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令和7年12月8日(第4305号)
「チームの役割」を統合したら13の役割になりました
ーライス大学らの研究ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3154字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
本日はチームビルディングや組織開発に関心のある方必見の、「チーム内の役割(Team Roles)」に関する論文レビューをご紹介します。
結論、めちゃくちゃ良い論文で、ぜひ皆さんに知っていただきたい…!と思わず声を上げたくなりました。
組織で仕事をしていると「リーダー」「ムードメーカー」「調整役」など、チーム内で自然と生まれる役割があることに気づきます。
実はこの分野、研究の歴史は長いものの、「チームの役割の定義が多すぎて収拾がつかなくなっているよね問題」を抱えていました。ある研究では、なんと164種類もの役割が乱立していたそうな。
今回ご紹介する論文は、そんな「カオス状態だったチームの役割」研究にメスを入れ、膨大な過去のチームの役割の研究を整理・統合したレビュー論文です。納得感もある実践的な内容となっています。
ということで、早速中身を見てまいりましょう!
■今回の論文
タイトル:Team Roles: A Review and Integration(チームの役割:レビューと統合)
著者:Tripp Driskell / James E. Driskell / C. Shawn Burke / Eduardo Salas
掲載誌・出版年:Small Group Research, 2017年
所属機関:The Florida Maxima Corporation / University of Central Florida / Rice University
■30秒でわかる本論文のポイント
・本論文は、過去70年にわたるチーム役割研究(154種類)を統合し、共通する行動次元を明らかにした研究です。
・「支配性・社交性・タスク志向」という3軸(TRIADモデル)をもとに、階層的クラスター分析を行った結果、「13の役割クラスター」が抽出されました。
・ポジティブなリーダー的役割から、批判的・阻害的な役割までを含め、チーム機能の全体像を説明できる枠組みを提示しています。
■研究の概要
◯研究目的/背景
これまで「チーム役割」は研究者ごとに定義が異なり、整理不能な状態でした(最大154分類)。本研究の目的は、膨大な分類を統合し、行動科学的に整理された共通モデルを導くことでした。研究者らは、「支配性・社交性・タスク志向の3軸(TRIADモデル※)」を設定し、既存データを再分類しました。
※「TRIADモデル」とは?
過去の研究(Carter, Balesら)に基づき、役割を以下3次元で捉えたもの。
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・支配性 (Dominance):支配的・能動的 vs 服従的・受動的
・社交性 (Sociability):友好的・協調的 vs 孤立的・非友好的
・タスク志向 (Task Orientation):課題解決志向 vs 責任回避
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◯研究の方法
・データ: 過去研究で報告された154の役割記述(Gregory et al., 2015より)
・評定: 博士号を持つ専門家2名が3軸で評定(Dominance, Sociability, Task Orientation)しました
・分析: 階層的クラスター分析+2ステップ分析により役割をグループ化しました。
◯主な結果(Results)
分析の結果、154の役割は以下の「13の役割クラスター」に集約されました 。また、これらは3次元空間(TRIADモデル)上にマッピングされました。
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<ポジティブ・タスク遂行に関連する役割>
1.チームリーダー (Team Leader):高いタスク志向、高い支配性。チームを指揮し、組織化する
2.タスクモチベーター (Task Motivator):平均的タスク志向、やや高い支配性。チームを鼓舞し、行動を促す「副官」的な役割
3.コーディネーター (Coordinator):高い社交性、中程度のタスク志向。チーム内外の活動を調整し、連携を促進する
4.チームワークサポーター (Teamwork Support):高いタスク志向、低い支配性。計画を実行し、チームの成功を支援する
5.評価者 (Evaluator):高いタスク志向、低い社交性。分析的で事実や数字に焦点を当てて評価する
6.問題解決者 (Problem Solver):中程度のタスク志向。アイデアを出し、情報を求め、問題を解決する
7.タスク完遂者 (Task Completer):非常に高いタスク志向。詳細や手順にこだわり、責任を持って任務を完了させる
<社会・対人関係に関連する役割>
8.ソーシャル (Social):非常に高い社交性。調和を保ち、対立を仲裁し、精神的支柱となる(ムードメーカー)
9.フォロワー (Follower):やや高い社交性、低い支配性。聞き役となり、協力し、リーダーに従う
<ネガティブ・阻害要因となる役割>
10.権力志向 (Power Seeker):高い支配性、低い社交性。支配的で、他者を軽視し、権力を誇示しようとする
11.批判者 (Critic):低いタスク志向、低い社交性。皮肉屋で、あら探しをし、チームに反対する(ただし悪魔の代弁者として機能する場合もある)
12.アテンション・シーカー (Attention Seeker):低いタスク志向。責任を負わずに注目と同情を集めようとする「かまってちゃん」とも言える
13.ネガティブ (Negative):低いタスク志向、低い社交性、低い支配性。不平を言い、やる気がなく、チームの士気を下げる
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■結論:研究からわかったこと
本研究は、チームの役割を「TRIADモデル」によって3次元空間上で整理し、研究者・実務家が共通言語で議論できる基盤を提供しています。
ポジティブな貢献役割だけでなく、従来軽視されがちだった“ネガティブな機能”も含めた点に新規性があります。
チームバランスを可視化できることで、チーム診断やリーダー育成における理論的フレームとして応用可能です。
<実践に活かすヒント>
・チーム診断ツールとして:TRIADの3軸でチーム構成をマッピングする
・人材配置の最適化:欠けている軸(例:社交性)の補完を考慮
・ネガティブ役割のマネジメント:「批判者」を建設的対話に転換する訓練
・クロストレーニング:他の役割を理解することで適応力を高める
■まとめと感想
この論文を読んで印象的だったのは、「チームには光と影の役割が共存する」という視点でした。
私たちはしばしば“協調的な役割”を理想化しますが、実際には「批判者」や「ネガティブ」の役割を持つ人は、実際に存在します。
そのあたりの現実を、研究から見える化したというのが、納得感もあり、実用的に感じます。
また、ネガティブはチームの士気を下げるというのもあるので、メンバーへのアラートの機能にも使えそうです。
一方、たとえば批評家も「悪魔の代弁者」としての機能がある等視点もあります。
それらを「役割」と定義して、それが生み出すものを考えることで、チームの理想的な状態や、今のチームにさらに必要な要素は何か?などを考える材料にもなると感じました。
(「ネガティブ」の声により、封殺されていた重要な声が明らかになる場合もある)
また、この3軸モデルを使えば「うちのチームはタスク志向が強く、社交性が弱い」といった「チームのバランス診断」が可能になります。
組織開発の現場で、このモデルを一枚のマトリクス図として使うだけでも、かなり有用な対話が生まれるな、と思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【編集後記】
◯今月のランニング:62km
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