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令和7年7月3日(第4147号)
AIによる「コーチングの民主化」という未来 ―アンナ・テイビス教授の語るこれからの学び方ー
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3025字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
先日、「HRビヨンドボーダーズ〜これからの人と組織を考える三日間の対話セッション〜」という、パーソル総合研究所さん主催のイベントに参加してきました。
*
今回のテーマは「コーチングパラダイムの革新」。
人間同士のコーチングから、AIを活用したコーチングがいよいよ本格的になる中で、人材育成や組織にどのような影響があるのか? コーチング(1on1)はマネジャーの仕事ではなくなるのか?
それらのことを、ニューヨーク大学専門職大学院のアンナ・テイビス教授による、世界の最新のAIコーチングの研究や実装状況を踏まえてリアルな話を聞き、また「AIコーチング」のデモ体験を通して、これからの広がりを肌で感じる刺激的な時間でした。
ということで、その内容と、そこからの学びについて、まとめてみたいと思います。
それでは、どうぞ!
■アンナ・テイビス教授が語る「AI時代のコーチング」と未来
まず、最初のセッションのメインスピーカーは、ニューヨーク大学の専門職大学院で教鞭をとるアンナ・テイビス教授でした。彼女の語る内容には、「これからの学び」「コーチングの未来」に対するメッセージが込められていました。
◎AIは人間の学びを“置き換える”のではなく、“拡張”する
冒頭に引用されたのは、フォード・モーターの創業者の言葉。
「学ぶことをやめた人は老いている。20歳でも80歳でもそうである」
この言葉が象徴するように、これからの時代、私たちは複数のキャリアに適応し、変化し続けなければならない。その背景には、スキルの陳腐化への恐怖があります。
では、どうすればいつまでも若々しく、柔軟に学び続けられるのか?その問いに対する答えのひとつが、「AIとの共生による学習の加速」が挙げられていました。
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・AIの進化は止められない。人間の学習スピードを高める投資が必要。
・従来型の一斉授業ではなく、「現代の学び方」への転換をする。
・ツールやテクノロジーを活用し、学びのあり方を再設計する必要がある。
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そして、「AIは人間の学びを“置き換える”のではなく、“拡張”する存在である」と強調されていました。
◎AIは学びを”個別最適化”する
また、「AIによる学習の未来像」として、以下のような変化が起こると言います。
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・あらゆる瞬間が”学びの機会”になる
・あらゆる学習者の状況が“見える化”される
・あらゆる成長が“個別最適化”される
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このビジョンの中で重要となるのが、「個別の学習パス」です。
AIは、学習者一人ひとりの状況や文脈に合わせて以下のような支援を行うようになります。
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・エージェントとの対話によるリアルタイムの学習
・“今この瞬間”に必要な知識へアクセス(ジャストインタイムラーニング)
・対話を通じた理解の深化(クライアントの情報が蓄積される)
・落ち込みや疲労といった感情面をも捉えたサポート
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をするようになるとのこと。そして、こうした進化の先にあるのが、「デジタル・コーチング・レボリューション」です。彼女はこう語ります。
「学び方は、マネジメント、遊び方、健康の保ち方、働き方や暮らし方をも変えていく」
つまり、AIによる学びの拡張は単なる知識取得ではなく、様々な相談役(AIのコーチングチーム)を一人ひとりに用意し、人間の生き方そのものを変える可能性を持っているようです。
◎AIコーチングと組織導入への可能性
テイビス教授は、AIコーチングの特徴を次のように整理していました。
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・コーチングの民主化:一部の人の特権でなく誰もが受けられるようになる
・個別最適化:一人ひとりに合わせた対応が可能
・スケール拡張性:大量の人に同時に質の高い支援ができる
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この進化の過程には明確なステージがあるとされ、
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・初期段階:既存の人間コーチングにAIを“後付け”する
・第一世代:AIを“組み込んだ”仕組み
・第二世代:AIを“前提にした”構造(AIネイティブ)
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さらに、AIコーチングチームの構築も語られており、また採用、オンボーディング、目標設定や評価など、人材マネジメント領域における実装も始まっています。
◎Q & A より:印象に残ったポイント
Q:人間のコーチの役割はどうなるのか?
A:入門向けがAIコーチングになるだろう。エグゼクティブ向けは人間が相変わらずやると思われる
Q:AIコーチとの望ましい付き合いかたは?
A:頼りすぎるのは避けなければいけないように思う。人間のつながりは重要視する必要がある
Q:マネージャーの育成役割は今後どうなる?
A:基本的なトレーニングはAIに任せ、人間はチーム全体のまとめ役、ディスカバリーやイノベーションを支える役割になる
Q:AIコーチに対して約束を守ろうとする心理は生まれるか?
A:リマインドが来ることで対応する意識が起こるのでは(人による)
Q:チームコーチングにも使えるのか?
A:使えるようになってきている。集団の振る舞いや社会的なパターン検出が得意。これもデータを取得できるし、実際に、実装し始めている。
Q:エモーショナルサポートはできるのか?
A:声のトーンや表情の解析で感情を検知し、サポートが可能になってきている
…などなどでした。実際に、ツールがあり、データの蓄積さえできれば、それらのデータをデジタルに集約し、フィードバックをすることで、組織開発をより深化させてくれるだろう、とお話されていました。
■AIコーチング「ナディア」との対話体験
また、セミナーの後半では「未来のマネジメントを体感するAIコーチナディアと考える次の1歩」ということで、実際に今米国で開発されている「AIコーチ」と対応すると言うセッションがありました。
正直若干眉唾で見ていたのですが、やってみると「めちゃくちゃ満足いく。コーチング体験だった」と5段階評価で思わず5をつけてしまうくらい、良いコーチング体験でした。
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・相手の言葉を承認受容するスタンス
・的確な要約と問い返し(身体性を含む)
・具体的で選択肢のある提案
・スケーリング手法も豊富
→ 結果として「バランスが良い」「コーチングの体験に没頭できる」
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1日経ってみても、実際の人間のコーチングと遜色ない、むしろ場合によってはそれを超える体験だったと感じています。
会場でも、人材開発・組織開発に精通しているであろう参加者55名の中、7割以上が、AIコーチングの体験を「大変満足」または「満足」と記録されていました。
■まとめと感想
余談ですが、最近のイベントではオンラインセッションが主流になりつつありますが、対面での半日イベントに久しぶりに参加して感じたのは、
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・思いがけない人との出会い
・新しい人とのネットワーキング
・対面だからこそ得られる熱量と偶然性
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などでした。
時代がどんどん加速しているからこそ、自分もそれについていく必要がある。そのメッセージを投げかけられていましたが、まさにそのように思います。
「学ぶとは新しい知識を得ることではなく、変化に適応すること」
会場で本間先生がおっしゃっていたこの言葉が、非常に印象に残った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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【編集後記】
◯強み文献おかわり100本ノック:91本目
◯今月の健康&運動習慣:7月のランニング距離 5km
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