配信日時 2025/07/21 12:04

強みを「性格の強み」「才能」「スキル」「興味」「リソース」の観点で洗い出すの観点で洗い出す【カレッジサプリ】

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令和7年7月21日(第4165号)



強みを「性格の強み」「才能」「スキル」「興味」「リソース」の観点で洗い出す



株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話  4235字/読了時間6分)


■こんにちは。紀藤です。

引き続き、沖縄に来ております。
昨日は10kmのランニング。また読書や執筆などでした。

さて、本日のお話です。
今日も「強み」について、お話をしてみたいと思います。

それでは、どうぞ!



■「強みっていったって、色々ありますよね?」


「ここまでどうですか? わかりづらいところとかありませんか?」

研修の中で「強み」に触れた話のあとの休憩時間。
私ある男性受講者の方と、男性トイレで横並びになりながら、お話をしていました。

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「面白いです。…でも、ふと思ったんですけど、先程の”強み”の話ですが、いろんな見方があって、なかなか整理がムズイですよね。

『英語ができるのが強み』って言う人もいるし、『行動力が強み』って言ったりして、ぶっちゃけ混乱しますよね」
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とのこと。…
なるほど、確かにもっともな疑問です。

「強み」という言葉の守備範囲は、あまりにも広すぎるのです。
それがこの「強み」の全体像を見えなくしています。



■強みを「(1)性格の強み」「(2)才能」「(3)スキル」「(4)興味」「(5)リソース」の観点で洗い出す

「わかることは、わけること」なんていいます。

この強みの全体像を、もう少しわかりやすくすることはできないだろうか…。
そんな中で、応用ポジティブ心理学者でありロンドン大学のスティファン・パーマー氏らは「強みの5つの種類」として、以下の観点を提唱しました。これがなかなかわかりやすい。

パーマー氏らによると、「強みとは(1)性格の強み、(2)遺伝的才能、(3)習熟したスキル、(4)興味・関心、(5)リソース(資源)にわけられる」と述べています。

どういうことなのか、それぞれ説明をしてみます。

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(1)性格の強み
 ・人間が持つ優れたパーソナリティ特性としての強み
 (例:VIAやクリフトンストレングス等の強み診断で定義される強み)
(2)遺伝的才能
 ・遺伝的な生物学的要素に大きく依拠する強み
 (例:空間的知能、音楽的知能、対人的知能など)
(3)興味・関心
 ・夢中になっていることがらや、関心事 (例:サッカー、鉄道、水彩画を描くなど)
(4)習熟したスキル
 ・特定の習熟的技能で、研鑽を積むことで習得される
 (例:プログラミング技術、語学力等)
(5)リソース(資源)
 ・外的・環境的に与えられたものだが、個人の支えになってくれる強み
 (例:家族の支え、友人関係、安全な住環境、コミュニティ等)
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一つずつ、みてみましょう。

(1)性格の強み

「その人らしさ」として滲み出るような、行動や思考の特徴的なパターンです。
たとえば、どんなときも誠実にふるまえる人、知的好奇心が強い人、困難にくじけず前向きに努力できる人などが当てはまります。これは、VIAやストレングスファインダー(クリフトンストレングス)などの強み診断ツールで測定されることもあります。

生まれつきの気質に加えて、家庭環境や友人、社会の影響を受けながら、人生の中で自然に培われていく性質です。

ちなみに性格の強みは比較的「変わりづらい」ことがわかっています。
人は気分などの状態で、心理テストの回答結果が変わることがありますが、「性格の強み」に関する診断では、元気で絶好調な日曜の朝と、仕事でイロイロあってヘロヘロな木曜日の夜も、あんまり変わらないということです。これらは、1600人に対する3年半の縦断研究などで示されています(Fabian, 2020)。

※例:誠実さ、向学心、共感性、リーダーシップ、忍耐力 など


(2)遺伝的才能

生まれながらに持っている、生物学的な資質や感覚の強みです。

たとえば、音感が鋭い、言語感覚が優れている、数字に強い、空間把握能力に優れている、スポーツが得意などといったいくつかの能力は、トレーニング以前にもともと備わっている遺伝の影響を受けることがわかっています。(あくまでも「遺伝の影響を受ける」であり、「遺伝で決まる」わけではないので注意です)

これらの遺伝的な才能も後天的な努力で磨かれますが、スタート地点の高さやどこまで到達できるかに個人差があるのが特徴です。

たとえば、オリンピック選手の長距離走と短距離走の人の遺伝子を比べると、筋肉の収縮のスピードとパワーを支えるタンパク質(ACTN3)のタイプが違うことがわかっています(Yang et al, 2003)。
短距離走の選手はRR型(速筋型)、長距離走の選手はXX型(遅筋型)の人が明らかに多いのです。こうした遺伝的要素も、私たちの強みに影響を与えています。

