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令和7年10月21日(第4237号)
臨床心理士の方と「人の心」と「働くこと」について語ってみた
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2886字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、ある事業部全員を対象とした
強み(ストレングス・ファインダー)研修の実施でした。
いつもながら、時間ギリギリになってしまいましたが、
ご参加いただきました皆様の感想から、
有意義な時間になっていたように思われて、安心いたしました。
もっともっと良い介入ができるよう、尽力したいと思った次第。
(改めてご参加いただきました皆様、ありがとうございました!)
*
さて、本日のお話です。
先日、大学院の仲間と、臨床心理士を専門としながら組織研究なども行っている、
少し珍しいキャリアを持つ方とお食事をする機会がありました。
「人の心」を専門に扱っている臨床心理士。スタートアップで資本主義のど真ん中にいる大学院の仲間。
そして、コーチとして組織の支援に携わる自分。その3人で、最近の企業の中におけるコーチングやカウンセリングの役割等、普段考えないけれども大事なテーマについて話し、視点が広がるとても贅沢な時間でした。
今日はそこで感じたことを、少し言葉にしてみたいと思います。つらつらと綴る形となりますが、よろしければお付き合いいただければ幸いです。
それでは、どうぞ!
■「心の非常事態」を扱う臨床心理士
臨床心理士という言葉を知っていても、なかなか普段出会う機会は少ないかもしれません。いわゆる「カウンセラー」として知られている職業かと。
ちなみに、「現代におけるカウンセラーの公的な資格を持つのが臨床心理士と公認心理師」となります。臨床心理士は1988年にスタートした文科省認可の法人が認定している民間資格、公認心理師は2017年にできた国家資格です。(このあたりは複雑なので、専門的な説明は、東畑開人さんの『カウンセリングとは何か 変化すること』をお読み下さい)
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『カウンセリングとは何か 変化するということ』
東畑開人
https://amzn.asia/d/ggncPTJ
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いずれにせよ、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の「こころ」の問題にアプローチする“心の専門家”が臨床心理士であり公認心理師であるようです。
カウンセラーをする人は、どちらの資格も持っているとのこと。
上述の『カウンセリングとは何か』によると、「心の非常事態」を扱うのがカウンセラーです(一方で、精神科医は薬を用いて心の問題にアプローチすることもある)。
■臨床心理士は「許容度」が大きい説
さて、先日お話をした臨床心理士の方は、現在、組織サーベイなどの開発・研究にも携わっている、稀有なキャリアの持ち主です。
「人の心」への尋常ならざる好奇心を持ち、さまざまな臨床経験を経て、心が想像を絶する非常事態にある人を何人も見て、数多のケースを見てきたそうです。学会でも論文発表などもしてそう。
「心の非常事態」が続いていると、働くこともままならないことも、少なくないそうです。
そうした視点からみると、ある意味「働けている」というだけで、“正常の範囲内”に見える、とも言える。
たとえば、一般的には想像できないような心の状態にある人を日常的に見ていると「人の心の理解度」──言い換えれば“さまざまな状況にある人への許容度”が高く、それを受け入れる力が高い。
そして、それは時に、非常にハードな仕事です。
そうした高度な専門職でありながら、その存在は多くの人に知られていない。
能力が高いにもかかわらず、待遇として必ずしも良いとは言えない現実⋯。
こうした貴重な存在が、100%活用されていないのがもったいないように思う、そんな話が印象的でした。
■企業におけるコーチングとカウンセリングの役割
加えて話はわかれますが、「企業におけるコーチングとカウンセリングの関係」に移りました。
現在の企業では、カウンセリングは労務系、コーチングは人材開発系と、明確に分かれているように見えます。
「カウンセリング」は、メンタルヘルス上のトラブルがあった人に対応するものと捉えられがちかもしれません。
今でこそ、誰にでもなりうるものという理解は進んできたものの、場合によっては、何かうっすらしたレッテルが貼られる可能性も感じなくもない。そんな「距離の遠さ」があります。
一方、「コーチング」は、心身ともにヘルシーである状態の人を前提に、組織の期待役割を含め、その人自身の目指す姿に向けた成長を支援するように用いられます。
これはこれで”一部の成長志向の人のためのもの”という「距離の遠さ」が、また別でありそう。
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・マイナスをゼロにするカウンセリング。
・ゼロ~をさらにプラスに引き上げるコーチング。
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「生産性」「エンゲージメント」の名のもとに、前に進み続けることをよしとしているけれども、
「人間の心の動き」をみたときに、両者に分断があるのかもしれません。
でも、実は同じ人間でも地続きで、「人が成長する上で、一旦下がる時期も必要」だったりします。
タフなアサインメントを受けたとき、一時的に心が“風邪をひく”ような状態になることもある。
人の発達とは、常に線的に上がっていくものではなく、山を登るように上がったり下がったりを繰り返していくものかもしれません。
そうした時期を、「常にヘルシーであること」を前提にしてコーチングだけでカバーしようとするのも違う気もします。
そして、様々なケースに対応すべく、カウンセリング、コーチング、コーチングの中でもそれぞれの流派と分化してきた歴史はわかるものの、それを統合して考えるのが、今求められていることなのかもしれない…そんな話で盛り上がったのでした。
■「人の心」を深く知ることのすごさ
個人的にもっとも印象に残ったのは、臨床心理士の方の「人の心が想像絶する状況になっているのを見ていると、あらゆるものが普通に見える」というお話でした。
たとえば、自分が多忙で大変な状況にあっても、心の“果ての果て”を見た経験があると、逆に自分の今を冷静に見つめられる。
大変な状況も、好奇心をもって観察できる、いわば「自分を題材にしたフィールドワークのように感じられる」という話が、とても印象的でした。(もちろん、そこに至るまでには長い旅路があったそうですが)
人の心の痛みは、専門家でない私には計り知れません。
けれど、「何をもって“痛い”とするか」という基準値が自分の中で書き換わると確かに、いろんなことが少し楽に感じられるのかもしれません。ある意味、悟りの境地にも近いように感じてしまいました。
■まとめ
人の心を扱いつつ、組織サーベイの開発にも携わる臨床心理士の方との対話を通して、
「心の専門家」がもっと活躍できる場所が社会にはまだまだあるのではないか──素人ながらそんな思いを強くした次第です。
また臨床心理士の方とお話をしていると、「自分の心の深いところも見せても大丈夫そうだ」と感じるような、支える器の大きさを感じていました。
たしかに、自分の状況に応じて、もっと柔軟にサポートがもらえたら、働くという一つの旅路を、安心して、楽しみながら進めるのかもしれない、そんなことを思った次第です。
自分の領域に閉じてしまうと、視野はどうしても近視眼的になります。
だからこそ、異なる視点を持つ人と話すことの価値を、改めて感じた時間でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【編集後記】
◯今月のランニング:168km
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