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令和7年10月6日(第4241号)
「あいづち」は関心や賞賛を感じさせ、発想を引き出す効果がある ー論文レビューー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2056字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
この週末は、長野に移住をした友人の新居に
家族で訪問をしておりました。
農地と薪ストーブつきの広い家に、
我が家の狭さを思い浮かべながら「いいなあ…」と
真面目に広々した場所への引っ越しを考え始めた今日このごろです。
また、7kmのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
本日は論文のご紹介です。「あいづち」に焦点を当てた、興味深い論文をご紹介したいと思います。
我々のコミュニケーションを成り立たせる、そして最も頻繁に用いられる手段の一つである「あいづち」なるものが、一体どのような影響を持つのか?
このことを分析した論文として、興味深いものが本日ご紹介の論文でございます。ということで、中身を見てまいりましょう!
<本日ご紹介の論文>
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・タイトル:Effects of the type of backchannel utterances in idea-generation|(発想に及ぼすあいづちの種類の効果)
・掲載誌名・出版年|心理学研究(The Japanese Journal of Psychology), 2019年
・著者名:Machiko Sannomiya, Yosuke Yamaguchi
・所属:大阪大学大学院人間科学研究科
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■本論文の概要
本研究では、あいづちの種類(肯定的・中立的・非肯定的)が発想に与える効果を検討しています。
結果として、
⑴ 肯定的あいづちは予想課題においてアイデア生成を有意に促進し、
⑵ その他の従属変数(発話時間、動機づけ、聞き手に対する認知)に関しても、両課題で肯定的あいづちが効果的であったことが示されました。
これらから、肯定的あいづちは発想促進に有効であることが示唆され、あいづちの効果には動機づけの経路と認知的促進の経路の2通りが存在する可能性が示されています。
■論文の背景
従来の発想支援は、ブレインストーミングやKJ法などの「技法やツール」に頼るものが多いものでした。
一方で、発話交代やあいづちなど、対人コミュニケーションの在り方が発想に影響を与えることも報告されていました。特に肯定的なあいづちは、発話を促進するだけでなく、発想をも促す効果があるとされてきたということ
しかし、あいづちの「種類」に着目し、その影響を具体的に検証した研究は不足していた、という背景があります。私たちが何気なく発する「うん」や「へえ」といった一言一言が、発想のプロセスにどのように作用するのか。これを調べようということが、本論文の背景となっています。
■研究の方法
実験計画は、あいづちの種類(肯定・中立・非肯定)と課題の種類(予想・解決)を組み合わせたデザインで行われました。
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・対象:女子大学生30名
・実験課題:以下の2点で
1.予想課題:「日本社会の高齢化が進むとどうなるか」
2・解決課題:「日本のゴミ問題を解決するにはどうすればよいか」
・「あいづちの種類」の操作
・肯定的:「うんうん」「それいいなあ」など
・中立的:「うん」
・非肯定的:「ふーん」「うーん」など
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ちなみに研究の興味深いところですが、ノンバーバル(非言語的)な要素も含めてあいづちの打ち方を詳細にトレーニングした上で臨んでいます。
たとえば、中立的なあいづちを半数にする、またそれが不自然にならないようにするなど、あいづちの「質」を統制することに細心の注意を払っています。これは研究の設計として興味深いところでした
■結果わかったこと
さて、ではそれらの結果がどのような影響を与えたのでしょうか?
この結果は、私たちが日頃の経験から感じていることと、ある程度一致するものでした。以下ポイントをまとめます。
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・発話時間:
肯定的あいづち条件で最も長く(予想課題 M=226.9秒)、非肯定条件で最も短くなりました(予想課題 M=140.8秒)。
・発想量(アイデア数):
肯定 > 中立 > 非肯定の順で、特に予想課題で顕著な差が見られました。
・聞き手への認知(関心・同意・賞賛):
肯定 > 中立 > 非肯定の順で、課題によらず有意差がありました。
・考える意欲(動機づけ):
肯定・中立 > 非肯定の順で、課題によらず差が見られました。
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あいづちの頻度(文字数/回)には差がなかったため、回数ではなく、あいづちの「種類=質」が影響を与えていることがわかります。
■まとめ:「肯定的あいづち」の効果
この結果から、肯定的あいづちが、話し手である被験者に聞き手の関心や同意、賞賛を認知しやすくさせ、これが動機づけや発話行動を高めた、ということが示唆されます。そして、この一連の流れが、特に自由度の高い予想課題ではアイデア数の増加にも寄与した、と考えられています。
聞き側のスタンス、つまり、あいづちの「質」が、相手の発想や動機づけにまで深く関わること。これは、普段、研修やミーティングの場づくりに関わるものにとっても、管理職の作法としても、あるいは家庭内のコミュニケーションのマナー(?)としても、傾聴の姿勢が「介入効果」を持つということを、改めて教えてくれるものだな、と思いました。
こうした実践に繋がる研究というのは、とても面白いなと思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【編集後記】
◯今月のランニング:13km
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