※例:運動神経、音楽的感性、空間認識力 など



(3)興味・関心

本人が自然と惹かれ、時間を忘れて夢中になる対象や活動です。

好きだからこそ続けられ、熱中でき、結果として能力も高まりやすくなります。仕事や学びの分野と結びつくと、自発的な成長のエンジンとなるものです。

私事ですが、息子(3歳)は「地下鉄」に異常な「興味・関心」を示しています。
A=浅草線、C=千代田線、E=大江戸線、F=副都心線などなど。この興味・関心が発展し、アルファベットと沿線の頭文字を対応させて学習し始めました。ちなみにBとかDは対応した沿線がないので、覚えません。

※例:サッカー、鉄道、イラスト、自然観察、歴史研究、筋トレ など



(4)習熟したスキル

経験と努力によって後天的に身につけた専門的な技能です。

たとえば、プログラミングができる、英語が話せる、料理が得意といったスキルは、時間をかけて学び、練習を重ねたことで身についたものです。
才能とは異なり、誰でも努力すれば一定のレベルまで高められる強みでもあることが特徴です。

一方、興味や才能の影響で、習得の早さや伸び率の違いがあります。ファイナルファンタジーでも、剣士は剣術が、白魔道士は魔法が、踊り子は踊りを自然と覚えるみたいなイメージですね。

これらの「習熟したスキル」は、いわゆる「職務経歴書に書けるスキル」と言い換えることができます。どのスキルを伸ばすのか・伸びやすいのかは、性格の強み、才能、興味・関心などの影響も受けています。

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<「習熟したスキル」の例>
・言語系(外国語、読解力、ライティングなど)
・IT系(プログラミング、データ分析、Web制作、Office活用など)
・クリエイティブ系(デザイン、動画編集、コピーライティングなど)
・業務系(企画書作成、プレゼン、契約書作成など)
・対人スキル系(営業スキル、交渉力、顧客対応など)
・マネジメント系(チームビルディング、目標管理、評価面談、戦略立案)
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(5)リソース(資源)

自分の外側にありながら、自分の支えとなってくれる環境・人間関係・経済的基盤などの外的な強みです。

これらは、本人の努力だけでは得られないこともありますが、周囲とのつながりや環境の選択、制度の活用を通じて育てたり、活かしたりできる資源です。
パフォーマンスや幸福感の土台を支え、強みを発揮する“土壌”のような役割を果たします。

日本は「治安がよい」「教育へのアクセスが公平である」「世界でもトップクラスのパスポート(多くの国にビザ無しで渡航可能)」などもリソース(資源)があります。これらも普段は意識しませんが、「強み」の一つとも言えるでしょう。

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<リソースの主な3分類>
・人的リソース:家族の応援、信頼できる友人・同僚、メンターや指導者、所属コミュニティ
・環境リソース:安全な住環境、学習や集中できる空間、働きやすい職場文化、公的サービスなど
・経済的リソース:安定した収入、資産や貯蓄、親の支援、奨学金・助成金、社会保障制度など
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■「圧巻の強み」は、”掛け算”で生まれる

こう見てみると、私たちは「強みの種」としていくつも持っていることがわかります。

「性格の強み」「遺伝的才能」「興味・関心」という「強みの種」を、「リソース(資源)」という環境の「土壌」で育んでいく、それを社会で働く上で活用する「習熟したスキル」に磨き上げていきます。それらが重なり合ったとき「圧巻の強み」として発現されるわけです。

たとえば、大谷翔平選手で考えてみましょう。彼は、名実ともに世界最高の選手ですが、この「5つの強み」が重なり合っています。
まずは向学心や謙虚さ、困難にくじけない強い意志といった「性格の強み」。そこに加えて恵まれた体格や運動能力といった「遺伝的才能」。野球をとことん楽しむという情熱や好奇心を失わない「興味・関心」。また投打の技術を高めるために積み重ね続けた「習熟的なスキル」。さらに、家族の支えや高校・MLBでの環境など外からの支援「リソース(資源)」も大きな力になりました。

こうした要素が組み合わさり、自らの強みを活かし育てていった結果、彼は唯一無二の存在となったとも考えられます。
強みは「掛け算」で進化する――それを体現しているのが大谷選手なのかもしれません。



■「圧巻の強み」と「幸福になる強み」は別物である

こうした他と比べた「圧巻の強み」は魅力的で、素晴らしいものです。

これらの習熟したスキルなどを、市場における上位10~20%くらいに高めると、「頼りになるもの」という評価や希少性、付加価値としてみなされるようになります。
こうしたスキルは、仕事で成果を出すため、あるいはそれを通じて収入を得るための「特定の目的を達成する手段」として非常に有効です。

しかし、それらのスキルが高いからといって、必ずしも「幸福度の向上」につながるとは限りません。
実際に、心理学の研究などでは、「性格の強み」を日常の中で活かすことが、主観的な幸福感や充実感と強く結びついていることがわかっています。

つまり、成果や市場価値を高める「勝てる強み」だけでなく、自分らしさを活かし、日々を豊かにする「性格の強み」こそが、幸福度の観点では大切になってくるのです。

「他者と比べて勝てる強みだけを目指すことが、強みの活かし方ではない」ということを、ここで強調しておきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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 【編集後記】
◯今月の健康&運動習慣:7月のランニング距離 85km

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