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令和7年7月7日(第4151号)
経営において、なぜ「感情」は大切なのか? ー感情の3つの主要理論-
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 2551字/読了時間3分)
■こんにちは、紀藤です。
昨日日曜日は、家族で「水陸両用車」なるものに乗ってきました。
お台場から出発する「スカイダック」というものですが、
なかなかおもしろい体験でした。
(2階建てバスが船になる、カワイイ見た目の乗り物ですが
ちなみに、1台、1億3000万円するらしいです・・・!)
*
さて、本日のお話です。
本日も、大著『世界標準の経営理論』の全章レビュー、
引き続きお届けしてまいります。
本日は「第22章 感情の理論」をテーマにお届けします。
経営を扱う理論にもかかわらず、
なぜここで「感情」を取り上げるのか?
・・・それは、人間は「感情の生き物」だからです。
1980年代の経営学では、心理学ベースの理論の多くが認知心理学に基づいていたそうですが、1990年代頃からは「感情理論」も本格的に取り込まれるようになったとのこと。
実際、私がよく読んでいた「強み」や「ポジティブ心理学」系の理論の中にも、経営学の学会誌に掲載されているものが少なくなかった印象がありますが、今回の章では、そうした経営に関わる感情理論が非常にわかりやすく述べられており、私自身とても学びになりました。
ということで、早速見てまいりましょう!
■感情は3種類ある
まず、経営学で取り扱われる感情には、大きく3つの種類があるとされています。
(1) 分離感情(個人レベル)
怒り・喜び・憎しみ・恐れ・嫉妬・驚き・悲しみ・幸福感・妬み・イライラなど、一般的に私たちが「感情」と呼ぶものです。
これらは学術的には「分離感情」と呼ばれ、短期間で収まる傾向があります。
(2) 帰属感情(個人レベル)
これは「陽気な人」「心配性な人」など、その人が比較的安定的に持つ性格的な特性です。ポジティブ感情(PA)・ネガティブ感情(NA)に大別されます。これは安定的なので、あまり変わりません。
(3)ムード(チームレベル)
日本語で言う「雰囲気」にあたるもので、明確な原因がなく、なんとなく漂っている集団の感情です。
「このオフィスはいつも活気がある」「空気が重い職場」などがこれに該当します。
またこれを見ると、「分離感情≒状態」(安定していない・短期的)、「帰属感情≒特性」(安定している・長期的)という分け方もできそうですね。
■感情理論のメカニズム
この3つの感情それぞれに対応する理論があります。以下ご紹介します。
(1)分離感情 → 感情イベント理論
私たちは、外部刺激(事件・事故などの劇的な出来事だけでなく、日常会話や仕事のプロセス、共同作業など)を通じて、喜びや悲しみ、怒りなどの「分離感情」を抱きます。
そして、ポジティブな外部刺激よりも、ネガティブな外部刺激の方が感情への影響が強い(感情の非対称性)という特徴があります。こうした外部刺激が感情に影響を与える流れを説明するのが「感情イベント理論」です。
(2)帰属感情 → 認知評価理論
人によってポジティブ度・ネガティブ度に差があるため、同じ外部刺激に対しても感じ方が異なります。
たとえば、ネガティブ感情が強い人はネガティブな刺激に反応しやすく、ポジティブな人はポジティブな刺激に敏感に反応します。日常的にポジティブな感情経験を多く重ねることで、ポジティブ感情の度合いが高まるという影響もあるそうです。
同じ言葉でも「ハラスメント」と受け取られる人と、なんとも思わない人がいる。この違いは「認知評価理論」によって説明されます。
(3) ムード → 感情伝播
読んで字のごとく、感情が周囲に伝染するという考え方です。
ネガティブな感情を受け取れば自分もネガティブに、ポジティブな感情を受け取れば自分もポジティブな気持ちになります。
いわゆる「雰囲気は伝染する」ということですね。
■感情が人と組織に与える効果
感覚的にわかることかもしれませんが、チームの「ムード」は組織にも様々な影響を与えます。
ネガティブな感情が漂っていると「なんとなく発言しづらい」、
逆にポジティブな雰囲気だと「話しやすく、アイデアを出しやすい」といったこと、皆さんも経験があるのではないでしょうか。
こうした感情の影響も、実は多くの研究によってエビデンスが示されているそうで、以下のような「6つの法則」が紹介されていました。
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法則1:ポジティブ感情は仕事への満足度を高めやすい
法則2:ポジティブ感情はモチベーションを高めやすい
法則3:ポジティブ感情は他者への協力行動を促す
法則4:ネガティブ感情は満足度を下げるが「サーチ」を促す
法則5:ポジティブ感情は新しい知識の「探索」を促す
法則6:ネガティブ感情は既存知識の「深化」を促す
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■まとめと感想
これまで私が積極的に学んできたポジティブ心理学の知見と、経営学が接続されたことで、職場環境に与える影響を因数分解的に理解できるような、大変面白い章でした。
ポジティブ感情が援助行動を高めたり、仕事への満足度を上げたりすることは「感謝の研究」などでも語られていますし、ポジティブ感情が「知の探索」を促すという点も、ポジティブ感情の拡張・構築理論(Broaden and Build Theory)で言われていることと重なります。違う角度から理解できた気がしました。
また、「笑顔の効果」として、笑顔を増やすことがさまざまなプラス効果を生むという研究が増えていることも、非常に興味深かったです。
一方で、ネガティブ感情の重要性にも納得感がありました。危機感を煽ることによって、新しい知見の獲得(search)を促す、という点です。
実際、仕事でも「今に満足してしまうと足が止まる」と感じることがあります。「自分はまだまだだ。もっと勉強しなければ」と思うことで、結果的にパフォーマンスが高まる。私はそういう危機感を意図的に作るのがけっこう好きです。
「感情」というと、どこかふわっとした印象を持たれるかもしれませんが、こうして経営学と接続されると、「感情」もまた組織マネジメントにおける重要な要素であることがよくわかります。
「結果だけ出せばいいだろう」「合理的に考えようぜ」というような職場の空気をつくりがちな人(自分は気にしないからいいじゃん、という立場の人)こそ、ぜひ読んでほしい章だと感じました。
やっぱり、雰囲気って大事。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯強み文献おかわり100本ノック:91本目
◯今月の健康&運動習慣:7月のランニング距離 30km
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