配信日時 2025/08/29 18:27

「経営というシステム」の中における人事を考える【カレッジサプリ】

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令和7年8月29日(第4204号)


「経営というシステム」の中における人事を考える


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話  2356字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は、12kmのランニング。
また外部人事パートナーとして関わらせていただいている会社様への
コーチング&コンサルティングでした。

*

さて、本日のお話です。

ちなみに上記のクライアントの人事の皆さまと、
「人事管理入門」の勉強会を月に1回行っています。

研修に関わる人材開発チームと、制度設計などを担う人事企画チームが一緒に同じ本を勉強する、この勉強会。学ぶ中で、評価や制度と教育は不可分であり、かつ経営という大きなシステムの中で「人事」というものがあることに気付かされています。

今日は、「第2章 戦略・組織と人事管理」という、なんとも大きそうなテーマの章から学んだ内容のポイントを抜粋してお伝えしたいと思います。(前回の記事についてはこちら)

それでは早速参りましょう!



■新型タイプに移行する成果主義

今日は第二章「戦略・組織と人事管理」についてです。
本章では、経営戦略が過去から現在、そしてこれからに向けて変わっていく中で、人事管理がどのように変わっていくかを論じています。

例えば、少し前から「企業の競争力を高めるには成果主義が必要である」と言われてきました。しかし、本書では「てか、そもそも人事管理は常に成果主義的であったよね」と述べています。

重要なのは「成果主義があるかないか」ではなく、「どのような成果主義が、どのような成果主義に変わりつつあるのか、これを細かく見ないとダメよね」といっています(乱暴に意訳しています)。

では、具体的にどういう変化なのさ?というと、結論としては、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・日本企業はこれまで「物言わぬ株主」を前提に経営を行ってきた
・しかし、これからは「物言う株主」の存在が重要になってきている
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

というお話です。よって、経営の考え方は株価や収益性を重視する方向へ転換していくことが想定されます。そうすると経営戦略も変化し、それに伴って人事管理も変化していく、ということが考えられるわけです。



■戦略が変われば、組織も変わり、人事も変わる

さて、そのように「市場のニーズ(物言う株主を重視)」すると、経営目標(経営戦略=何の製品・サービスをどこで売るのか)や経営計画(一定期間内に利益などをどの程度達成するのか、そのための活動計画)も、当然変わってきます。

すると、経営目標や経営計画を達成するための組織の形も変化します。経営計画を立てる際には業績指標も変わり、期待される役割や成果も変わってきます。それが個々人の仕事や働き方に影響を与えていくのです。

そして、当然ながら、その役割や成果を担う人が能力や意欲を発揮できるよう、評価や報酬の設計が必要になります。また、それを実現できる人材を配置・供給することも求められます。これが報酬管理や雇用管理に関わる部分です。さらに働き方に関する領域では、教育・育成が重要になります。

つまり、「業績管理と人事管理は不可分であり、連動したシステムとして機能している」ことが改めて整理されています。言われてみりゃそうだという話ですが、その全体像が図を含めて、可視化されていたのが、大変理解しやすかったです。

私も長らく営業でしたが、「売上重視」だったのが「利益重視」になると、どの商品を売るか、という営業個人の動き方もめっちゃ変わってたなあ…なんて思い出しました。



■経営者が重視する「経営目標」とは

次に、「経営者が重視する経営目標」についても、面白いデータがありました。

データを見ると、経営者が重視するステークホルダーは、これまでは第一に顧客、第二に社員、第三に株主でした。一方で、取引先や金融機関、グループ会社、労働組合の位置づけは低いものでした。

しかし近年では、企業の社会的責任(CSR)が課題となり、社員とともに「社会」も重要なステークホルダーとして重視されるようになっています。つまり、株主資本主義の重要性が高まっているのです。

また、経営者が重視する経営目標は、これまでは売上高・営業利益・マーケットシェアなどでしたが、近年はアメリカ型の収益性・資本効率・市場評価といった要素を重視する方向にシフトしているとのことです。

さらに、部門目標では財務視点(売上や利益額)や顧客視点(納期や品質)が重視される一方で、「学習と成長」の視点も全体の7%程度取り入れられています。

個人目標においても、財務や顧客視点に加え、「学習と成長」の視点が約20%を占めています。個人の業績目標を見ると、売上や利益に加え「業務の改善」が50.8%と最も重視されており、自己の能力開発や部下の育成といった人材育成に関する目標も重視されていることがわかります。

このように、成果主義は成果主義でも「どのような成果が求められているのか」が少しずつ変化し、成果の中身も移り変わってきています。これを見ると、より具体的に「どのような成果主義」が求められているのかが理解しやすいと感じました。



■まとめと感想

この辺りは大学院でも学んだ「人事管理の基礎的な話」ではありますが、改めて整理し、データを基に振り返ると、「成果主義」という大きな言葉に隠れて、細部の検討をおろそかにしている側面もあると感じました。

また別の話ですが、日本型の属人主義と欧米型の職務主義という組織の作り方の違いについても、本書では整理されており、とてもわかりやすいものでした。

改めて、経営という大きな枠組みの中に人事管理がどう位置づけられるのか、そしてその中で人材開発がどこに当てはまるのかをしっかり見極めて考えることの重要性を感じた次第です。

個人的にあまり良くわかっていなかった「人事管理(雇用管理・報酬管理など)」を体系立てながら、毎月ちょっとずつ勉強できるというのが、実に贅沢な時間だなあ、と感じている今日このごろです。

引き続き、この領域も、こちらの本を軸にしながら、じっくり学んでいきたいと思っている次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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 【編集後記】
◯今月のランニング:292km

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