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令和7年9月15日(第4220号)
シェアド・リーダーシップの効果は本当にあるのか?
ー50の研究 3198のチームを調べたメタ分析からわかったことー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2354字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、家族でお出かけののち、
夜からは大学院のランニング部&懇親会でした。
楽しい時間でございました。
*
さて、本日のお話です。
本日も論文のご紹介をしたいと思います。
先日、「シェアド・リーダーシップに関する代表的な論文」を紹介いたしましたが、本日も更に一歩踏み込みつつ、続けたいと思います。
今日は2014年に発行されたシェアド・リーダーシップのメタ分析の論文です。50の研究(チーム数3,198)をもとに、シェアド・リーダーシップとチームパフォーマンスの関係を調べたという内容です。
シェアド・リーダーシップの概念整理も含めて、ふわっとした理論が一つにまとまってきた感覚のする論文でした。
ということで早速見ていきましょう!
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<本日の論文>
タイトル:A Meta-Analysis of Different Forms of Shared Leadership–Team Performance Relations(さまざまな形式のシェアド・リーダーシップとチームパフォーマンスの関係に関するメタ分析)
出版:Journal of Management, 2014年
著者:Lauren D’Innocenzo(Drexel University)、Michael R. Kukenberger
所属:Drexel University
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■論文のポイント
・シェアド・リーダーシップは従来のヒエラルキー型に代わる形として注目されてきましたが、理論や測定法が多様で、チームパフォーマンスとの関係には一貫性が見られませんでした。
・今回の研究では、50件の研究(チーム数3,198、公開・未公開を含む)から効果量を統合した結果、シェアド・リーダーシップはチームパフォーマンスに有意に正の影響を与えることが示されました。
・特に「ネットワーク密度」や「中央集中度(分散型)」による測定では効果が大きい傾向がありました。
■研究の方法
まず、学術データベースや学会発表論文、博士論文など幅広いソースから研究を収集。最終的に43件の独立した研究から50の効果量を抽出しました。
その上で、ランダム効果モデルを用いて統合分析を実施。各効果量をFisherのZ変換により、異なる研究間のバラつきを統計的に調整して、全体の平均効果を算出したと述べられています。
◎測定アプローチの分類
また、研究間でばらつきがあったのが、どの方法でシェアド・リーダーシップの測定をしているかという方法論でした。その中で、本論文では、以下の3種類に整理しています。
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(1)集約型(Aggregate)
個々のメンバーが他者を「リーダーとして頼りにしているか」を評価し、それを平均化してチーム全体のリーダーシップ度合いとみなす。
例)「チームはどれくらいリーダーシップを共有しているか?」
(2)ネットワーク密度(Network Density)
ソシオメトリック(社会的ネットワーク分析)を用い、誰が誰にリーダーシップを発揮しているかのやり取りをネットワーク化。密度が高いほど「チーム全体にリーダーシップが行き渡っている」と解釈される。
例)「他のメンバーの誰からリーダーシップ的影響を受けているか?」
(3)中央集中度(Centralization / Decentralization)
リーダーシップが一部に集中しているか、それとも分散しているかを数値化。集中度が低いほど分散が進んでおり、よりシェアド・リーダーシップ的な状態。
例)「リーダーシップがどれだけ中央に集中しているか(中心性)」を定量化。集中していないほど、シェアドである。
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◎シェアド・リーダーシップの特徴
また、本論文では、既存研究を整理したうえでシェアド・リーダーシップの定義や特徴も整理をしています。その特徴は以下のようなものです。
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1.発生源:基本的に内部発生だが、外部からの影響もありうる。
2.形式性:非公式な場合が多いが、ローテーション制のように形式的に設定される場合もある。
3.分配の平等性:必ずしも全員に平等でなく、機能や状況によって分配される。
4.時間的動態性:静的ではなく、ライフサイクルに応じて変化する。
5.多様な役割:方向付け、動機付け、支援など、複数の役割がメンバーに分かれる。
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■結果(わかったこと)
さて、これらの研究の結果わかったことをまとめます。
(1)シェアド・リーダーシップはチームパフォーマンスに効果がある
→全体平均効果量:r = .21(有意)でした。
(2)ネットワーク密度型や中央集中型のほうが、より効果が高い
→測定法別の効果量のちがい
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(1)集約型:r = .15(効果は小さい)
(2)ネットワーク密度:r = .35(効果が最大)
(3)中央集中度(分散度):r = .29(適度な分散が高パフォーマンスと関連)
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(3)複雑なタスクほど、効果は低下する
研究間の違いを整理するため、いくつかの要因が調整変数(モデレーター)として検討され、以下のことがわかりました。
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・タスクの複雑性:複雑なタスクほど効果は低下する傾向。
・サンプルの種類:ラボ(実験)サンプルよりも、現場フィールドのサンプルの方が効果は大きい。
・パフォーマンス測定方法:主観評価の方が効果は高めに出やすいが、客観評価とも整合性あり。
・タスクの相互依存性:効果には有意な影響を与えなかった。
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■まとめと感想
ちょうど先日、大学院のランニング部の運営でも「シェアド・リーダーシップでやっていこう!」という話になりました。
そのとき、何となくその言葉の雰囲気からイメージはわかっても、今回の研究で使われていたような3つの測定方法とか、シェアド・リーダーシップの特徴などの考え方を理解すると、運営の方向性を考える上でも、指針になりそうだな、と感じました。
(例えば、「ローテーション型リーダーシップもシェアド・リーダーシップの1つの形になる」とか「中央集中度の低い状態を目指す(=誰かにリーダーシップが集中していない皆が認識する)」みたいな感じでしょうか)
ちょっと強引かもしれませんが、こうして理論と現実が身につくと、やっぱり学びって役に立つなあ、とも感じた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【編集後記】
◯今月のランニング:167km
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