配信日時 2025/09/24 07:42

デンマークの中の国「クリスチャニア」は、シェアド・リーダーシップが溢れていた【カレッジサプリ】

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令和7年9月24日(第4229号)


デンマークの中の国「クリスチャニア」は、シェアド・リーダーシップが溢れていた


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話  2875字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日はデンマークにやってきました。
また、いつものごとく2kmのランニング。



さて、本日も引き続きヨーロッパの学びの旅について、
共有をさせていただければと思います。

デンマークに行ったことがあるという知人に、旅の前に「行ったほうがいいおすすめスポットはどこですか?」と聞く機会がありました。すると「クリスチャニアでしょ!」とのこと。

そんな中、たまたまデンマークのスタディツアーの初日の訪問地が、その「クリスチャニア」でした。クリスチャニアとは、独自のルールで自治をしている600人ほどのコミュニティで、デンマークの国の中の国、ともいわれています。

そして、その住人の方にお話を伺いながら、見学をする中で、様々な発見がありました。今日はそのお話についてお伝えしたいと思います。

それでは早速まいりましょう!



■「クリスチャニア自由都市」とは何か?

「フリータウン・クリスチャニア(Fristaden Christiania / Freetown Christiania)」は1971年に誕生した、コペンハーゲンの自治的な共同体です。

17世紀にデンマーク国王クリスチャン4世が築いた都市の名前に由来し、当時「Christianhavn(クリスチャン港)」と呼ばれた軍の敷地を若者やヒッピーが占拠して共同体を作ったことから「Christiania」と名付けられました。

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・面積:約34ヘクタール
・住民:600人ほど
・「国の中の国」のように、自らルールを定めて運営
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コペンハーゲンの中心地から3kmくらいのところにあるエリアです

観光地としても有名で、カラフルな壁画や独特の建築、アートや音楽文化が広がる一方、かつては「グリーンライト地区」と呼ばれる大麻販売エリアがあったことでも知られています。

なぜ、そしてどのようにしてこの場所が出来上がったのか?歴史の流れを簡単にまとめると、以下のようになります。

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・1970〜80年代:自主管理とアートの象徴として発展。国や市との関係で常に合法・違法の間を揺れ動く。
・1990〜2000年代:大麻販売が観光名物となり、治安問題や警察との衝突が頻発する。
・2004年以降:政府が土地を国有化。住民が合法的に購入・借地できる制度を導入し「違法な占拠地」から「半ば合法の共同体」となる。
・現在:アート、音楽、サステナブルな暮らしを重視するコミュニティとして存続し、世界的に「自由都市」として知られる。
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今では、「クリスチャニア」というのが一つのブランドのようにもなっており、黄色い「●●●」のマークが世界共通のクリスチャニアのシンボルとなっているとのこと。



■「クリスチャニア」の実際の様子は?

さて、実際に訪れてみると、「アートに溢れた小さな村」のような場所でした。自動車は走っておらず、皆が大きなかごのついた三輪車のようなもので移動しています。ゴミはなく、キレイです。

小さなDIYで作られたようなカフェ。ホームセンター、食料品店、病院、おみやげ屋もあります。さらには電気・水道・ごみ処理まで、すべてを住民自身で運営しているそう。まさに「自治」です。

画像
ホームセンター的な場所。DIY用品がなんでもあります

規模的なイメージは、日本の古き良き田舎の村を思わせる感じで、「となりのトトロ」の舞台の村くらい。隣の人の顔がわかる距離感です。

600人ほどのコミュニティは、その中でも15のエリアに分かれています。すると1エリア40名程度。まるで1クラスほどの規模で顔の見える関係の中、お互いの役割を発揮しながら暮らしているようでした。

また、住民のうち200人ほどはプロの音楽家や彫刻家。ライブなども安価に楽しめるとのことで、コペンハーゲンの中でも象徴的な文化拠点となっているそうです。静かな自然の中で、自由と責任感を感じる場所なのでした。



■クリスチャニアに住むには?

さて、この場所に住もうとしたら、どうすればよいのでしょうか?もちろん、無法地帯に生まれたキャンプのように、誰もが勝手に住めるわけではありません。…というより、普通の住宅より、住むハードルは数倍高い印象がありました。

まず、入居申込みをします。月刊誌やWEBで募集告知が出されるのですが、人気が高く、先日は1つの空きに85名の応募があったそう。その後、住人全員との面接を経て「全員がOK」を出す必要があるとのこと。

また、入居が決まった際には、私財を共同体にすべて提供します。加えて、住居をアップデートしてもそれを持ち出すことはできません。遺産相続もできず、あくまで共同体に属するものとして扱われます。

画像
観光客も住人もどちらもいます

ゆえに、経済的な安定よりも「今を生き、共同体で支え合い、クリエイティブであることを優先する人々」が集まる場所です。貯金して、見通しを立てて、という暮らしをしたい人には、逆にストレスになるでしょう。

加えて、住民はクリスチャニアにクリスチャニア税として「家賃(約4万円)」を支払っています。これは土地代や、インフラ周りを整備するお金として扱われます。

ちなみに、医療や教育、年金など社会保障はデンマーク国民として利用可能です。子どもは普通の学校にも通えるし、独自の教育にも参加できます。私が訪れたときは、子どもたちが楽しそうにアート教室をしていました。



■クリスチャニアは「シェアド・リーダーシップ」で運営されている?!

さて、クリスチャニアには「リーダー」や「村長」のような存在はいません。意思決定はすべて「対話」で行われるそう。

問題が起これば、対話で解決。
新しい住人を受け入れるかも、対話で決める。
イベントなどポジティブなことは、特に承認なく自由に実行できる。
意見が分かれる事案は集まって話し合う。

対話は効率的ではなく、正直かなり大変らしいです。しかし、めんどくさくても話し合うところに、この場所に根付く民主主義を垣間見ました。

さらに、住人はそれぞれの専門性や独自性をコミュニティに差し出しながら、互いに助け合うことが求められます。

シェアド・リーダーシップの条件とは、「信頼」を土台に、「分化」(=多様性、個人の強み、自己効力感)と「統合」(=目標の共有化、視点の変化)が積み上げられることで形成されると述べられていましたが、まさにその状態が実現されているように思いました。

また「シェアド・リーダーシップ」とは、「誰がリーダーかわからない」と皆が答える状態=「リーダーシップが集中していない」というのが一つの尺度という見方もあり、まさに、シェアド・リーダーシップによって運営されているコミュニティのようにも感じました。



■まとめ:自立と信頼の共同体

クリスチャニアは「自立したプロ集団が、信頼を基盤に暮らす共同体」であることを実感しました。

また、新しいメンバーを受け入れる際に入念に確認するプロセスも、良いコミュニティを維持する上で大切だと痛感しました。合わない人が1人入るだけで苦しくなることは、組織でもよくあることです。組織づくり、シェアド・リーダーシップの事例としても大変学びが多い時間でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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 【編集後記】
◯今月のランニング:248km

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