配信日時 2025/06/29 20:46

今週の一冊『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』【カレッジサプリ】

---------------------------------------------------------------------------
皆さまの1日を5%元気にするビジネス系メルマガ『カレッジサプリ』
---------------------------------------------------------------------------
令和7年6月29日(第4143号)


今週の一冊『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』


株式会社カレッジ 紀藤康行
---------------------------------------------------------------------------■

このメールは、メールマガジンにご登録頂いた方、名刺交換をさせていただいた方、
研修にご参加頂いた方に配信をしております。
ご不要の場合は大変お手数ですが、メール下部の「配信停止はこちら」より解除くださいますようお願い申し上げます。


(本日のお話  2219字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

毎週日曜日は、最近読んだ本から一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。今週はこちらの一冊です。

─────────────────────────────
『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50 (角川文庫)』
山口周
https://amzn.asia
─────────────────────────────

ベストセラー『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』などで知られる著者が、哲学の知をビジネスに活かすための実践的な教養として整理した一冊がこちら。

10万部突破とのことで、大ヒット作のビジネス書ですが、噂に違わず、めちゃくちゃ面白かったです。ということで、早速中身を見てきましょう!

■本書の概要

本書では、「哲学を勉強するための本」ではなく、著者がコンサルティング業務で実際に役立ったと感じた哲学・思想のコンセプトを50個厳選し、照会しています。

「What(何に)」「How(どのように)」役立つのかを、現代のビジネスパーソンに向けて、抽象的な哲学の概念を、ビジネスの具体例とともに紹介しているのですが、著者の幅広い教養と知識を材料にしているために、どの事例も、圧倒的に面白い。

本当に飽きずに最後まで「惹き込まれる本」であったのが、実に楽しい読書体験でした。また、哲学・心理学・社会理論など多角的な視点を取り込んでいる点も特徴です。(以下、本書の紹介文より引用です)

10万部突破のベストセラー、待望の文庫化!

「使える哲学本」として、ビジネスパーソンから圧倒的支持!
知的戦闘力を最大化する、リベラルアーツ超入門。

コンサルの現場で一番役立ったのは哲学だった――。
「役に立たない学問の代表」とされがちな哲学は、ビジネスパーソンの強力な武器になる。経営コンサルだから書けた、「哲学の使い方」がわかる1冊。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<本書で紹介するキーコンセプト>
●第1章 「人」に関するキーコンセプト
・ロゴス・エトス・パトス(アリストテレス)
・悪の陳腐さ(ハンナ・アーレント)

●第2章 「組織」に関するキーコンセプト
・悪魔の代弁者(ジョン・スチュアート・ミル)
・解凍=混乱=再凍結(クルト・レヴィン)

●第3章 「社会」に関するキーコンセプト
・アノミー(エミール・デュルケーム)
・パラノとスキゾ(ジル・ドゥルーズ)

●第4章 「思考」に関するキーコンセプト
・シニフィアンとシニフィエ(フェルディナンド・ソシュール)
・反証可能性(カール・ポパー)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■個人的に面白かったこと

何よりも印象深かったのは、著者・山口周さんの教養の深さと語り口の面白さでした。抽象的な概念を、歴史的エピソード(例:悪魔の代弁者の事例としてのキューバ危機でのケネディ大統領の対策)や映画のワンシーン(例:レヴィナスの「他者の顔(ビジョン)」を交換することで関係性を破壊することは防げる→ ETで主人公の子どもからみて、大人の顔は登場しない(つまり語り合えない存在になっていた)などの話)などがそうです。

どの話も、超有名なのに、改めて今回紹介された哲学のエッセンスを元にエピソードを説明されることで、その話そのものにも、奥行きを感じさせられ、知的興奮を覚えるのでした。

また、哲学とは「前提を否定すること」と聞いたことがありますが、これまでの当たり前とされてきた流行りの理論も、バッサリと切っていきます。

たとえば、本書では、”「努力は報われる」と無邪気に主張する人たちが持ち出してくる根拠の一つに「1万時間の法則」というものがあります”などと、皮肉めいた表現で書かれる部分がいくつも見え受けられます。流行りのビジネス書を盲信する人々の浅慮を指摘し、そんなを盲信していて、実にイケていないですね…というような、読みやすい筆致の中にも、メッセージを組み込んでくるように感じられます。

逆に、そうした視点こそが、自分の思考の枠を揺さぶってくれるように感じるのでした。

■まとめと感想

本当の哲学の入門中の入門としての紹介ではあるのでしょう。どの話も、聞いてみると確かに…!と思う話ばかりです。

世の中を切り取るためのツールとして、哲学の概念を手に入れるだけで、自分が前提としていた思考のクセを俯瞰できたり、あるいは、囚われていた当たり前に気づいて少し楽になれたり、自分の無意識の思考や行動パターンにインパクトを与えてくれるようにも感じます。

大学院のときに、「フッサール(現象学)」などを読んで、エポケだ!とか、あるいは5年ほど前に「日本アスペン研究所」などで、3日間かけて、ヒポクラテス、ソロ、ミル、今道友信、オルテガ、森鴎外、プラトン、アリストテレス、カント、デューヴィ、パスカルなどなどを学んだことを、復習のように思い出しました。

本書の中で「わかるというのは、自分が変わるということ」と書かれていましたが、表面的に「なんかわかった気がする」レベルでは、何も変わっていないということなのだろう、と思います。改めて、時間をかけて、しっかり骨太の本にも向き合って読みたいものだ、そんな事も感じた次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


 ※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。よろしければぜひご覧ください。
https://note.com/courage_sapuri/n/n25a10dbdb9f3
==========================

 【編集後記】
 ◯強み文献おかわり100本ノック:91本目
◯今月の健康&運動習慣:6月のランニング距離95km

【メルマガのご感想について】
メルマガのご感想は、このメールに直接ご返信いただければ紀藤にのみ届きます。
皆さまのメッセージが励みになります!ぜひお気軽にメッセージくださいませ。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
 メルマガ「カレッジサプリ」公式サイト https://www.courage-sapuri.jp/
 ★バックナンバーはこちらから読めます★  https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
このメールは、メールマガジンにご登録頂いた方、名刺交換をさせていただいた方、
研修にご参加頂いた方に配信をしております。
ご不要の場合はお手数ですが、メール下部の「配信停止はこちら」より解除くださいますようお願い申し上げます。

【メルマガ登録・解除について】
※メールアドレスの変更について
 ⇒「現在のメールアドレスの配信停止」→「新アドレスでの登録」にて
   ご対応お願い申し上げます。
※メルマガのご登録はこちらから
 ⇒ https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=HSfoIRnMfw
※メルマガの配信停止はこちらから
 ⇒ https://1lejend.com/stepmail/delf.php?no=HSfoIRnMfw
  (もし解除ができない場合は、こちらのメールに解除希望アドレスを送信ください)