配信日時 2025/12/09 12:00

「天職」かどうかを測定するための12の質問とは? ーコーリング尺度の紹介ー【カレッジサプリ】

---------------------------------------------------------------------------
皆さまの1日を5%元気にするビジネス系メルマガ『カレッジサプリ』
---------------------------------------------------------------------------
令和7年12月9日(第4306号)


「天職」かどうかを測定するための12の質問とは? ーコーリング尺度の紹介ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
---------------------------------------------------------------------------

※このメールは、メールマガジンにご登録頂いた方、名刺交換をさせていただいた方、研修にご参加頂いた方に配信をしております。
ご不要の場合は大変お手数ですが、メール下部の「配信停止はこちら」より解除くださいますようお願い申し上げます。

(本日のお話 3540字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、2件のアポイント。
ならびに、強み本の執筆などでした。
また、朝から10kmのランニングなど。



さて、本日のお話です。

本日は「天職(Calling)」に関する論文のご紹介です。

今回ご紹介するのは、「天職とは何か?」を定義し、それを科学的に測定する12項目の尺度を開発した研究です。

元々、歴史的・宗教的な文脈では「Calling(コーリング)」は、もともとキリスト教における概念で、『神から与えられた使命・召命』という意味でした。それが、現在はキャリアの文脈で使われるようになり、「自分の意味や情熱を感じる仕事=天職」と呼ぶようになりました。

そんな「天職(Calling)」という言葉ですが、実はこれまで研究の中では定義や測定方法がバラバラで、統一的な理解がなされていませんでした。

この研究では、音楽・芸術・ビジネス・経営という全く異なる領域に属する約1,500人を対象に、最大7年間の縦断調査を実施。開発された尺度の信頼性・妥当性が検証され、さらに天職が時間とともに変化する可能性があることも明らかになった、という研究です。

「今の仕事は天職なのか?」と悩む方や、キャリア支援に携わる方にとって、多くの示唆が詰まった研究です。それでは、詳しく見ていきましょう!

================================
<今回の論文>
タイトル:Calling: The Development of a Scale Measure(コーリング:尺度開発に関する研究)
著者:Shoshana R. Dobrow / Jennifer Tosti-Kharas
ジャーナル:Personnel Psychology(掲載予定)
所属:フォーダム大学/サンフランシスコ州立大学(Fordham University/San Francisco State University)
================================



■30秒でわかる要約

・本研究は、「天職(Calling)」を“ある領域に対する没頭を伴う意味ある情熱”と定義し、その心理的傾向を測定するための12項目の尺度を開発しました。

・音楽、芸術、ビジネス、管理職の領域に属する1,500人を対象とした縦断・横断データの分析により、尺度の信頼性・一貫性が確認され、将来のキャリア満足度やプロ志向を予測する妥当性も実証されました。

・また、天職は時間とともに変化しうる「状態的」側面を持つことが示され、キャリア発達の視点からも大きな意義を持ちます。



<研究の概要>

■研究目的/背景
・「Calling(天職)」という言葉は近年、学術・実務の両方で注目を集めていますが、これまで測定に用いられていた尺度は信頼性や妥当性が十分でなく、定性的な議論にとどまっていました。

・本研究では、あらゆる領域(職業・非職業含む)に適用できる汎用性を持ち、かつ精緻に設計された天職尺度を開発し、複数サンプルに対してその妥当性を検証することを目的としました。

■方法

・フェーズ1:項目作成
 音楽家へのインタビューや文献レビューをもとに48項目を作成 → 専門家レビューを経て12項目に精選。

・フェーズ2〜4:検証・妥当性評価
 4つの異なるサンプル(合計1,500名)で分析を実施。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・サンプル1:音楽プログラム参加の高校生(7年間縦断, N=590)
・サンプル2:芸術サマーキャンプ参加者(6週間縦断, N=98)
・サンプル3:ビジネス学生(N=571)
・サンプル4:フルタイム管理職(N=241)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・分析手法:確認的因子分析(CFA)、α係数による信頼性評価、他概念との相関・区別の分析


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<「コーリング尺度項目」>
斜体で示された部分は、音楽・芸術・ビジネス・管理といった領域固有の記述であり、他の領域で使用するために適応可能です。回答者は全項目に対し7段階回答尺度を使用し、1 =全く同意しない、7 =全く同意する。

