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令和7年9月9日(第4215号)
「信念が強い」ってなんだ? ー2種類の信念から”信じる”を読み解くー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2120字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、1件のランチミーティング。
また午後からはコーチング&コンサルティングでした。
夕方は、経営者や人事仲間との食事会兼勉強会など。
その後5kmの帰宅ランニングでした。
*
さて本日のお話です。
本日は、「強み」に関する論文のご紹介をしたいと思います。
以前からずっと気になっていたことがありました。それはストレングスファインダーの強みの元になる「資質」という概念の中に、『信念』という言葉があるのですが、これがどうにもつかみどころがないように感じていた、という話です(マニアックな話ですが…)。
人と話をしていると、しばしば「強い信念」なるものを持っている人がいるなあ、と思います。例えば「絶対に日本の文化をもっと大事にすべきだ!」「曲がったことはしてはならない!」「自分の価値観に反するような行動は絶対にしない」といったように、”誠実さ(言行一致)”よりも、もっと強く、行動の起点となったり、やや強迫的な正義感に似た温度を持つ言葉だと感じています。
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・「信念」とは、そもそも何なのか?
・「信念」が強い人と、そうではない人は何が違うのか?
・宗教的価値観が色濃く出る西洋と、神の存在を明確に持たない日本文化では、「信念の強さ」に違いがあるのか?
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こんなことについて探求をしてみたくなり、『信念』に関する論文を探してみました。すると、あるある…!
その中で、これまでの文献研究を通じて「信念」の概念を整理した論文があったので、今日はこの論文からの学びを共有してみたいと思います。
前置きが長くなりましたが、以下、論文のポイントでございます。
それでは、どうぞ!
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<本日の論文>
タイトル:「Two Concepts of Belief Strength: Epistemic Confidence and Identity Centrality」(信念の「強さ」の二側面:認識的確信とアイデンティティ中心性)
出版:Frontiers in Psychology(Opinion記事),2022年6月29日公開(Volume 13, Article 939949, DOI: 10.3389/fpsyg.2022.939949)
著者:Neil Van Leeuwen(単著)
所属:Department of Philosophy, Neuroscience Institute, Georgia State University, Atlanta, GA, United States
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■信念の2つの種類
「強い信念」という表現が指し得る心理学的特徴が、少なくとも二つ存在します。
⑴ 認識的確信(epistemic confidence)
その信念状態が知識に近いと感じる程度。
(例:トヨタが南アフリカに工場があると「知っている」という信念。これは事実であり揺らがない)
⑵ アイデンティティ中心性(identity centrality)
その信念状態を自己の社会的アイデンティティの一部として経験する程度。
(例:先祖は代々この地域を守り続けてきた、というような信念。確かめようはないが信じている)
論文の中では、ある宗教団体の民族研究において「神の声を聞く」という実践が紹介されていました。その体験には内的な聴覚イメージが伴うそうですが、一方でその民族の中には「神の声が聞こえているのは、実は昼食に食べたブリトーのせいかもしれない」といった冗談が飛び交う場面もあるそうです。(急な糖質上昇で頭がぼーっとする作用だろう、という解釈です)
つまり、何を信じるかは非常に曖昧であり、そのルーツもまた曖昧なのです。「信念」という言葉は強固なイメージを伴いますが、突き詰めて探ると「信念ってなんだ?」となってしまうわけです。
◎なぜ信念を研究しようと思ったのか?研究の背景
ちなみに、本研究の背景として、宗教心理学や関連領域では、Likert型の同意度を「信念の強さ」として測定することが一般的だそうです。
しかし、その「強さ」が「真理・証拠への確信(認識的確信)」なのか、「所属や自己呈示に関わる重要度(アイデンティティ中心性)」なのかが区別されていないことから、この研究が行われたとのことでした。
■信念が形成されるとき、揺らぐときとは?
本論文では、「認識的確信」と「アイデンティティ中心性」の違いを、形成条件・消滅条件・行動出力の3つの次元で比較しています。
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●形成条件
・認識的確信:証拠の認知によって規定される
・アイデンティティ中心性:社会的機会や自発的選択によって形成される
●消滅条件
・認識的確信:反証の認知によって失われる
・アイデンティティ中心性:集団関係や価値観の変化によって失われる
●行動出力
・認識的確信:意思決定や問題解決のための手段的行為を促す
・アイデンティティ中心性:象徴的行為や連帯的行為を導く(例:儀式や共同体の一体感を強める行為)
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要するに、この表は「信念の強さ」を生む二つの軸が、それぞれ異なるメカニズムで形成・変化し、異なる種類の行動を生み出すことを整理した比較表になっているのです。
■まとめと感想
「強み」を理解するために、その思考や行動パターンをさまざまな言語で表現しますが、その一つひとつについて「なんとなく使っているけど、本当にどういう意味だろう?」と立ち止まることがあります。今回の探求は、そうした素朴な疑問から始まったものでした。
読んでみて、こうした疑問一つひとつの概念を掘り下げることで、言葉の捉え方が少し奥深くなるのだと感じました。
また別の概念についても気になっているものがありますので、引き続き探求してみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:78km
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