配信日時 2025/06/11 12:00

すごいぞ!ひとりダイバーシティ ー1人の中の多様性が価値を生み出すー【カレッジサプリ】

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令和7年6月11日(第4125号)


すごいぞ!ひとりダイバーシティ ー1人の中の多様性が価値を生み出すー


株式会社カレッジ 紀藤康行
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(本日のお話  2311字/読了時間3分)


■こんにちは、紀藤です。

昨日は、終日立教大学のリーダーシップの授業でした。
大学1年生は、約2ヶ月程度グループで考えてきた企画プレゼンの「予選」でした。

面白いアイデアがありつつも、まだまだ煮詰める必要がある箇所が多く、
これからが楽しみになる内容でした。

フィードバックする側も、色々考えさせられますし、
視点を広げる勉強にもなります。(なかなか大変ですが)

あと1ヶ月、学生の皆さんの頑張りを応援するばかりです。



さて、本日のお話です。

本日も、60万字の対策『世界標準の経営理論』の全章レビュー、引き続きお届けしてまいります。

本日のテーマは、「第13章 知の探索・知の深化の理論(2)」とのことで、
昨日のお話の続きになります。ということで、早速まいりましょう!



■イノベーションの理論「知の探索と知の深化」

昨日のお話の要約は、こういうものでした。

(企業イノベーションの創出メカニズムの)根幹にあるのは、「知の探索と深化のバランス」だ。(中略)

人・組織は認知に限界があり、探索はどうしてもコスト・負担がかかる。しかも探索は不確実性が高い(=失敗が多い)ので、組織はどうしても「知の深化」に偏る傾向が、本質的にある。

結果として「知の探索」をなおざりにするので、やがてイノベーションが枯渇するのだ。この組織が知の深化に偏りやすい傾向を、コンピテンシー・トラップ(competency trap)と言う。(P235)

そして、”日本でイノベーションが求められているのも、多くの企業が知の深化に偏りすぎているから”と述べます。

ゆえに、日本企業で重要なのが「知の探索を促すことで、両利きのバランスを取り戻すこと」であると述べ、本章では、それを実現するための実務的な提案を、著者の視点から述べています。



■「両利き」のためのキーワード

では、日本企業において、特に何が求められているのでしょうか?
以下、それらに基づくキーワードをいくつか紹介します。


◎オープンイノベーションとCVC

その一つが、「オープンイノベーション戦略」です。
異業種とのアライアンスを通じて、自社が持っていなかった知を学ぶことは、典型的な「知の探索」です。また、同業他社と共同開発をして「知の深化」をすることもできます。

そして、次に「コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)」による投資の促進もあります。これは、「既存の事業会社が新興のスタートアップ企業に投資をしながら、ときに連携を図る」というものです。
大企業は資金や経営ノウハウ、販路や人的ネットワークがある。一方スタートアップ企業は、潜在力のある技術はあっても、それらは不自由していることも多いです。それらを相互補完する仕組みがCVCです。

こうした仕組みや形態によって「知の探索」を行うような動きは欧米では普及しており、日本でも「WiL」というベンチャーキャピタル企業等によって、普及をされてきている、と述べられています。

(一方、これらの「出島」として知の探索をする組織には、独立性をもたせること、部署が孤立しないように、お互いに知見や資源を活用しあえるような交流を促すこと、と主張しています)



■「知の探索」とダイバーシティ

そして、組織レベルの知の探索で重要なのは「人材の多様化(ダイバーシティ)」であると述べています。男性VS女性、日本人VS外国人のような属性に偏るダイバーシティでは、知の探索効果が十分に発揮されません。

異なる視点を持つ人がいるから(認知のダイバーシティ)、知と知の組み合わせが進み、新結合=イノベーションが起こるわけです。ここで、面白いと思った視点が、著書の述べた「一人ダイバーシティ」という考え方です。


◎すごいぞ!「ひとりダイバーシティ」

一般的な組織で言われる「ダイバーシティ」は、異なる多様な人がいることを指します。一方、「一人の人間が多様な、幅広い知見や経験を持っている」ならば、その人の中で、離れた知と知の組み合わせが進み、新しい知の創造ができるわけです。

これを経営学で「インターパーソナル・ダイバーシティ」と呼びます。つまり、「ひとりダイバーシティ」です。

そして、2002年に発表された論文では、44企業の経営メンバーで、ファイナンス、R&D、営業、マーケティングなど、様々な職能を経験している経営メンバー(=インターパーソナルダイバーシティの高い経営メンバー)がいる企業ほど、業績が高い傾向があると示されたそう。日本でも同じような事例が見受けられるそうです。

すごいぞ!ひとりダイバーシティ!ですね。



■経営は「知の探索」を広く、広くすべし

イノベーションには、知の探索と知の深化があると言いましたが、研究者や、R&Dのトップ、経営者などがそれぞれ、どれくらいの比重で「知の探索と知の深化」を行えばよいのかという基準が示されていました。

たとえば、「製薬会社の研究者」が、歴史や経済を学んでも、新薬を開発することには結び付けるのは難しそうです。おそらく化学分野におけるある程度幅の狭い探索のほうが、技術的なブレークスルーには向いているでしょう。

一方、技術を価値に変える「研究所の所長」であれば、もうすこしビジネスと紐づけた、広い視点を持つことが求められそうですし、市場の中で長期・継続的に価値を創造し、利益を生むための舵取りをする「経営者」になれば、可能な限り、広く、遠い知を探索する事が必要になる、となります。なので、

・「経営者」は「知の探索」を広く広くしていくこと
・「研究者」は「知の深化」に深めていくこと

が適正な知の探索と深化のバランス、と言えるかもしれません。



■まとめと感想

改めて本章を読みながら、「まだまだ知の探索が足りないなあ」と思いました。

また、現在は自分の興味がある領域を深めつつ、うろうろしていますが、自分が経営者なのか研究者なのか、どちらが楽しいのか、どちらのほうがより価値を生み出せるのか、などを考えてみることで、方向性を考えるきっかけにもなるように思った次第です。

いずれにせよ、「ひとりダイバーシティ」ができるように、自分の中の幅は広げていきたい、と思った次第。知らないことを、もっともっと探索していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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 【編集後記】

 ◯強み文献おかわり100本ノック:90本目
◯今月の健康&運動習慣:6月のランニング距離47km

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