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令和7年9月27日(第4232号)
デンマークで「SDGs」が市民に広がっている2つの理由
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2956字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
デンマークにきて、3日目の話について書いてみたいと思います。
この日は「ロラン島」という場所に来ました。ここは、風力発電やゴミ焼却による発電などを通じて自然エネルギーを活用し、消費電力の8倍もの電力を地域で生み出し、持続可能な暮らしを実現しているシンボル的な島です。
この場所では、気候変動や自然エネルギーや資源の再利用など、SDGsに関わる教育の場所があるのですが、それらの象徴的な場所「気候ビジュアルセンター」「エネルギー村」なる場所に訪問しました。
今日は、そこで感じた学びを皆様に共有したいと思います。
それでは、どうぞ!
■デンマークのエネルギー事情
まず、デンマークの国全体のエネルギー事情について述べてみたいと思います。以下、主なポイントです。
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(1) 「風力発電大国」である
- 電力の約55〜60%が風力発電由来(2023年時点)
- 世界トップクラスの比率
(2)「地域暖房」が広がる
- 国全体の約65%の家庭が地域暖房ネットワークに接続
- 都市部だけでなく地方の小さな町にも普及
(3)「エネルギー政策」が明確である
- 2030年までに温室効果ガスを70%削減
- 2050年までにカーボンニュートラルを目標
- 国を挙げて「再エネ+効率化」を推進
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実際に訪れてみると、風力発電の風車が様々な場所で見られますし、また地域暖房の象徴的な「ラジエーター」なる暖房機器もいたるところにあります。
■最先端の「ロラン島」のエネルギー事情
そんなデンマークの中でも特に、ロラン島は「最先端かつ実験的にエネルギーへの取り組みを徹底している地域」として位置づけられています。ロラン島の特徴は以下の通り。
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(1)電力自給率が異常に高い
- 必要量の約8倍を風力で生み出し、電力輸出地域になっている
(2)市民教育・合意形成に力を入れている
- 気候センターや学校教育に組み込み、世代を超えて学ぶ仕組みがある
(3)国の「実験場」的役割
- 「グリーン実証地域」として洋上風力・水素・バイオガスなど新技術を先行導入し、 小さな島が「世界のモデル」として国際的に注目されている
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とのことです。村全体がSDGsのシンボル的な取り組みをしており、非常に興味深いものでした。
画像
ロラン島の朝。大変美しいです
■ロラン島のエネルギー教育とは
さて、そんな中での特徴の一つが「エネルギー教育」です。
今回は、一般に解放されている2つの場所を巡りました。
◎⑴ 気候ビジュアルセンター
世界の気候変動を「見える化」して学べる施設です。世界中には天候、温度、海流、風、化学物質の広がりなどを測定する機器(人工衛星、風車、雨量測定など)が広がっています。
それらは、NOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration :米国海洋大気庁)というアメリカ商務省の下にある連邦機関に集約されて、ビジュアルデータとしてアクセスできるようになっています。これにより、風量・雨量・台風・気温上昇などのデータを体験的に理解できます。
たとえば、
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・熱帯地域が北上し、現在は「東京まで熱帯エリア」になっている
・北極の温暖化によりジェット気流が弱まり、蛇行することで地球の気流が変化。その結果、日本に長雨や猛暑が居座ることになっている
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などの情報が地球全体の相互作用として見える化されると「気候変動は我々の生活に間違いなく影響してきている」こと、「地球はシステムとして繋がっている」ということが実感できました。
ちょっと意味は違うかもしれませんが、バタフライエフェクト(=地球の裏側で蝶が羽ばたくと、こちらで嵐が起こる)的なつながりの連鎖を感じさせられました。
◎⑵ エネルギー村「ホルステンデ」
次に訪れたのはロラン島北部の小さな村 Horslunde(ホルスルンデ)です。
2007年に「エネルギー村」に選ばれたとのこと。
ここでは、風力や太陽光に加え、将来的な熱供給のためのヒートポンプや蓄熱設備の実証が進められています。「REEL(RÉn Energi Lolland)=純粋なエネルギーのロラン島」という標語で、持続可能エネルギー・食料生産・観光を組み合わせたまちづくりを推進しています。
色んな取り組みがありますが、特に印象的だったのは「地域暖房」という考え方です。
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・デンマークは寒冷地のため冷房は不要だが暖房は必須
↓
・日本のように各部屋に室外機を設置するのは非効率
↓
・大きな熱源から地域全体にお湯を巡らせる仕組みを導入
↓
・断熱材を使って熱を逃がさず、効率を最大化
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具体的には、昼間に太陽光で得た熱を蓄熱設備(塩を活用)に貯めます。断熱材を通じたパイプを地域に巡らせて、それを必要なときにお湯として供給。各家庭のラジエーターを通じて必要な分だけ暖房として使える仕組みとなっています。
(日本では東京の麻布や丸の内など、一部の再開発エリアでも導入が始まっています)
◎「日本はどうすればよいか?」の1つの答え
ちなみに、ロラン島の市議会議員の方をはじめ、お話を聞く機会がありましたが「日本はどうすればいいか?」についても述べられていました。その一つとして印象に残った話が
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・「断熱材」の利用を促進し、エネルギーを効率的に使えるようにする
・ダムの上に太陽光パネルを設置する(水の蒸発、藻の発生を防ぐことで効率的にダムを活用できる)
・「潮力発電」など潮のエネルギーを活用する研究開発を進めて実証する
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などがありました。調べてみると、もちろん研究や実践はされているのですが、一般には知られていません。よって、こうしたものを市町村レベルで、ロラン島のようなシンボル的な街で進めることができると、面白そうだな、と感じました。
■まとめ:「教育」と「仕組み」が大事
SDGsや環境問題などは、日本でも耳にして久しいですが、これらを広げるための2つの要素、『教育』と『仕組み』が整っているのがロラン島だと感じました。
まず1つ目が、先述したような『教育』で、「なぜゴミを分別するのか」「なぜ電気を消すのか」などの理由を感じさせています。
そして2つ目が、それだけではなく『仕組み』でそれらの学びを実践につなげる工夫もされています。たとえば、
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・スーパーでペットボトルを返却すると1本あたり10〜20円(結構いい金額!)が返ってくる仕組みがある
・商品バーコードにもゴミ分別情報が組み込まれ、住民がアプリでアクセスできる(経済とビジネスともつなげている)
・風力発電で風車を立てる時に、地域の人に「風力株」として20%分を優先的に渡す仕組みがある(風力発電の誘致に有効)
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ここまで徹底すると、環境問題への取り組みは「するか/しないか」ではなく「自然とやっていくもの」というのが組み込まれていくと感じました。
いずれにせよ、「ゴミ焼却エネルギーまで含めて再利用し、循環の仕組みを地域全体で構築している」ことは興味深いものでした。
自戒を込めてですが、資源が少ない日本にとって、エネルギーや食料自給率は、将来を考えるとかなり不安です。だからこそ、大切なテーマだとも思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:265km
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