1.私は楽器を演奏すること/歌うこと/芸術的専門分野に取り組むこと/ビジネス/マネージャーとして働くことに情熱を注いでいる。
2.何よりも音楽を演奏すること/芸術的専門分野に取り組むこと/ビジネス/マネージャーとしての役割を楽しんでいる。
3.音楽を演奏すること/芸術的専門分野に従事すること/ビジネス/マネージャーとしての活動は、私に計り知れない個人的な満足感を与えてくれる。
4.ミュージシャン/アーティスト/ビジネス/マネージャーになるためなら、全てを犠牲にする。
5.他人に自己紹介する時、真っ先に思い浮かぶのは自分がミュージシャン/アーティスト/ビジネスマン/マネージャーであることだ。
6.たとえ深刻な障害に直面しても、私はミュージシャン/アーティスト/ビジネス/マネージャーであり続けるだろう。
7.プロであれアマチュアであれ、音楽家であること/プロであれアマチュアであれ、アーティストであること/ビジネスに携わる者/マネージャーであることは、常に私の人生の一部であり続けるだろう。
8.アマチュアであれプロであれ/アマチュアであれプロであれ/ビジネス/マネージャーとして、音楽家であることには運命を感じている。
9.音楽/私の芸術的専門分野/ビジネス/マネージャーとしての活動は、常に何らかの形で私の心の中にある。
10.音楽を演奏したり、芸術的専門分野を練習したり、ビジネス活動を行ったり、マネージャーとして活動したりしていない時でさえ、私はよく音楽や芸術的専門分野、ビジネス、マネージャーとしての役割について考えを巡らせている。
11.音楽に関わることで/芸術的専門性に関わることで/ビジネスに関わることで/マネージャーとして活動することでなければ、私の存在ははるかに意味を失うだろう。
12.音楽を演奏すること/芸術的専門分野に従事すること/ビジネスに携わること/マネージャーとして働くことは、私にとって深く感動的で満足感に満ちた経験だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


■主な結果

・尺度の信頼性と一貫性:
 すべてのサンプルでα=.88〜.94の高信頼性を示し、単一因子構造を持つことが確認されました。

・他概念との区別性:
 ワークエンゲイジメントや職務関与といった類似概念とは明確に区別される心理構成概念であることが確認されました。

・キャリア成果との関連:
 天職スコアが高い人は、数年後のキャリア満足度や自己効力感、プロ志向が高い傾向にありました。

・ドメインによる差異:
 音楽・芸術サンプルはビジネス・管理職サンプルより天職スコアが有意に高い傾向がありました。

・宗教性との関係:
 多くのサンプルで宗教性と天職スコアには有意な関連が見られず、天職は宗教を前提としない概念として機能していることが示唆されました。



■結論:研究からわかったこと

・天職は“情熱的な関わり”を測る明確な構成概念であり、他概念と区別可能である。

・長期縦断データにより、天職は短期的には安定しているが、数年単位では変化しうる「状態的要素」も持つ。

・本尺度は、多様な領域・年齢層に適用可能であり、実務的にも高い応用可能性を有する。



■実践に活かすヒント

・キャリアカウンセリング:天職尺度を用いることで、クライアントの「意味の探求」に対する支援が可能になる

・教育現場:学生が自身の進路を考える際に、「何に情熱を感じるか?」という内的動機への気づきを促せる。

・企業人事:従業員の「仕事への意味づけ」を可視化することで、パーパス・マネジメントや動機づけ戦略に活用可能になる



■まとめと感想

「天職は一生変わらないもの」と思われがちですが、本研究が示したのは、「天職とはその時々の人生のステージで変化しうる心理的な情熱」だということでした。

私たちはしばしば「これが天職だ」と思い込んでしまうことがありますが、そうではなく、今この瞬間に強く惹かれているもの、没頭できるものこそが“天職的”な存在なのかもしれません。

そう考えると、「天職を見つける」ことに焦る必要はなく、「今の仕事や活動が、どれだけ自分を熱中させているか?」という問いを持ち続けることの方が、ずっと大切だと感じました。

また、論文に掲載されていた12項目の尺度には、「〇〇に関わっていない人生は、自分の人生ではないように感じる」「〇〇をしているとき、深い意味を感じる」といった問いが並んでおり、自己理解のツールとしても非常に有用だと思います。

キャリアを考えるすべての人にとって、「天職」という言葉を見直すきっかけとなる、非常に意義深い論文でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。よろしければぜひご覧ください。
https://note.com/courage_sapuri/n/n570c894ead7f
==========================

 【編集後記】
◯今月のランニング:62km

【メルマガのご感想について】
メルマガのご感想は、このメールに直接ご返信いただければ紀藤にのみ届きます。
皆さまのメッセージが励みになります!ぜひお気軽にメッセージくださいませ。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
 メルマガ「カレッジサプリ」公式サイト https://www.courage-sapuri.jp/
 ★バックナンバーはこちらから読めます★  https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
このメールは、メールマガジンにご登録頂いた方、名刺交換をさせていただいた方、
研修にご参加頂いた方に配信をしております。
ご不要の場合はお手数ですが、メール下部の「配信停止はこちら」より解除くださいますようお願い申し上げます。

【メルマガ登録・解除について】
※メールアドレスの変更について
 ⇒「現在のメールアドレスの配信停止」→「新アドレスでの登録」にて
   ご対応お願い申し上げます。
※メルマガのご登録はこちらから
 ⇒ https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=HSfoIRnMfw
※メルマガの配信停止はこちらから
 ⇒ https://1lejend.com/stepmail/delf.php?no=HSfoIRnMfw
  (もし解除ができない場合は、こちらのメールに解除希望アドレスを送信ください)