配信日時 2025/10/24 12:34

かけているメガネが違えば、気になるところもやっぱり違う ーワールドカフェからの気付きー【カレッジサプリ】

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令和7年10月24日(第4240号)


かけているメガネが違えば、気になるところもやっぱり違うーワールドカフェからの気付きー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2704字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、午後からクライアント企業様で「リーダーシップ」をテーマに、対話型のワークショップでした。

ある本をテーマに、対話形式で「印象に残ったこと」「学んだこと」「活かしたいと思ったこと」といった経験学習的なサイクルで意見交換をしていく、という内容ですが、実に面白かったです。

⋯というのも、「同じ本を呼んで対話をしても、見ているところが人それぞれぜんぜん違うから」です。ある人は引っかかるけれども、他の人は「そんなとこあったっけ?」となったり。こうした視点の違いと、そうは言っても全体としての「共通した学び」などが得られて、非常に豊かな時間だと感じたのでした。

ということで、今日はそのお話を少しお伝えしてみたいと思います。

それでは、どうぞ!



■「ワールドカフェ」という対話方法

「ワールドカフェ」とは、組織開発の方法の1つです。

4〜5人くらいのグループになり、机の上に模造紙を広げ、コーヒーやお菓子を囲みながら、まるでカフェのように対話をしていく手法です。話した内容をどんどん模造紙に記録していき、次のラウンドでは1人だけが残り、残りの人たちは別のテーブルに移動します。そしてまた新しい対話を深め、最終ラウンドでは旅立っていった人たちが元の場所に戻り、学びを共有します。

まるでミツバチが花粉を運んで戻ってくるように、短い時間でその場全体の意見を交差・融合させることができる面白い対話方法です。

実際にやっていただいた方の声としては、「さまざまな視点があることを知れた」「この対話の方法自体が生産的で面白い」といった感想も多く、私もとても好きな方法の一つ。皆の視点を共有したり拡張したり、共通言語をつくっていきたいときによく用いています。



■「リーダーシップ本」でワールドカフェをやってみました

今回は、リーダーシップをテーマにした研修ということで、書籍『リーダーシップに出会う瞬間』を題材にワールドカフェで話し合いました。

この『リーダーシップに出会う瞬間』は、成人発達理論に基づくリーダーシップ論を扱っている本です。組織行動のメインストリームで語られるリーダーシップ論とは異なるアプローチですが、実証研究をもとに人間の発達とリーダーシップの相関を描いた理論を元にしています。

本書の物語の舞台は、日本の伝統的な大企業と思われる職場。そこで働く30代の女性係長が、リーダーシップ(=他者への影響力)と向き合いながら、自分自身を発達させていく旅路が描かれます。

課長昇進の打診を受け、そこから起こる職場のトラブルと向き合い、内省と葛藤を重ねる。その過程で出会うメンター的な先輩や夫、同僚などの支援を通じて、新しい認知を獲得し、自分自身が変容していく――そんな物語です。

フィクションでありながらも、リアルな職場感とドラマ的な面白さのバランスが絶妙で、あっという間に読めて学びが深い、私の大好きな一冊です。

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『リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセス』
有冬 典子 (著), 加藤 洋平 (その他)
https://amzn.asia/d/4TV1JNg
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研修内では、成人発達理論を基盤にしたアセスメント(※リーダーシップ・サークル・プロファイル:LCP)とも相性が良いのもよいです。

※私はこのアセスメントを扱う資格を保持していますが、自分自身の影響力を見つめるうえで非常に協力なツールです。セルフアセスメントのみであれば無料で受けられるので、興味のある方はぜひ試してみてください(360度版は有料です)。

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リーダーシップ・サークル・プロフィール 360°リーダーシップ・アセスメント
https://leadershipcircle.com/ja/
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■『リーダーシップに出会う瞬間』で印象に残ったキーワード

今回の対話の中で、特に印象に残ったキーワードをいくつか記録しておきたいと思います。
私自身が印象に残った言葉が中心ですが、面白い表現で、「釣り針の返しがついたことば」のごとく心に残ります。

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● エゴリーダー
保身が起点となっており、自分の影響力に無自覚・無責任である。

● コアリーダー
自分の「願い」に立脚する。エゴ的なエネルギーを出発点にしつつも、他者の視点を持ち、自分の影響力に自覚的で責任を持っている点がエゴリーダーとの違いである。

● 遠慮は社会の迷惑である
「自分の価値はない」と言って発言を控えることは、対話を止めてしまう行為。間違っていても、独りよがりでも、考察不足でもよい。投げかけることで“ゆらぎ”が生まれ、気づきが起こる。自分が持つ豊かさに焦点を当て、それを出していくことが大切である。

● サイレントマジョリティ
意見を言わず静観していることは、その場に「イエス」と言っているのと同じ。何も言わない人たちがマジョリティになると、それ自体が意思決定に影響を与える。一人がモヤモヤを口に出すことで、同調する人が現れ“スマートマジョリティ”が生まれる。

● 正義のラッピング
「べき」「当然だ」といった断定的な言葉で相手を追い込み、コントロールする人。正論という“正義の包装紙”で包みながらも、内側には保身や私欲が透けて見える。

● 現実の捉え方が雑
起きてもいないことを想像して悩み、「一人ドラマ」を作ってしまう。
現実だと思っている9割は自分の解釈であり、事実は1割にすぎない。
「多分」「きっと」などの推測語が出てきたら、自分のドラマが始まっているサイン。

● 自己犠牲の排気ガス
「自分が我慢すれば丸く収まる」と思うことの根っこは保身である。
この行動を繰り返すとストレスが溜まり、次の3つの形で排出される。
1.弱い者や身近な人への八つ当たり
2.過剰な飲食や買い込み(社会資源の浪費)
3.自分の体や心を壊すこと
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

自分が印象に残った箇所と、他者が印象に残った箇所の違いもまた興味深く、非常に豊かな時間でした。(運営側でしたが、混ざって話してしまいました)



■まとめと感想

改めてこの本は何度読んでも、新しい気づきが得られます。

自分では気づけなかった言葉が刺さったり、以前は通り過ぎていた表現に新たな意味を感じたり。そうした“読み返すたびに深まる本”だと改めて思いました。

同時に今回ご一緒させていただいた参加者の皆さまが、非常に知的で、本の内容で「あのページに書いてあったこの言葉だけど」とかなり詳しく記憶していたり、あるいは「コアリーダーとエゴリーダーの違いを、どう言葉にすればよいのかが難しい」などの考察をされているのも、刺激的でした。

そして何より、同じ会社で、同じ本を読んでも、これだけ意見が違うというのは、ものすごく面白いことでした。その人の考え方、価値観、出会った人、過去の経験⋯そうした様々なものが、「ものの見方(=メガネ)」を形成しています。

そのメガネが違うという事実を、一つのテーマで話すからこそわかるのが、こうした手法の魅力の一つだとも思った次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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 【編集後記】
◯今月のランニング:194km

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