが、何故生きたくないかがわからない。そこでユングの「夢診断」をカウンセリングで行う。そうすると、以下のような「夢」が現れた。
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【夢の内容】自分の背の高さよりも高いクロ―バーが茂っている中を歩いてゆく。すると、大きい大きい肉の渦があり、それに巻き込まれそうになり、恐ろしくなって目が覚める。
P71より引用
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この夢の意味が、私たちが見ても「?」が浮かぶだけであるように、当人の中2男子の少年も、何も解釈ができなかったそう。しかし、ここで「普遍的無意識」の考えをもってくると、こういう事が考えられるそうです。
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「渦巻」は多くの国の神話に現れており、共通の意味を持つ
→何ものをも吸い込んでしまう深淵としての意味
→また、地なる母の子宮の象徴でありすべてを生み出すもの
→同時に全てを呑み尽くす、死の国への入口 など
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そして、この少年は、こうした「何をも呑み込んでしまう」というイメージが、実は「家で甘やかされているのが嫌だ」とか「父親が精神病であるのが級友に知られるのが嫌だ」など、
”家庭という渦”に巻き込まれながらもどうしようもできないという自分、というものが見つかってきた、とのこと。
こうした、「その個人が直接体験しているわけではないが、人類が共通に持つ普遍的無意識がある」(神話などで現れる「太陽」「渦」「海」などのイメージもそう)とのこと。
いやはや、実に興味深いです。
■「影」という、もう一人の存在
またもう一つ、「なるほど…!」と納得したのが「影」という概念です。
「影」とはこういうものであると語られます。
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「影」:その個人の意識によって生きられなかった反面、その個人が容認しがたいとしている心的内容であり、それは文字通り、そのひとの暗い影の部分をなしている
P87
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たとえば、子どものときから大人しく育てられ、攻撃的なことをしないようにしてきた人がいる。少しでも攻撃的なことは悪いことと退けられてきた。
…その場合、その人の「影」は「非常に攻撃的な性質のもの」になるといいます。
そして、そのギャップがあまりにも大きいと、いわゆる「二重人格」として表出することもあるそう。
本書の例では、イヴ・ホワイト(地味で慎み深く聖女のよう)と、イヴ・ブラック(派手好き、陽気で粗野、男遊びをし小さな魔女のよう)という2つの人格が1名の中に存在した実例が紹介されていました。
■「影」は世代間で継承される?!
または、これは個人内ではなく、世代間でも「影」が継承されることもあるそうな。母親がものすごく規律正しく、家や社会のルールに従って生きてきた。
そうすると、その「自由奔放に生きられなかった影」が、娘や息子に反映される、ということも起こり得るようです。
これを「親の生きていない反面(影)を、子どもが生きる」という例だそうです。
こうしたニ面性的な傾向は、ある程度は持ち合わせるものでもあるかと思いますが、「影」の色が濃くなりすぎると、問題になることもあるという話です。
たとえば、自分の中の「受け入れられない影」を見ると、そうしたものを他者に投影して、相手も受け入れられなくなったり、ということもあるというように。
ゆえに、「影」を認知して、同化していくことは私たちの「心」という視点で見たときの、人生の大きなテーマの一つになるのかもしれません。
(ちなみに、普遍的無意識としての「影」は「悪魔の存在を感じる」みたいなことに相当するそうです)
■まとめと感想
そういえば、私も幼少期から「暴力反対」というタイプでした。
肉体も強くないし、そうしたことに距離を置いていた気がします。
しかし、大学時代にボクシング部に所属したり、大人になっても極真空手やキックボクシングなどを始めたのは、「暴力はよくない」ということに対する「影」を同化させていく体験だったように思えなくもない(わかりませんけど)とも思うのでした。
また、余談ですが、『僕のヒーローアカデミア』というアニメがあり、個人的に好きなのですが(漫画好き)、そこでもラスボス的な死柄木弔なる人物は、やはりこうした「コンプレックス」「影」的なものを感じさせるキャラクターとして描かれているのも、興味深いの思った次第です。
自分の中にある「影」の存在を知る。そんな視点も持てると人の心の奥行きを理解しようとできるのかもしれない、そんなことを思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:65km
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