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令和7年6月12日(第4126号)
”組織の知恵”を最大限に引き出すための「2つの理論」はこれだ!
株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話 3154字/読了時間5分)
■こんにちは、紀藤です。
昨日は、早朝から10kmのランニング。
また、午前中1件のアポイントと社内ミーティング。
そして午後からは外部人事パートナーとして関わらせていただいている会社様へのコーチング&コンサルティングでした。
今週も引き続き研修が盛りだくさんなので、
楽しみながら進めてまいりたいと思います!
(ありがたい限りです)
*
さて、本日のお話です。
本日も、大著『世界標準の経営理論』の全章レビューを引き続きお届けしてまいります。
本日は 第14章「組織の記憶の理論」です。
認知心理学では「人は認知に限界がある」と述べています。
そして組織でも人でも同じように、新しく得た知をうまく記憶しておけなければ、知の探索へ移れないと言われています。
組織が「知の探索&知の深化」を進めるためには、上手に組織の中にある知を保存するとともに、”保存された知を引き出していく必要”があります。
そして、今回の章では、「どのように組織に蓄積された知を引き出していくのか?」が2つの理論を元に紹介されています。
それが「シェアド・メンタル・モデル(SMM)」と「トランザクティブ・メモリー・システム(TMS)」の2つです。以前から知っている概念ではありましたが、よりわかりやすく、シンプルに表現されており、面白い話でしたので、本章からの学びについて、ぜひ共有させていただければと思います。
それでは、どうぞ!
■シェアド・メンタル・モデルってなんだ?
シェアド・メンタル・モデル(SMM)は、以下のような定義がされる組織行動論で研究されてきた分野です。
――――――――――――――――
シェアド・メンタル・モデル(SMM)とは:
「チームメンバー間で共有されている知についての認知体系」のこと
――――――――――――――――
◎メンタル・モデルの定義
ちなみに、ここで「メンタル・モデル」という言葉についても定義を揃えておきます。
「メンタル・モデルとは知や情報が頭の中でどのように表現されるかを説明するように想起される、認知的概念の総称」とされています。
さらにいえば、メンタル・モデルは”タスクとチーム”という2つの分類に分けられます。
――――――――――――――――――
*タスク・シェアド・メンタル・モデル
→組織の行う仕事、組織の持つ技術・設備などに関するメンバーの共通認識
*チーム・シェアド・メンタル・モデル
→メンバー同士の行動、役割分担、メンバーそれぞれの好み・強み・弱みなどに関する共通認識
――――――――――――――――――
これらのことから、シェアド・メンタル・モデルを、噛み砕いて表現すると、「組織のメンバー間で、仕事の知識や情報などのタスク面だけでなく、チームメンバーの役割認識、強み弱み考え方など認識がどれぐらいそろっているか」 となります。
■SMMの事例「IDEOの7つのルール」
シェアド・メンタル・モデルの1つの例として、世界ナンバーワンのイノベーション企業とも呼ばれるデザイン企業、IDEO があります。
IDEOでは、ブレインストーミングにおける「7つのルール」がまさにシェアド・メンタル・モデルの良い事例として共有されていました。ちなみに、以下の7つです。
――――
1.トピックに忠実であれ
2.ぶっ飛んでよし
3.すぐに判断・否定するなかれ
4.会話は1人ずつ
5.質より量を
6.描け、視覚的であれ
7.他者のアイディアに乗っかれ
――――
この内容を ブレインストーミングや各種ミーティングでのポリシー として社内に深く浸透させることで、自分が突飛なアイディアを出したとしても、それを受け止めてくれることが予見できるため、安心して発言できるようになっています。
これは、組織にある知を明確に理解し共有することによって得られるメリットの好例といえます。
▽▽▽
このように、「基本認識の共有(シェアド・メンタル・モデル)」 があることによって、メンバーが優れた知を保持していたときに、それを効果的に引き出すことができますし、お互いに共通認識の上で仕事を進めることができるようになるわけです。
ゆえに、このような「基本認識の共有(シェアド・メンタル・モデル)」を意識的に整えていくことが重要といえそうです。
■トランザクティブ・メモリー・システムってなんだ??
次に紹介する概念が、1980年代から1990年代に社会心理学者ダニエル・ウェグナー によって確立された「トランザクティブ・メモリー・システム(TMS)」です。
シェアド・メンタル・モデルが「組織メンバー間の基本認識の共有」だとすると、トランザクティブ・メモリー・システムは 「組織内の知の分布についての認識」 です。
つまり、「他のメンバーの誰が何を知っているかを知っていること(Who knows what)」 となります。たとえば、「彼は〇〇の専門家だ」「△△がわからなければ彼女に聞けばよい」 といったものです。(組織にある「知のインデックスカード」を持っているとも表現されていました)
誰が何を知っているかを知っていること によって、組織としての知の分業が可能になり、それを効果的に使えることができるのです。
実際に、トランザクティブ・メモリー・システムを持っているチームほどパフォーマンスが高い という傾向を示した研究もいくつもあることが紹介されていました。
■「Face to Faceの交流」が大事
では、このTMSをどう高めていけばよいのでしょうか?
これに関して、本章で面白い研究が紹介されていました。たとえば、34組の男女カップルに共同作業をしてもらった研究では、「Face to Face で顔を突き合わせた交流」があるほど、お互いがどのような知識・専門性を持っているかというトランザクティブ・メモリー・システムが高まる ことがわかりました。
他にも、MBA学生からなる64チームの研究でも、やはり直接対面におけるコミュニケーション頻度が高いチームほどトランザクティブ・メモリー・システムが高かったことが示されました。
結論、「顔の見える関係性が重要」ということですね。
こう考えると、オンラインでの対話が当たり前になった現代においても、「画面オフ」で対応することのデメリット が示唆されているようにも思います。(ひとりごとですが、私はこれを読んで、リモートワークのミーティングでも、やっぱり「画面オン」の方がいいんじゃないかな? と思ったのでした)
■「ブラブラおじさん」が発揮する価値
また、トランザクティブ・メモリー・システム は 全員が同じだけ持っている必要はない という研究結果もあります。
むしろ、誰か1人が「ハブ(知のブローカー)」のような役割 を果たし、
うまく知のつなぎ役になる方が、実はメリットが多いことがあるのです。
少人数チームであればまた事情が違うかもしれませんが、150人程度の組織になると、全員が全員の知を把握するのは現実的に難しくなります。そのなかで 「あの人に聞けば、社内に顔が広いから色々教えてくれる」という存在がいると、知の交流はスムーズに行われるようです。
(かつて日本企業で 「何をしているかわからない、社内でブラブラしているおじさん」 が実は役立っていた、という話も本書で紹介されていました。これも知のブローカーの一例とのことです)
■まとめと感想
改めて「組織の知の共有の重要性」を再認識しました。
個人でも、知っていることはどんどん穴の空いたバケツのように忘れていくものです。それを うまく外部記憶システムに記録しておかなければ、「なんだっけ?」と思っても取り出すことができず、生産的な活動に結びつかないことがあります。
これを少し大きなシステム=組織で見たときにも、やはり 「どこにどんな知識があるのか」 をお互いに知っていること、またそれを知るための仕組みがあること、共有された考え方が明文化されていることが、ポジティブな成果を生むということが研究から明らかになっているのだと改めて感じました。
この重要性をまず共通認識とした上で、シェアド・メンタル・モデル や トランザクティブ・メモリー・システムを、どう高めるかを意図的にデザインしていくことが必要だと強く思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【編集後記】
◯強み文献おかわり100本ノック:90本目
◯今月の健康&運動習慣:6月のランニング距離47km
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