配信日時 2025/06/24 23:05

『人事管理入門』の読書レビューを始めます ー第1章 人事管理のとらえ方-【カレッジサプリ】

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令和7年6月24日(第4138号)


『人事管理入門』の読書レビューを始めます! ー第1章 人事管理のとらえ方-


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話  3053字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
また10kmのランニングでした。

その他、大学の授業の予選の準備など。
こちらもいよいよ大詰めになっており、楽しくなっております。



さて、本日のお話です。

外部パートナーとしてご一緒している企業さまと
月に1度、「人事に関する読書勉強会」を行っています。
今月から新しい書籍として『人事管理入門』を取り上げることになりました。

それが、こちらの本です。

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『人事管理入門 第3版』

今野 浩一郎 (著), 佐藤 博樹 (著)
https://amzn.asia/d/8bTDXMN

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さて、この書籍は大学院時代、授業の中でこの本が紹介されていたこともあり、
私自身も以前から本棚に置いてパラパラとめくってはいたものの、
じっくり読み込むことはありませんでした。

全400ページのこの書籍は、経営管理の一分野である「人事管理」について、体系的かつ詳細に学ぶことができる骨太な一冊です。

以前からしっかり読みたいと思っていたこともあり、並行して進めている『世界標準の経理論』のシリーズとあわせて、こちらも少しずつ読み進めていこうと思います。

こういう厚みのある本こそ、1年かけてじっくり読んでいくことで、自分の中に深く染み込んでいくように思います。本日はさっそく、第1章から行ってみたいと思います。

それでは、どうぞ!

■『人事管理入門』とはどんな本か?

本書は、私たちが企業の中で働き、報酬を得て生きていく上で欠かすことのできない「人事管理」という仕組みが、どのように成り立っているのかを読み解くための教科書です。

組織の中には、雇用が守られていたり、給与が支払われていたり、評価制度や報酬制度が組み込まれていたりと、あたかも当然のように「制度」が存在しています。大企業であれば労働組合があり、教育訓練の仕組みが整っていることもあります。

また、市場の変化に伴って「ダイバーシティ」や「人的資本経営」といったキーワードが登場し、それに合わせて社内の体制が変化することも日常的に起きています。

けれども、こうした「仕組み」がどうやって成り立っているのかを、きちんと説明できる人は意外に少ないのではないでしょうか。

本書では、「人事管理」とはそもそも何か、その全体像を体系的に学ぶことができます。2002年に第1版が出版されて以降、改訂を重ね、2020年には第3版が刊行されるなど、長く支持され続けている教科書的な一冊です。

本書の特徴としては、次の3点が挙げられています:

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<本書の特徴>
1.人事管理を理解するための基礎知識を体系的に提示していること
2.変化しつつある現在の状況を正確に伝え、その背景を明らかにしていること
3.今の状況がなぜ形成されてきたのかという歴史的視点と、日本的特質についての国際比較の視点を取り入れていること
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そして、続く第1章では、本書のより具体的な全体像が解説されています。



■第1章 人事管理の捉え方
企業は、利益を上げるという経営目標を実現するために、外部から資源をインプットとして受け入れ、それをアウトプットへと変換し、外へ提供するという「変換機構」を持つ存在だと捉えられます。

このとき、組織の中にはいくつもの「管理システム」がサブシステムとして存在し、各部門がインプットを受け取り、それをアウトプットとして別の部門に渡すという構造を持っています。たとえば、生産管理・販売管理・財務管理などの機能がそれぞれ有機的に結びついているわけです。

そしてその中でも、欠かすことができないのが「人」です。

人を調達し、活用するという経営活動は、今の時代であってもなお、企業活動の根幹を支えています。そして「人事管理」には大きく2つの目標があります:

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<人事管理の目標>
・短期的な目標:人材を効率的・効果的に調達・活用し、組織の生産性を向上させること
・長期的な目標:有能な人材を内部に蓄積し、変化への対応力を高めること(人的資源のインフラ整備)
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このように、人事管理というサブシステムは、企業が持続的に成長していくために不可欠な役割を担っています。


■人事管理の構成要素
さらに、人事管理の2つの目標をもう少し具体的に分解すると、以下の3つの機能に整理できます:

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1.雇用管理
人材を確保し、適切に仕事へ配置する機能。外部からの確保には「採用」、内部からの確保には「教育訓練」が該当します。

2.就業条件管理
人材が能力を発揮できるよう、働くための環境や条件を整備する機能です。

3.報酬管理
働きに対して報酬を決定し、社員の労働意欲を維持・向上させるための機能です。
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加えて、これらに横断的に関わる「人事評価の管理」も非常に重要な要素です。

この一連の流れを図式化すると、採用から退職までの“人事のライフサイクル”が一つの物語のように見えてくると、本書でも紹介されていました。



■人事管理は環境の影響を受ける

そしてまた、当然ながら、人事管理は外部環境からの影響も強く受けます。

たとえば、労働法制が変わって残業を規制する必要が出てくれば、それに合わせて就業制度も見直さざるを得ません。新卒初任給の上昇といった市場動向があれば、それに合わせて報酬体系や評価制度の再設計も求められます。

さらに、社員の高齢化によって役職のない中高年層が増えていくと、年功的な制度とのズレが生まれ、それを調整する必要も出てきます。

このように、会社の経営環境や労働市場の変化に応じて、人事管理も常に再設計されるべきものなのです。

その結果、「社員区分制度」として、正社員・パートタイム社員といった形で区分を明確することにつながり、またそれぞれに異なる基準で評価を行うというアプローチも見られるようになってきています。


■日本型人事管理の特徴
ここまでで、人事管理の基本的な構造や外部との関係性を整理してきましたが、加えて「日本型人事管理」には独自の特徴が存在します。

よく指摘されるように、日本の人事制度には課題も多くありますが、それが生まれてきた背景には一定の歴史的・文化的な必然性があることも見逃せません。

なかでも重要なのは、「社員の生活をできる限り保証する」という発想が人事制度の根幹にあることです。

この発想は、かつて「家計を支える世帯主=男性正社員」を中心に、終身雇用で安定を保証し、それ以外の社員(多くは女性)を補助的役割とする社員区分に象徴されています。

その結果、人事制度も「生活の保障」を基盤とした設計になっており、欧米型のように「成果を出した人がどんどん高報酬を得る」といった仕組みとは大きく異なっています。

もちろん、これは「長期的視点で雇用を守る」という美点をもつ一方で、「企業が成長を続けること」が前提にあって初めて成立する仕組みでした。

しかし現在では、事業の成長が頭打ちになり、高齢化や高学歴化、女性の就業増加といった環境の変化、さらには働き方そのものの価値観の多様化も進み、もはや従来の制度では対応できない状況に来ているのです。

そんな時代だからこそ、人事制度の“あるべき姿”を問い直す必要があるのだと、本書は私たちに問いかけているように思います。



■まとめと感想

会社に入ると、採用や教育、評価や報酬といった制度が“あって当然”のもののように感じてしまいがちですが、それらは実は時代や価値観、制度的背景のなかで設計され、改変されてきた「選択の積み重ね」でできています。

当たり前のように見える仕組みも、時代が変わればそのままでは通用しない。だからこそ、私たちはそのルーツを知り、自分たち自身で“選び直す”という視点を持つことが求められているのだと感じました。

この書籍は、そうした問いを私たち一人ひとりに投げかけてくれる一冊でした。あまり得意ではない分野ですが、新しい視点が手に入りそうで楽しみでございます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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 【編集後記】
 ◯強み文献おかわり100本ノック:90本目
◯今月の健康&運動習慣:6月のランニング距離85km

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