配信日時 2025/11/26 00:06

強みの教育を導入するための「5つの柱」とは何か? ―論文からの示唆ー【カレッジサプリ】

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令和7年11月25日(第4291号)


強みの教育を導入するための「5つの柱」とは何か? ―論文からの示唆ー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2544字/読了時間3分)


■こんにちは、紀藤です。

昨日は10kmのランニング。

本日は、強みに関する論文のご紹介です。本日は「ストレングス・レンズ(強みのレンズを通して見る)」ということで、強みを通じた教育のあり方、具体的な方法についてまとめている論文となります。

VIA研究所による、VIAをベースとした教育方法ですが、強みベースの教育を学校現場に導入するための「5つのストランド(柱となる要素)」という実践フレームワークが紹介されているのがポイントです。

これがとても実践的であり、教育に限らず、強み介入の方法の一つのフレームとして、模倣したいものと感じさせられます。

それでは、さっそく中身を見てみましょう!


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<今回の論文>
タイトル:Through the lens of strength: A framework for educating the heart
(強みのレンズを通して:心を教育するための枠組み)
著者:Mark Linkins / Ryan M. Niemiec
ジャーナル:The Journal of Positive Psychology, 2014年
所属:VIA Institute on Character(VIA Institute on Character)、Mayerson Academy(Mayerson Academy)
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■30秒でわかる論文のポイント

・本論文は、ポジティブ心理学の性格の強み(VIA分類)を基盤とし、生徒のウェルビーイングや学業成果を促進するための“強みベース性格教育”の枠組みを提案したものです。

・従来の規範的な性格教育と異なり、「外から教え込む」のではなく「内側にある強みを見つけて育む」ことを目指します。

・学校現場で活用できる5つのストランド(言語・他者理解・自己理解・強みの応用・グループの強み)が示され、各ストランドに対応する具体的な実践(強みフィードバック、強み観察、特徴的強みの活用計画など)が紹介されています。



■研究目的/背景

・これまでの性格教育は、特定の価値観や規範を教え込むアプローチを採用してきました。しかし、これは「望ましい性格を外側から植え付ける」という前提に基づくもので、生徒個人の内的資源を十分に活かせていません。

・これに対し、VIA分類は文化を超えた科学的枠組みとして、人が本来もつ性格の強みを理解し、引き出すための共通言語を提供します。本論文の目的は、このVIAに基づき、学校教育で強みを育むための理論的フレームワークと具体的実践を提示することです。



■方法

本論文は実証研究ではなく、著者らが10年以上にわたり多様な学校現場で実践してきた経験に基づき、強みベース教育の領域を体系化したものです。
提示された枠組みは以下の「5つのストランド(Strand=要素)」で構成されています。

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・ストランド1:性格の強みの言語とレンズを開発する
目的:強みを理解し、語り合うための“共通言語”をつくる
実践例:Foundations of Respect
生徒が尊敬する人物の資質を挙げ、VIAの強みと照合する活動

・ストランド2:他者の強みを認識し、考える
目的:強みを他者の行動から見つける力を育てる
実践例:Secret Strengths-Spotting
秘密の観察パートナーを決め、相手が使った強みを記録する活動

・ストランド3:自分自身の強みを認識し、考える
目的:自己理解・自己肯定感の土台をつくる
実践例:Strengths 360
家族・友人・教師など5名から強みのフィードバックを得る

・ストランド4:強みを練習し、応用する
目的:強みを“使う力”を育てる
実践例:Signature Strengths Across Settings
特徴的な強みを学校内外で意図的に使う計画を立て、振り返る

・ストランド5:グループ(教室・学校)の強みを特定し、祝い、育てる
目的:学級・学校の強み文化を育む
実践例:The Sum of Our Strengths
クラスのVIAデータを集計し、独自の強み文化作りを行う
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■主な結果
強みベースの教育・介入は、以下のようなポジティブな成果と関連していると述べています。

・自律心はIQよりも学業成績の予測力が高い
・好奇心・向学心・希望などは高い成績と関連
・9年生向けプログラムでは、不安・抑うつへの影響はなし、社会的スキル、学校エンゲージメント、学習強みの向上を確認、効果は2年間持続
・Strengths Gym プログラムでは生活満足度の向上を確認
・特徴的強みの活用はウェルビーイング・仕事満足度を高める


■実践に活かすヒント

・学級開きのタイミングで「強みの言語」を作る
・授業内での「強みスポッティング」を習慣化する
・「Strengths 360」 をクラス単位のリフレクションに活用
・学校行事や行動目標を“強み”の観点で設計する
・学校全体で「強みの文化」を育てる取り組みを導入する



■まとめと感想

本論文の「5つのストランド(要素)」が、個人的に推しポイントです。

「フレームワークは著者らの実践経験に基づいており、体系的な実証研究はまだ不足している」とこの論文(2014年)時点では述べられていますが、追随する研究で、効果は述べられています。
またこの方法が「強み介入の王道」を示していると感じます。

特に「Strength360」や「他者の強みを見つける」などは、子どもだけではなく大人にも当てはまるのではないかな、と思いました。
一方、今回VIAが「心の教育」のようなものに分類されるものなのだな、とも思います。

そういう意味ではVIAだけでは、やはり「組織文脈で求められる強み」は網羅は仕切れらないのかもな、とも思うなど、ツールの限界なども考えたりした次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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 【編集後記】
◯今月のランニング:226km

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