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令和7年8月19日(第4194号)
200万人への調査からわかった!「強みへの投資」は成功確率を高める
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2456字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は7kmのランニング。
その他、研修プログラムの作成。
ならびに、追試となってしまった(涙)MBTI認定ユーザーの試験勉強など。
何事も、真摯に取り組まないといけないな、などと思った次第です。
*
さて、本日は「強み」に関する論文のご紹介です。
本日ご紹介の論文は、2003年に強み診断ツールの「クリフトン・ストレングス(ストレングス・ファインダー)」を開発している、ギャラップ社による論文です。
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『Investing in Strengths(強みに投資する)』
Donald O. Clifton, James K. Harter
Positive Organizational Scholarship: Foundations of a New Discipline(2003年)
The Gallup Organization
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私が起業した直後に取得した「Gallup認定ストレングス・コーチ」なる民間資格があるのですが、その講座の中で紹介されていた「強みに投資するとこんなにメリットがたくさんあるよ!」という事例の元ネタが豊富に含まれている論文でした。
ということで、早速中身をみてみましょう!
■本論文のストーリー
本論文では「強みの投資が大事」という主張を示すために、一つのストーリーとして、ギャラップが示したデータなどを紹介していきます。
細かい研究手法の詳細については触れられてはいないのですが、調査会社ならではの大規模な調査が背景にあるようで、インパクトを感じます。
ということで、本論文のポイントを、以下ご紹介示してみます。
■「強みへの投資」の仮説が生まれる
1950年代、ネブラスカ州で行われた速読指導法の比較研究では、指導法そのものに有意差はなく、教師間の差が大きいことが判明しました(Glock, 1955)。
中でも、最初から速く読めた生徒が最も大きく成長しており(300文字→2900文字)、読むのが遅い生徒の成長は比較的小さなものでした。
この結果から、「人はもともと得意な分野に投資した方が大きく成長する」という、強みへの投資に関する仮説が生まれました。(余談ですが、この話は非常にウケがよいのですが、実際の元論文が見つからない…というのが残念です)
■「最強のパブに投資する」ことが生産性が一番高まる
1980年代、イギリスの大手ビール会社では、売上が落ちたパブを改装することで生産性が平均15%向上していました。
そこで、売上が高い8軒と低い8軒のパブを同じように改装したところ、売上が高いパブの方が7倍も高い収益性を記録しました。
つまり、弱点の補修に投資するよりも、強みに投資する方が高い効果を得られるという実例が紹介されていました。
■人間にも「強みへの投資」が必要だよね
著者によれば、第二次世界大戦後の心理学は「欠点是正型アプローチ」に偏っており、人の強みに焦点を当てるアプローチが不足していると指摘されています。
「強みアプローチ」は、才能を特定し、それを自己理解に統合し、行動を変えるプロセスです。以下の3つのステップです。
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1.識別:自分の才能に気づき、自信と希望を持てるようになった
2.統合:才能を理解することで自分の行動の意味がわかるようになった
3.行動の変化:才能を活かして勉強グループを作るなど、積極的な行動が生まれた
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このような才能の活用が、エンゲージメントを促進し、さらに才能への投資を促す好循環を生み出すとします。
■ギャラップは200万人以上に調査を行った
Gallupは、30年以上にわたり、幅広い業種で才能と強みに関する調査を行ってきました。1999年から2001年にかけては、221組織・224万人・198,476職場単位のデータを収集しています。
民間企業なので、研究データの詳細が明かされていないのが残念ですが、「膨大なデータからの調査結果です」という伝え方だけでも、一定の説得力を感じます。
■マネジャーの成功と強みの関係とは?
また、「成功するマネジャー」ほど、以下のような行動をとっています。ちなみにここでいう「成功」とは、生産性、収益性、従業員の定着率、顧客ロイヤリティ、安全性などの指標を含めたものです。
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・成果の高い部下と多くの時間を過ごす
・才能に応じて業務を割り当てる
・人事評価では年功ではなく「強み」を重視する
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Gallupの調査によれば、強み重視のマネジャーは成功率が1.9倍(86%)高いことが確認されています。(「成功率が高い」とは、マネジャーの成功指標が中央値より上回っていることです)
■従業員エンゲージメントと強みの関係とは?
また,「職場で毎日、自分の得意なことを活かせる」と感じている従業員が多いワークユニットでは、以下のような成果が出ています(Harter & Schmidt, 2002)。
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・顧客ロイヤルティと定着率:44%(1.4倍)高い
・生産性:38%(1.4倍)高い
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■強みの活用と教育・学業の関連について
UCLAで行われた研究(Rath, 2002)では、学生に才能をフィードバックし、人生への統合を支援した結果、自己理解・自信・成長意欲が有意に向上しました。
また、シカゴの学校での研究(Harter, 1998)では、才能面接とフィードバックを受けたグループは、以下のような成果を示しました。
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・遅刻:0.78回/人 減少(d=0.31)
・欠席:3.8日/人 減少(d=0.33)
・GPA:0.15標準スコア単位 向上
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■まとめと感想
詳細のデータが明かされていないのは、論文としてはツッコミどころがあるところかと思いますが、「強みへの投資が重要」というメッセージを伝えるには十分な内容が端的に示されていると感じました。
実際には、現場に活かす場合は、エビデンスとしてはこれくらいで十分なのですよね。どちらかというと、「強みに具体的に投資するには、何を、どうすればいいのか?」というのが、一般的にはもっと気になるところなのでしょう。
ギャラップの出した初期の論文とのことで、興味深く読んだ次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯今月のランニング:183km
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