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令和7年9月12日(第4217号)
シェアド・リーダーシップの代表的論文をご紹介します
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2543字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、終日リーダーシップ&マネジメント研修のDAY1でした。
多様な経歴な皆さまとのセッションで、
実に刺激的な1日で、これからの歩みにドキドキ、ワクワクしております。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
その後、夕方から1件のミーティングと、5kmのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
本日は論文のご紹介です。
最近リーダーシップ研修に関わらせていただくことが多いのですが、その中で「シェアドリーダーシップ(共有型リーダーシップ)」についてもお伝えする機会があります。
そんなシェアド・リーダーシップについて引用数が3000件を超える代表的な論文の1つについて、今日はご紹介をしたいと思います。
それでは、どうぞ!
■本日の論文
タイトル:Shared leadership in teams: An investigation of antecedent conditions and performance(チームにおける共有型リーダーシップ:その前提条件とパフォーマンスに関する実証研究)
出版:Academy of Management Journal, Vol. 50, No. 5, 2007, pp. 1217–1234
著者:Jay B. Carson(Southern Methodist University)、Jennifer A. Marrone(Seattle University)
所属:Southern Methodist University
■本論文のポイント
本研究は、シェアド・リーダーシップがどのように発生するか、またそれがチームパフォーマンスに与える影響を59のMBAコンサルティングチームを対象に検証しました。その結果、わかったことが以下の3つでした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑴ 内部チーム環境(共有目的・社会的支援・発言権)と外部コーチングが共有型リーダーシップを促進する
⑵ 共有型リーダーシップはクライアント評価によるチームパフォーマンスを有意に高める。
⑶ 内部環境が弱い場合、外部コーチングが共有型リーダーシップの形成に特に重要である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■研究の背景
さて、本研究の背景ですが、従来のチームリーダーシップ研究は「垂直的リーダーシップ」(vertical leadership:外部の単一リーダーの影響)に偏ってきました。しかし、以下の理由からシェアド・リーダーシップの必要性が高まっています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・複雑で曖昧な業務において、単独のリーダーだけでは不十分(Day, Gronn, & Salas, 2004)
・自律性を求める知識労働者の増加(DeNisi et al., 2003)
・フラットな組織構造と自己管理型チームの普及(Lawler et al., 2001)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■シェアド・リーダーシップとは何か?
ちなみに、シェアド・リーダーシップ(共有型リーダーシップ/Shared Leadership)とは、一人の強いリーダーに頼るのではなく、チームメンバー全員が少しずつリーダーシップを発揮し合う状態を指します。
定義としては、「共有型リーダーシップ」とは複数のチームメンバーに分散されたリーダーシップ影響力のネットワークであり、相互作用による相互影響の密度(density)として捉えられます。
■研究の方法
・サンプルはMBAコンサルティングプログラムの59チーム(合計348名)。
・チームサイズは4~7名(平均 5.93人)、年齢は24〜42歳(平均 29歳)。
・クライアント企業に対して5か月間のプロジェクトを実施し、最終成果物を納品しました。
◎測定項目
1.チーム成果(従属変数)
クライアントが7項目で評価(α = .93)
2.共有型リーダーシップ(独立変数)
メンバー同士の「誰をリーダーとして頼るか」評価 → ネットワーク密度で算出(平均3.16)
3.内部環境
・共有目的 ・社会的支援 ・発言権(10項目、α = .94)
4.外部コーチング
教員の支援的行動(3項目、α = .92)
5.統制変数
チームサイズ・プロジェクト要求度・多様性
■研究の結果
この研究からわかったことを整理します。
◎わかったこと1:内部環境と外部コーチングは共有型リーダーシップを高める
結論:チーム内の雰囲気が良いほど、また外部のリーダーが支援してくれるほど、チームメンバー同士でリーダーシップを分け合う傾向が強まります。
◎わかったこと2:共有型リーダーシップはチーム成果を大きく高める
結論:「全員がリーダーになる」状態のチームは、クライアントから見て成果が非常に高い。つまり共有型リーダーシップは単なる「良い雰囲気」ではなく、実際に外部から見える成果を生み出す力になるのです。
◎わかったこと3:外部コーチングは内部環境が弱いときに特に重要
結論:内部の目的共有や支援体制が弱い場合でも、外部リーダーがサポート的コーチングを行うと共有型リーダーシップが高まる。逆に内部環境が強ければ、外部コーチングはあまり必要ありません。
■まとめ:シェアドリーダーシップを実現するために
シェアドリーダーシップはチーム成果を高め、そのためには“よい内部環境”と“外部の支援的コーチング”が重要です。
特に、内部環境の定義は以下の3つの要素から構成されます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
⑴ 共有目的(Shared Purpose)
全員が目標や方向性を理解し、チーム全体の成功を重視する。
⑵ 社会的支援(Social Support)
メンバー同士が互いに励まし、感情的・心理的な支えを提供する。
⑶ 発言権(Voice)
意見や提案を自由に言える雰囲気があり、異論も歓迎される。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こうしたことを噛み砕いて、石川先生の著書(『シェアド・リーダーシップ』)で書かれていたことを思い出しました。やはりリーダーシップを発揮するためには、お互いの信頼関係や「言える環境」が不可欠であることを、論文を通じて改めて理解した次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:115km
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